表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無加護ですが、成長上限がありません 〜世界を逸脱した少年〜  作者: ジーコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/18

第14話 鉱山調査に向けて

ベルナ村を離れて初めて迎えた“街での夜”。

セシルたちは、大通り沿いに構える三階建ての宿──


赤炉亭せきろてい


へたどり着いた。


木と石で造られた厚い壁、

大きな鉄製ランタン、

外には“今日のおすすめ料理”の黒板。


ミーナの目が輝く。


「セシル……見てよ! 今日のおすすめ、

 “赤炉煮込み”と“石焼きソーセージ”だって……!」


「名前だけでうまそうだな……!」


中へ入ると、

暖かい肉とスープの香りがすぐに鼻を刺激した。

冒険者や鉱夫たちが笑いながら皿を囲み、

活気が充満している。


受付の女性が迎える。


「三名様? お部屋は二人部屋と一人部屋で大丈夫ですか?」


ゲイルが頷く。


「頼む」


鍵を受け取り、荷物を置いたあと、

一階の食堂へ戻ると──

ちょうど料理が運ばれてくるところだった。


大鍋で煮込まれた牛肉と野菜の“赤炉煮込み”

ハーブと岩塩で焼き上げた石焼きソーセージ

香ばしい黒パン

そして淡い香りの野菜スープ。


セシルの目が、まるで宝石を見たようにキラッと光る。


「……うわ……絶対うまいやつだ……!」


ミーナも両手を口に当てて震えている。


「セシル……これ……すごいよ……!」


ゲイルはすでに席に座り、

静かに言う。


「食え。明日から動くのだからな」


「はいっ!」


三人は手を合わせて

「いただきます!」


セシルはスプーンで煮込みをすくい、

一口──


「……!?

 うっま!! とろける……!!」


牛肉はほろほろで、

野菜の甘味がスープに溶け、

口の中で溶けていく。


「ミーナ、これ……やばくない?」


「やばい……! なにこれ……幸せ……!」


二人とも、目をうっとりさせながら頬張る。


ゲイルは無言で料理を口に運びながらも、

「悪くない」と小さく呟いた。


そんなとき──


「おーい! セシル! ミーナ!」


豪快な声が響き、

振り向くと ブルノ・バザル が立っていた。


「あっ、ブルノさん!」


ブルノはずしりと重い袋を差し出す。


「これは護衛の礼だ!

 お前さんたちがいなきゃ、魔石ぜんぶ食われてたからな!」


セシルが袋を受け取る。

ずっしりとした重みを感じた。


「えっ……こんなにもらっていいの?」


「もちろんよ! 冒険者は実力に応じて報酬をもらうもんだ」


袋の中には──


銀貨20枚

そして宝石のように輝く 魔石の欠片。


ミーナが目を丸くして叫ぶ。


「きれい……! ほんとに魔石だ……!」


セシルは袋を握りしめる。


(これが……冒険者としての“初報酬”……!)


胸の中がじんわり熱くなる。


ブルノは肩を叩いて笑った。


「鉱山の話はまた今度な!

 今日はしっかり食って休め!」


そう言って、

ブルノは宿を後にした。


セシルとミーナは顔を見合わせる。


「……なんか、実感湧いてきたね」


「うん。

 俺たち、本当に“冒険者”なんだな……!」


美味しい食事に満たされながら、

セシルの胸は大きな期待で膨らんでいた。



■ 翌朝──ゲイルの指導


宿の裏手の空き地。


セシルが古剣を構えると、

ゲイルが静かに言う。


「まだ村の戦い方だ。

 鉱山は狭い。横振りより、縦の斬撃を中心にしろ」


ゲイルが一度だけ剣を振る。


風切り音を超えて、

“何かが斬れた”と錯覚するほど鋭い。


ミーナが息を呑む。


「ゲイルさん……ほんとに音しない……」


「音が出る斬撃は甘い証拠だ」


淡々とした言葉が重い。


セシルの心は決意で満ちていく。


■ カザン武具通り──ドワーフの鍛冶屋へ


ゲイルに連れられ、鉄の音が響く一角へ。

そこには 《ガント鍛冶房》 の看板があった。


どっしりした体格のドワーフ職人・ガントが現れる。


「おや、ゲイル・ロウじゃねぇか。生きてたか」


「食って寝ている」


「相変わらずだな……で、この坊主は?」


「セシル・グレイフです! 装備の調整をお願いしたくて!」


ガントは古剣を手に取り、刃をなぞる。


そして眉をひそめた。


「……こいつ、“息”してやがるな?」


「……えッ!?」


ゲイルが静かに言う。


「分かるか」


「当たり前だ。

 まだ“目覚めて”はいねぇが……

 坊主に異様に馴染んでる。珍しい剣だ」


ガントは古剣を丁寧に観察し、言った。


「刃根元のガタつき、革の劣化、重心ズレ……

 直せる。補強もしてやる。

 鞘も弱ぇところがあったから直すぜ」


セシルは深々と頭を下げた。


「お願いします!!」


次は防具を見たガントが唸る。


「村の鍛冶屋の仕事か。悪くねぇ。

 だが“実戦”にはまだ足りねぇ。

 軽金属板を足して、背中も補強してやる」


セシルは思わず笑顔がこぼれる。


「それ……お願いします!」


ガントは親指を立てた。


「任せときな! 坊主は素直な目をしてる。

 装備も活きるってもんだ」


■ 数時間後──受け取り


ガントが調整を終え、

新しく強化された装備をセシルに渡す。


古剣は淡く赤い光を反射し、

防具は頑丈になりながらも驚くほど軽い。


その瞬間、ウィンドウが展開する。


【装備更新】


《古剣(改)》

ATK:+6

HIT補正:+4(+1)

斬撃特化:小

耐久:60 / 60(旧40 → 補修・強化)

重量:軽(最適化)

特性:魔力同期(微)


《軽強化レザー装備》

DEF:+7(+3)

MRES:+1(+1)

VIT補正:+3(+2)

耐久:50 / 50(旧30 → 補修・強化)

重量:軽

備考:金属軽板追加/背面補強


《旅人の杖(安定リング付)》

MAG操作安定:+1

威力安定:微上昇

耐久:30 / 30



セシルは目を見開いた。


「……すごい……!

 同じ装備なのに、全然違う……!」


ミーナも拍手する。


「セシル、本当に冒険者の装備って感じだね!」


ガントが鼻を鳴らす。


「勘違いすんなよ。

 強くなったのは装備じゃねぇ。

 お前の力を引き出す準備が整っただけだ」


セシルは力強く頷いた。


「はい!」


■ 道具屋での買い物


次は道具屋へ。


ゲイルが淡々と必要なアイテムを指定していく。


「ランタン、ロープ、保存食……あと解毒薬だ」


「けっこうあるんだな……!」


ミーナが財布を持ち、計算しながら買い物を進める。


「セシル、これは絶対必要だからね。

 削っちゃダメだよ?」


「頼りになる……!」


店主が言った。


「鉱山かい?

 最近あそこ、なんかおかしいって噂だよ」


その瞬間、

セシルの《気配感知》がピリッと震えた。


(……まただ……)


しかし正体は分からない。


■ ギルドへ報告


ギルドに戻ると、受付嬢が笑顔で迎えた。


「準備、整ったようですね!

 依頼の受理は明日の朝にしましょう。

 体を休めてくださいね」


ゲイルもうなずく。


「明日だ。無理に急ぐ必要はない」


セシルとミーナは目を合わせ、

自然と笑みがこぼれた。


(いよいよ……明日から鉱山だ……!)


■ 夜──窓の外に“影”


宿の部屋で、

セシルは古剣を眺めながら呟いた。


「……明日、ちゃんとやれるかな」


ミーナはベッドの縁に座りながら笑う。


「大丈夫だよ。

 だってセシルは、ちゃんと強くなってるもん」


「そ、そうかな……」


ミーナはふっと優しい声で言った。


「うん。私はそう思うよ」


その瞬間、

《気配感知》がほんのわずかに震えた。


(……また……?)


だが今度は、

ミーナが心配させないように笑う。


「明日は早いから、寝よ?

 きっと忙しくなるよ」


「……うん!」


二人はランタンを消し、

静かな夜に身を委ねた。


窓の外。

鉱山の方角で、黒い影がふっと揺れる。


人には見えない“気配”。

魔でも獣でもない、もっと別の何か。


それはただ静かに──少年たちを見つめていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


第14話は

● カザンでの初めての夜

● 初報酬

● ドワーフ鍛冶による装備強化

● 冒険者らしい買い物

● 鉱山の伏線

と、これからの冒険に向けて準備が整う回になりました。


次回はついに

鉱山調査の正式受理・出発!


ワクワクしたら

ぜひ ブックマーク登録 & いいね! をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ