第二章 街に出かける
翌朝。
よく寝れたリユウは家に戻る。
「おっす、朝飯できたぞ」
ヒロが準備してくれていた。
「うん」
パンと目玉焼きだ。鳥の生卵を割ってそのまま焼いたらそういうらしい、不思議。
「今日は街に行こーぜ、気になることもあるし」
「ん…?いいよ」
暮らしてる小屋は街の外れにある。
徒歩で向かって、昼前には街に着いた。
ーアルセリア街ー
2人は市の中心部へ向かう。市場は活気にあふれ、色とりどりの布地と香辛料の匂いが混じっていた。
「さて、とりあえず服でも買いに行くか 身なりがどう考えてもよそ者くせぇ」
自分の服装は……服はよれて 半ズボンはゴムが少し伸びていた。
僕はあまり気にしてないけど。
「お金、あるの?」
そう聞かれたヒロは後頭部に手を当てて
「ちょっとなら…」
気まずそうにそう答えた。
2人で服屋に向かう途中
「待て、コラッ!」
怒号とともに、少年がリユウの目の前を駆け抜けた。片手に小袋――間違いなく泥棒だ。
「そこ止まれっ!」
警備の者らしき人が少年を追いかけている。
向かってきた少年が過ぎ去ろうとしたその瞬間、ヒロが背後から腕をつかみ、地面に押さえつけた。
その少年はまだ幼く、リユウとそう年齢も変わらなかった。問いただすと、生活の為お金を盗ったという。ヒロはしばらく黙っていたが、やがて店主に頭を下げて事情を話し、許してもらった。
あと小銭もあげたから服の買い物は諦めた。
その夜、宿に戻った2人は、お持ち帰りした夕飯を食べながら話し合っていた。
「これ(もぐもぐ)すごく美味しい!(ゴクッ)なんていうの?これ」
リユウが肉を口に入れたあと、ホカホカのご飯をかきこんだ。
「器にご飯を入れて肉を盛った、ただそれだけの一品。
一番見かけるチェーン店の『牛の屋』だな
色んな各地にあって、店の味と値段が一緒で誰でも入れる便利な店 庶民はとても世話になるぞ」
そう、目を瞑って語りだすヒロ。
街に来たら絶対寄ろう、リユウはそう心に決めた。
「街の人は毎日食べれるの羨ましいな〜」
牛の屋にどハマりしたリユウにヒロは
「働いた後に食うともっと美味いぞ!明日は少し働いて、また食おうぜ!」
「うん、楽しみ」
ふと、同じ食堂にいる別テーブルの客が話している話題に耳を傾ける。
「今日の昼間の件、聞いたか?」
「あぁ…屋敷の子の…」
「そうだ。可哀想だよな、あの年齢で独りになっちまうなんて」
「あの屋敷にいた錬金術師達は、爆破事故を起こしたあと追放されたらしい。」
「まじかよ、主人は爆発に巻き込まれて亡くなったけど裏で何してたんだろうな…」
「さぁな…」
ちらりと壁を見る
『屋敷の瓦礫撤去』お手伝い募集!の貼り紙があった。
「明日は瓦礫撤去しに行くか、報酬もあるし」
「いいよ」
「錬金術師の話も気になる」
顎髭のチリチリを指で擦りながらヒロは言う。
ふと興味なさげだったリユウは
(そんなにすごい研究してるのかな?と、少し興味が湧く)
後片付けをして、宿の広い洗面所で歯を磨いて風呂に入ったあとは、ベッドですぐに眠りについた。