選択
一歩踏み出すその道は正しく正しい未来へと通じているんだろうか?
「後悔はしないかい?」
問われて、隣に立つ君は笑って見せた。
「後悔はたぶんしないではいられない」
言葉は表情と声を裏切って後ろ向き。
それでも君は迷いなく笑う。
「だから、ちゃんと自分の意思で選ぶ」
大きく腕を広げ、眩しげに君は周囲を見つめる。
「満足も、後悔も、選択の結果なんだ。自分で選んだ自分だけの道だ!」
君はまっすぐ僕を見る。
居心地が悪くなるまっすぐな眼差し。
「自分で決めるしかないんだよ。人の言いなりになるコトだって、それは、それを選んだのは自分なんだから」
君の視線で居心地が悪い。
「無駄なコトはあるけど、無駄なコトはないのさ」
君が笑う。迷いなどないとばかりに。
「迷うさ。後悔するさ。失敗だってたくさんだ」
君が笑う。僕に手を差し出しながら。
「失敗だって、有益だ。自分が間違えれば、人の間違いも理解できるだろう? 理由のわからない失敗だってあるって知ってれば、優しく、なれるだろう? 問題点に気がつけば手を差し出せるだろう?」
こんなふうにと笑う君。
「怖いんだ。迷うんだ。一人で行くしかなくても、一人は寂しいんだから」
君も怖い?
君は笑って頷く。
「怖いんだ。でも、信じてる」
君自身を?
「誰かが見ててくれるってコトを。一人じゃないってコトを」
君は強いから。
君は嬉しそうに笑う。
「そう、信じてくれる君がいる。それこそが支えになる。君の理想を裏切りたくないんだ。……それが、少しばかり重くてもね」
よくわからないで君を見る僕を君は笑う。
「きっと大丈夫。信じてるよ」
え?
君は一歩踏み出す。
「その選択が君に幸せを呼びますように」
その言葉を残し、君は一歩踏み出す。踏み出していく。
ああ。
どうしてあんなコトを言ってきたのか。
一歩踏み出す勇気を出して、行くしか、ないよな?
「がんばって。良い未来が待っていると信じてるよ」
見送る誰かの声が遠い分岐点から聞こえた。




