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独占欲【沈む】
はだけた浴衣
海水に揺れる影
闇に映るのはくすんだ緑と汚れた赤
ただそれだけを映した澄んだ闇
俺だけを見てる
今この瞬間この表情を知るのは俺だけ
重く沈む濡れ髪
まとわりつく生地
海水に浸かった浴衣は洗えばいい?
きらり目をひく三日月
空は半月
優しい君に揺れるのが似合う
俺のもの
愛してる
ほかの誰にもあげない
ほかの誰にも傷つけさせない
邪魔されて
君に触れる手が緩んで
君の手が俺に触れる
傷つけたのは俺
見ていたかったはずなのに
未来を望んだはずなのに
現在に固執した
なら
傷つけた俺は嫌われる?
にくまれる?
恨まれる?
過るのは明るく暗い色
嬉しくて辛い
君の感情すべてが欲しいから
愛してる
知りたくなかったんだよ?
自分だけのものにできそうなこんな感情
誰にも傷つけさせない
ほかが君に愛を注ぐのはかまわない
でも傷つけていいのは俺だけ
愛するのも傷つけるのも恨まれ憎まれるのも
君が全部を向けるのは俺であってほしい
キレイな君を護りたいのに
俺はどうして
正しく動くことができないんだろう?
感情がままならなく騒ぐんだ




