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*起*

というわけで番外編です。


少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

 これはあったかもしれないクリスマスのお話――――






 12月24日。この日はクリスマスイブ。つまり本当のクリスマスは明日なのだけども、世間ではもうクリスマスムード一色だね。それは此処黎暁学園の北條夕貴ぼく&朝貴の寮部屋でも同じ。現在、部屋のリビングスペースにいるのは僕、朝貴、静香先輩、澪先輩の4人。朝貴と澪先輩でツリーを飾り、僕と静香先輩は料理をテーブルに運んでいた。料理は基本静香先輩の手作りだった。ちょこちょこ手伝っていた僕だったけど、その手際の良さに思わず口を開けて見入ってしまっていた。


「夕貴君、固まってるよ?これはこんでね」

「は、はい」


 やっぱり静香先輩すごいな。男でもやっぱりお料理出来た方がいいのかな。出来る人かっこいいよね。

 料理の乗ったお皿を持ってリビングスペースに行くとすでにツリーを飾り終わった二人が仲良く話していた。まだ朝貴は澪先輩とあってそんなに立ってないのに、もう打ち解けてるのはすごいなって思う。お皿を置いたら、朝貴に座るように促される。ちょうど静香先輩も最後のお皿を持ってきたから僕は朝貴の横に座った。僕のよこに静香先輩も座って、僕とは反対の朝貴のよこに澪先輩が座る。


「あとはケーキだね。淳たち大丈夫かな」

「予約ばっちりだって言ってましたから大丈夫ですよ」

「何ケーキ頼んだんだ?」

「ショートケーキと、チョコ。あとブッシュドノエルね」

「そんなにたべれる?」

「夕貴くいしんぼだから一人で1ホールはいけるよな!」

「くいしんぼって……まぁ、そうだけどさ。でも此処に清ちゃんと青葉先輩に榊原先輩に風紀委員長さんでしょ?」

「龍弥でいいと思うぞ?」

「えぇ!?なんか怖いもんあの人」

「まぁ、たしかにね。一匹狼って感じだもんね。慣れないとだめかもね」

「あいついいやつだよ」

「朝貴が大物に見えるよ」


 ぽしゅっ!という音が、部屋の中に突然したから、僕はびっくり。思わず隣にいた静香先輩にしがみついてしまった。何で朝貴は平気なんだろ。音の原因は、澪先輩が持つ瓶の封があいたせいだった。すごい音するんだね。あー心臓に悪い。


「澪、何開けたの?」

「シャンメリー。飲んじゃおう。良達、来ないし。これくらいはいいよ」

「シャンメリーねぇ……」

「シャンメリーってなんですか?」

「炭酸ジュースだよ。シャンパンの子供用って感じかな」


 どこから出してきたのか、テーブルの上には8個のシャンパングラスが置かれていた。そこに澪先輩は器用に慣れた手つきでシャンメリーを注いでいく。黄金色のそれはしゅわしゅわと泡が昇って行っていて、とってもきれい。思わず僕の前に置かれたグラスを持ち上げて照明に掲げて見てしまった。光にかざすとまた輝いて見えてきれいだった。


「乾杯は後にしようか。みんな来てからね」

「じゃ、いただきます」


 へぇ、シャンメリーってはじめて飲んだけど、こんな味なんだ。ジュースだけど、ちょっと苦い?炭酸だからかな。しゅわしゅわのピリピリッて感じがする。あはは、なにこれおかしぃ。


「これ……」


 静香は一口口に含んだあと、そっと澪が置いた瓶を手に取り、ラベルを見る。

そこにはシャンメリーではなく、シャンパンの文字。アルコールも入っている。


「あらら……どうしよう」


こうして聖夜のパーティーは幕を開けたのだった。

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