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スキル「執事召喚」でコトリは異世界を優雅に歩く  作者: 阿井りいあ
二章

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46/50

46 ここにうちわがあったら振っている


 ひとまずエミルを落ち着かせるためにも、久しぶりにお茶の準備をしてもらうことに。


 アレクサンダーを呼ぼうかとも思ったけど、エミルが出来ると張り切っていたので今回はお願いすることにした。エミルのお願いに弱い自覚はある。


「どうぞ!」

「ありがとう、エミル! いただきます」


 にっこにこでお茶を出してくれるエミルに癒されながら早速一口。


 ……ん、んん? こ、これは!


「おいしいっ!」

「えへへ、ありがとうございます!」


 えっ、美味しすぎるんだけど!? 何これ、同じ茶葉のはずなのに香りからして違う……!


 はっ、まさかこれが器用さAの実力っってこと!?


 エミル曰く、もっと上手に淹れる執事もいるとか。それはちょっと気になるかも……。


 と、今はそんなことを考えている場合じゃないね。ちゃんと確認しておかないと。


「それで、戦う術って言っていたけど……エミルの言う『戦う』っていうのは、貴族相手にってことだよね?」


 当然、物理的な戦闘という意味ではない。

 そもそも別に喧嘩するわけではなく、きちんと貴族相手に対応出来るように、知識だとか気品だとかそういうのを身に付けることを言ってるんだと思う。たぶん。


 ただ私に気品はないし、お金だってない。

 後ろ盾もないただの小娘がどう立ち向かえるというのだろうか。


「はい、そうです。コトリ様はあまり貴族についてご存じありませんよね? 振舞いとかも……」

「うん、なんにもわからない」

「では、やはり次の町に着く前に貴族との関わり方について知っておいたほうがいいです! 僕は……その。あまり詳しくないのでうまくお教え出来ないのが歯痒いんですがっ」


 悔しがるエミルも可愛い。

 適材適所だよ、エミル。君は私をこんなにも癒してくれるんだからさ……。


 エミルはくっ、と悔しそうな顔をしてから再び顔を上げると、意気込んだ様子で告げる。


「舐められない程度に振る舞えるようにしましょう! 貴族の中には、どうせ平民だからと適当なことを言う人も多いですから。いかにも高そうな芸術品を気軽にプレゼントしておいて、実は大した物ではなかったとか、そういう地味で誰の得にもならないようなことを平気でするんですよ鼻で笑いながら優越感に浸りたいがためにっ」


 まるで実際に起きたかのような話しぶりだな……貴族への恨みが滲み出ている。

 昔の主人が貴族に騙されたりでもしたのだろうか。


 ま、まぁ、聞かないでおこう。


「たしかに、一度しっかり勉強しておく必要があるかも。その分野に特化した執事がいるってことだよね?」

「はい!」


 なるほどね。ある程度の教養を得ておき、平民の割にやるな、程度には思われておいたほうがいいってことか。

 目立ちすぎるのはどうかと思うけど、見下されてカモにでもなったら目も当てられないしね。


 エミルの体験談、かどうかはわからないけど、誰の得にも損にもならない嫌がらせ程度ならまだいい。

 ただ、目をつけられて今後の旅に支障が出る事態は避けたいからね。


 ミハイルさんはそんなタイプには見えなかったし、他の貴族に会うつもりもないけど……念には念を、ってことをエミルは言いたいのかも。


「よし。じゃあ早速呼んでみようかな」


 魔力に余裕もあるし、早めに出発してうっかりミハイルさんたち一行に追いついてしまわないためにも、ここで時間を使うのはいいと思う!


 えーっと必要なのは、貴族と関わる時のマナーや対応方法、振る舞い方を教えてくれる人。

 しっかり頭の中で思い浮かべて、と。


「執事召喚っ!」


 新しい執事を呼ぶのはやっぱりドキドキするね。

 今度はどんな執事と出会えるかな。


 魔法陣からゆっくりと現れたのは、茶髪のワンレンをサラリと靡かせた執事だった。

 なんというか、佇まいからして美しい。執事服もシンプルながらボタンや中に着ているシャツやベストがすっごくおしゃれ。高級感が漂っている気がする。


 控えめなピアス、綺麗に整えられた爪、薄く施された化粧。


 一分の隙も見られない、完璧な礼。


「お呼びいただき光栄ですわ。あたくしはスタイリッシュ執事のフェイビアン。どうぞお見知りおきを」

「かっ……」


 思わず両手で口を覆ってしまう。


「かっこいい~っ! 美しい~っ! ファビュラスっ!」

「えっ、なっ、なによ、急に」

「ごめんなさい! マナーがなってないですよね。でもあまりにも美しかったので、つい!!」


 こんなにも美しい人を前にして冷静でいろというほうが無理だよ!!

 今まで召喚してきた執事たちもみんな、お顔は整っているよ? それぞれがイケメンだし男前だし可愛い。


 しかし、このフェイビアンはその域を超えている……!


 お顔やスタイルの造形だけではなく、漂う雰囲気がまず常人ではないし、指先や髪の一本一本まで美しく見えるんだよ。

 ひぃ、直視し続けてはいけない気がする! 芸術品すぎる!


 あまりにも眩しくてついに顔を全て両手で覆ってキャーキャー言っていると、フェイビアンから大きな声が飛んできた。


「あたくしが美しいのは当然でしょっ! その程度であたくしは絆されたりしないわよっ!!」

「やだ、怒った声も美しい……」

「なんなの……? 今は何をしても褒められてしまうわ……困ったヒト」


 と言いながら声にまんざらでもないような響きを感じる。


 えへへ、まぁね、褒められて嬉しくない人はいないもんね。今の私の誉め言葉は全てが本心だけど!


 興奮冷めやらぬ中、エミルがそっと近づいてきて耳打ちをしてくれた。


「これは初手で気に入られましたね」

「えっ、そうなの?」

「フェイさんは素直じゃないんですよ」

「……素直じゃない執事、多くない?」


 彼……彼女? えーっと、フェイビアンはツンとした様子でそっぽ向いているけど……たしかに耳が少し赤いかもしれない。


 え、美しいのに可愛いなんて罪深い……。


 エミルがいなかったら、私はずっとフェイビアンの美しさと気品に中てられて緊張し続けていただろう。

 可愛い一面を知ったことでどうにか耐えられる……かどうかはわからないけど、冷たい言葉をかけられても落ち込まずにいられそう。


 ほら、美人って一周回って怖いじゃん?


「それで?」

「えっ」

「えっ、ではなくってよ。あたくしを呼んで、なんのご用かと聞いているの! ぽやぽやしちゃって、まったくもうっ」

「ご、ごめん」


 冷ややかに私を見下ろす美人はやっぱり怖いと感じたけど……うん。ぷんぷんしてると思えば可愛く見える。


 美しく可愛い執事、召喚しちゃいました!


=====


【フェイビアン】

タイプ:スタイリッシュ

HP:5000

MP:5000

攻撃力:D

防御力:C

素早さ:B

賢さ :A

器用さ:S

運  :D


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