表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル「執事召喚」でコトリは異世界を優雅に歩く  作者: 阿井りいあ
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/43

34 第一ラウンド!


 今、私は遠い目になりながらドムとエテルナの後姿を眺めている。

 お手をどうぞとエスコートを始めたはいいものの、ノリが軽すぎるドムに舞い上がるエテルナを足したら腕を組んだままスキップし始めちゃったんだよね。


 エスコート、とは……?


 おかげで目立つわ、目立つわ。道行く人が二度見していく……。

 私は少し離れた位置から後をついていってるんだけど、正直他人のフリをしたい。というかしてる。

 ドムがまた顔がいいから余計に浮いてるんだよなぁ。楽しそうだネ……。


「エ、エテルナ!? お前、何してんだよ!?」


 すごく恥ずかしいけど、目的の人物も簡単に釣ることが出来た。

 すぐに引っかかってくれて助かったよ……。この苦行、これ以上続くのは辛かった。


「何って……デート?」

「デートっす!」

「は、はぁぁぁぁぁ!?」


 ここぞとばかりに腕にぎゅっとしがみつくエテルナに、無邪気な笑顔で横ピースを決めたドム、わなわなと震えながら叫ぶカイト。


 盛り上がってまいりましたぁ! ただめちゃくちゃ注目されている! 他人のフリ続行!


「お、お前っ、誰だよっ!」

「オレちゃんはドム! 君こそだーれ?」

「俺はっ、俺は! エテルナの……おっ、幼馴染だ!」

「へー、仲が良いんだ?」

「ぜんっぜん良くないです、ドム様! カイトは意地悪ばっかりしてくるので私が嫌いなんですよ。私だってカイトが嫌いですけど!」

「ぐはっ」


 エテルナの会心の一撃が決まった。初手からこんなにも綺麗に決まるとは。

 ドムはおそらく話せば話すほどボロが出るので、早めに退散させたいところだけど、いけるかな?


「そっかー、嫌いなら近付かないのが一番っすよ? お互いのためにね☆」

「ドム様もそう思いますか? じゃあ近付きませんっ」


 出た、無自覚に煽るドムとそれに乗っかるエテルナ~!

 ドムはあんまりカイトを刺激しないでほしい。帰るに帰れなくなっちゃうじゃん!


 傍から見たら完全にバカップルなんだよなぁ。エテルナはあとでちゃんとドムとさよなら出来るんだろうか。


「ってかお前、エテルナとどういう関係なんだよっ」

「コト……っ!」


 私の名前を出しそうになったところで思いっきり睨む。すると視線をちらっとこちらに向けたドムはギリギリのところで口ごもった。

 よしっ、耐えた! ご主人様だとか執事だとか言わなかったし、えらいっ!


 ただその後、ドムは心配になるほど目を泳がせている。アドリブに弱い執事だ……。

 しかしここは頑張れと祈ることしか出来ない。頑張れ。


「オ、オトモダチっす!」

「友だちぃ? その程度でエテルナを……」

「ドム様っ! 私のこと、友達だと思ってくれるんですかぁ!? う、嬉しい……っ」


 えらい! 頑張った! 感動した!

 エテルナのフォローもいい感じだ。あれはフォローというより素で言ってる気がしないでもないけど。


「おい、エテルナ! なんだってこんなヤツと親しげに……」

「野蛮なカイトは黙ってて」

「や、野蛮……?」

「そうよ! だってそうでしょ? ほら、見て!」


 エテルナはキッとカイトを睨みつけると、両手を広げてドムを示す。

 おそらくこの騒動を見ていた人たち全員が今ドムに注目している。


「顔を合わせる度に文句と悪口ばっかりのカイトと違って、ドム様は誉め言葉をかけてくれる優しい人なの。素敵でしょ?」

「え、誉め言葉っすか? 思ったことしか言ってないっすよ?」

「しかも無自覚に謙虚!」


 それはたしかにドムの良いところだ。人の良いところを見つけるのが上手いのかもしれないね。

 私に対してもコトリ様は優しいとか可愛いとか言ってくれるし。お世辞でも嬉しいけど、割と心の底から言ってくれているのを感じるのだ。


 アレクサンダーは全てが嘘くさいけど。


「なっ、ただのタラシ野郎じゃねぇか!」

「たとえタラシだとしても、攻撃的で乱暴な男より何百倍も良い! それに!」


 まぁ、タラシと言われればそれはそうと言わざるを得ない。特に無自覚は罪深いからね!

 エテルナもその部分は特に否定する気はないみたい。そして続けざまに自信満々で叫んだ。


「美男子なら! 許される!!」


 ……言ったなぁ。


 しかし、周囲の女性たちは揃って何度も頷いている。男性たちはなんかすごい形相になっているけど。


 仕方ないよ……君たちだって美女なら許せる、みたいなところあるでしょ? お互い様てやつだよ。

 見目が良ければ得も多い。世界共通だね。世知辛いね。


 でもたぶん苦労も多いんだよ。我々が知らないだけでさ。悔しがるだけ時間の無駄、無駄。


 しかし、この言葉を真正面から言われたカイトには相当なダメージが入ったようだ。わずかに足元がふらついている。


「だからカイトはまず鏡を見て出直してきて! その程度でしかないのに口が悪いとか、救いようがないじゃん!」

「がはっ」


 うわぁ……。ついにカイトが膝をついた。これはキツい。

 関係のない人に言われるなら怒りしか湧かないかもしれないけど、好きな子に言われちゃあ再起不能になるのでは?


 エテルナ、手心って言葉を……知ってたらそんなこと言わないか。相当ストレスが溜まっていたのかもね。


 まぁ、一度は言いたいことをぶちまけるのも大事かもしれない。カイトは自業自得な部分も大きいし、これまで散々エテルナに言ってきた分が返ってきたってことだ。


 もう少し黙って見守ろう。というか無関係な立場の私にはもはや止めようがない。

 ただ、あんまり時間かけるとドムのボロが出そうで心配だ。召喚時間に余裕はあるけど……どんな決着がつくのが予想がつかなくなってきた。


 ……決着、つく、のか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ