表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/85

 窃盗団に遭遇する

リユウが寝ていた草原の左手には抜け道がある。

その先に川が流れている。

血の匂いを辿ってきたのだろう。

群れから離れたオスのオオカミか。


「まさか、血を辿られたとはなぁ。」


草原の中央で2人組が見えた。

すでにオオカミは窃盗団に狩られていた。


「ちょっとまて」


「え?」


ヒロはリユウを止めて前を確認する。


「先客がいるよーだわ…」


木陰から覗き見する。

2人組の山賊みたいな男がナイフと手斧持ってオオカミを捌いていた。


「こりゃあいいぜ!美味い肉が手に入った!」

「毛皮も売れるしよぉ?なぁんでこんなとこにオオカミいるのか、まぁ飯の足しになるしいいか!」


あぁ…僕らのご飯が…と思うのもつかの間

ヒロは出ていった。


「お前さんら、ちょっくらいーか?」


「あぁ?誰だてめぇは」

「ソロとはいい度胸してるな?」


声をかけられた2人はすぐに臨戦態勢になった。


「いや、実はその獲物追っかけてきたんだが、見たところ窃盗団かなにか?」


二人組は自信満々に


「はっ、聞いて驚けよ。俺達は、フコウと!」

「サイナンだ!!」


「んー?」


暗くてよく分からんが、斧の方がフコウでナイフの方がサイナンらしい?


「丁寧に自己紹介どうも…」


若干引き気味で返事をするヒロ。


「俺の親父が窃盗団だったんだわ、昔だがあんまり良いイメージないんで…くたばってくんねぇ?」


ヒロは言いきったあと、立てた親指を下におろす。


「んだとぉ!?」

「上等だ!」


勢い良く走ってきた二人。

だが、片方は不幸にも蔦に絡まってこけてしまう。


「ぐふっ」


腹からこけて叩きつけられ、フコウは雑草に埋もれた。


「アニキ!?てめぇよくも!」


サイナンが叫ぶ。

ヒロは一歩も動かなかった、ただ迎え撃つと言わんばかりの格好で。


リユウは木陰からみていたが、バレてなさそうなので右側に屈みながら雑草に隠れつつ移動しはじめていた。

視力はいい方で、夜の暗闇にも目が慣れてきた。


(ヒロにーちゃんの目の前って、確か…)


〜半月前〜


「リユウなにやってんだ?鼻がもげそうなんだが…」

「なんか土にう○こ混ぜるといいらしい。だから毎日狩った牛のブツを土に盛ってる途中」


「は?」


唖然としたヒロが下を見ると、8割う○こ沼になっていた…


「ただのクソ沼ゾーンにしか見えんのだが?」


「え?でも本には成長にいいって…。

あそこに咲いてる綺麗な花がいっぱい咲いたらいいなぁって思って」


リユウは肝心なところを読んでいなかった。

肥料の主成分である窒素が過剰になると、植物は葉っぱの成長に力を入れてしまい、果実や花の成長が弱まる可能性があります。

と、デメリットが続きに書いてあったのだった…。

明らかにそこだけ雑草が多く成長しているところに足を踏み入れたサイナンは

災難にも、足を滑らせてしまう…


「うぉっ、ぁぁあああ!?」


べちゃあっ


勢い良く滑ってヒロの前で尻もちをついたサイナンは、頭から一刀両断。

振り下ろされた斧で絶命した。


「おーいフコウ!はやくしねぇとサイナンが死ぬぞー?」

「っ!…殺すっ!」


完全に前しか見てなかったので、側面から回ってきていたリユウにフコウは首を斬られた。


「あがっ…!!」


「おっし、作戦勝ちだな?」

「え…」

(なにも考えてなかったような…)

真顔でヒロを見上げるリユウ


僕らの完全勝利。

夜も更けてきたので、いつもの昼寝場の大木のそばで焚き火の準備をする。

折った木の枝に、切った鳥の肉を通して串焼きだ。

オオカミはヒロが下処理をしている。


(サバイバル術に長けてるって格好いい…!)


ナイフを咥えて仕込みしたり、焚き火の準備したり…色々してるヒロを見て、内心リユウは興味津々だった。

こうして腹ごしらえを済ませて、無事自宅に戻っていった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ