はじまり
ドワーフの青年とエルフの青年との冒険録
スティフィン皇国は大陸一の大国で、様々な種族が共生している。その中でも代表的な種族は5種族存在する。
エルフ族――寿命は1000年生き、自然豊かな森や森林などで生活しており、弓や魔法が得意。長身で見目麗しい外見をしている。
ドワーフ族――身長が小さく鍛治仕事が得意で、お酒が好き。豪快な性格をしているものが多く、鍛治をするのを好む。
小人族――身長が小さく、物作りが得意で、革製品や被服の作成が得意。
リザードマン族――寿命は長く、本当に長く生きる、外見が爬虫類のような目や鱗などの特徴がある、祖先は竜である。
そして、人族――説明は不要だろう。
そして、冒険者と呼ばれる、モンスターの討伐や、珍しい品の採取などを行う、探索者が存在する。
この5種族同士で表面上は仲良くしているが、小さな諍いは頻発している。ドワーフとエルフ、ドワーフと小人族、小人族と人族、リザードマンとエルフなど、種族間での揉んだいも様々だ。そんな小さな諍いは度々あるもののそこそこ平和に暮らしている。
この世界にもモンスターが存在し、5種族の脅威となっている、そのため、人族をはじめとした冒険者業が盛んになり、ステフィン皇国には冒険者業が盛んな大陸となり、モンスターの落とすドロップ品や素材によって経済が活性化している。地方にも冒険者を統括する通称`ギルド`が存在し、ギルド間の連携により大きな戦いもここ500年は存在しない。昔には魔王や勇者などもいたが今ではほとんど名を聞かないほどには平穏は保たれている。
そんなステフィン皇国の首都近郊に存在する。あまりモンスターが強くなく依頼も豊富な冒険者の街リース、通称“はじまりの街“には初心者冒険者が多く集まり、発展している。そのため駆け出しの冒険者が多く集まりある程度のランクになるまで、このはじまりの街に滞在する。様々な種族が混在するため、多くの冒険者たちがこの街からパーティーを組んで出ていく者も多い。
そんなはじまりの街リースに到着したあるドワーフの青年がいた。彼の名はヴィトル、年齢はドワーフ族の中でも若く、典型的なドワーフのように筋骨隆々ではなく、ドワーフ族からすればほっそりとした体型の青年であった。彼は、ドワーフの郷での依頼を多くこなし、ドワーフの郷以外にも目を向けるべく郷の外へとやってきた青年だ。冒険者になり早数年経過している。武器はクロスボウを操りモンスターを倒す。だが、彼はドワーフでも臆病な性格で、故郷でも少し煙たがられていた。彼のこなす依頼の多くは人助けの依頼や採取が主でで、討伐の依頼がすくなかった。ヴィトルは、人間や他の種族をあまり見たことがなく過ごして生きていたのでこのリースになじむのにも苦労した。まず、価値観の違いやドワーフならば簡単にこなせることも他の種族ではできないことを痛感し、日々、理解をしようと努力をしている。
「ここは、本当に色んな種族がいるんだなぁ」
彼は感嘆の声をもらす。ここはリースの街の中心部に存在するギルド前の光景。周囲には、買い物に行くのであろう人族の主婦、これから討伐に行くのであろう、エルフ族の一団。商売道具を馬車に積んで急いでいる様子の小人族。そして、同じようにギルドの受付の列に並ぶリザードマン。
ヴィトルが今日ギルドに訪れているのは、ギルドマスターであるアレスの呼び出しによりギルドへと赴いていた。
呼び出された理由は分かている。ヴィトルはフリーの冒険者で現在のランクはDランク。丁度、中堅に当たるランクになっており、もうすぐ昇格の話も上がっていたのでそのことだろうとこのギルドへ足を向けた次第だ。
「ヴィトルさん!!」
そう声をかけてきたのは、このリースの街の人気受付嬢のエマ。金髪を後ろに下ろした知性溢れる青の瞳を持った美しい女性。ギルドの制服に身をつみ今日もギルド来訪者への対応に大忙しの女性だ。
「あぁ、エマ嬢、今日はギルマスに呼ばれていたお思うんだけど………」
「はい、ギルドマスターのアレスさんからも聞いてます、直接ギルド長室へくるようにとのことです。」
「わかった、それと前に頼まれていた薬草の採取の精算もお願いできるかな?」
「はい!勿論承りますよ、本当に助かります、これからの時期にポイズンスネークやポイズンベアーの繁殖期が近いので品薄になるところだったんですよ。助かります。」
「それはよかった、採取場所にいいポイントが見つかってね」
そう言うと彼女はにっこりと微笑んで
「そうなんですね!では、執務室の方へお上がりください、お話が終わってからあ精算にしましょう。」
「ありがとう、帰りにまた受付に寄ることにするよ」
そうして、エマ嬢に促され2回のギルドマスターの執務室へ向かっていく。
ギルドマスターの執務室へ辿り着き、ノックをしよとすると、どうやら先客がいるようだった。
「〜〜〜〜〜っだから!!なんで俺がパーティーを組まなくちゃならないんだ!!!」
「だから、何度も言っているだろう、お前は前に踏み込みすぎていて危ないんだ、パーティーを組めば少なくとも協調性が身につくだろう」
「誰が、そんなもん頼んだ!俺は一人で依頼をこなしてDランクに最速で上り詰めたんだぞ!!」
「それはそもそもお前がうんびゃく年前のギルドカードで来たからだろうが!!」
「仕様を変更しているギルドがわるい!!」
何やら、騒がしいを通り越してギルマスとどうやら先客がお互い怒鳴り合い寸前の模様。これノックしてもいいのか?トンズラしても構わないかな。
「おい!!扉前にいるやつ入れ!」
気づかれた。おそらく気配で気づかれたんだろうな、観念してこの修羅場に突入することにしよう。そう腹を括ってノックをして入室した。
ギルマスの執務室にはギルドマスターであるアレスと先客はどうやらエルフのようだ。
「おい!ここはドワーフ風情がくる所ではないぞ」
そう言いいながら腕を組みながら俺を睨むエルフ。
「俺は、アレスに呼ばれてここに来た」
と、エルフのことは無視して用件だけアレスに言う。そう言うと、いかにも不機嫌ですという顔でアレスを睨む。
「そうだ、俺が呼んだんだ、だからお前に指図される言われもない、ここは俺のギルドだ」
また、大胆なことを言うなこの人はと思いながらことの成り行きを見守る。
「ドワーフも入れるようになったのか、あんな土と鉄くさいドワーフを」
否定できないなと思った。自分以外のドワーフは基本的に鍛冶を営むものも多く、冒険者になるのは自分で素材を確保したからとかまだ見ぬ功績を求めてが主な理由だからな。あと俺たちの住居は洞窟じゃないぞ。勘違いされやすいがな。
「それよりも、なんのようで呼び出したんだギルマス、俺は呼ばれたからここにいるわけだが」用がないのなら、採取に出かけたいのだが………。「それよりも、なんの用で呼び出したんだギルマス、俺は呼ばれたからここにいるわけだが……」
ヴィトルとエルフの青年ががそう言うと、アレスは静かに立ち上がり、机の向こうから歩み寄った。
「そう焦るな。お前には重要な役割を頼みたい。……いや、頼むしかない状況なんだ。」
アレスは難しい表情を浮かべながら扉を閉め、部屋の鍵をかけた。そして声を潜めて続ける。
「実は、最近このリース周辺で高ランクのモンスターが次々と出現している。通常ならBランク以上の依頼で扱うような強力な奴らだ。」
「Bランク以上のモンスターがここで?それはおかしいだろう。ここは初心者向けの依頼が多いはずだが……」
「その通りだ。だが、おかしな現象が続いている。周囲の魔力濃度が異常に高まっているんだ。そして最悪の事態を考えている――“封印された遺跡”が動き出している可能性がある。」
ヴィトルはその言葉に息を呑んだ。
封印された遺跡。それは数百年前、リースの近郊に封印された古代の魔王の眷属が眠る場所だと言われていたが、今ではほとんど忘れ去られている伝承だった。
「それで、俺に何をしろっていうんだ?」
「お前にはその遺跡の調査を頼みたい。もちろん、単独で行かせるつもりはない。……だが、お前の採取の知識と慎重な性格なら、他のやつよりも生存率は高い。」
そこでアレスはエルフの男を指差した。
「こいつも一緒に行ってもらう。“アムラス”だ。腕は立つが、協調性がないのが問題だ。……だが、今回ばかりはお前と組んで協力するしかない。」
アムラスは舌打ちしながらヴィトルを睨んだ。
「俺がドワーフごときと組むなんてな……だが仕方がない。さっさと片付けるとするか。」
「もちろん、成功すれば二人ともCランクへの昇格を考えている。報酬も破格だ。」
アレスはそう言いながら、机から地図を取り出し、二人に示した。
「この森の奥にある“忘れられた地下遺跡”を調べてこい。そして封印が解かれかけている兆候があれば報告しろ。ただし……決して深入りするな。あそこは“生きて帰れた者がいない”場所だ。」部屋の空気が一気に重くなった。
ヴィトルは息をつき、アムラスと視線を交わす。嫌な予感が全身を駆け巡るが、それを隠して言った。
「……わかった。やってみよう。」
ギルドマスター室を出たヴィトルは、アムラスと一緒にギルドの階段を降りていった。
「……はぁ、厄介な任務に巻き込まれちまったな。」ヴィトルが呟く。
「チッ、そう思うならさっさと降りろよ。足が遅いドワーフめ。」アムラスが冷たく言い放つ。
二人はそのままギルドの倉庫に向かい、準備を始めた。まずは必要な物資をそろえる。
遺跡探索に必須なアイテムをリスト化し、ヴィトルが自分で確認しながら詰めていく。
「採取が得意だって聞いたが、準備はしっかりしてるんだな。」アムラスが少し感心した様子で呟く。
「遺跡調査や森での探索は準備がすべてだ。採取の時は、少しの不備で命を落とすこともあるからな。」ヴィトルは手際よくクロスボウを点検しながら答えた。
物資の中身はこうだ:
•携行用ランタン
•携帯食と水(少なくとも三日分)
•解毒薬と治癒薬
•ロープと鉤爪
一通り確認を終えたヴィトルはアムラスに言った。
「お前の準備は?」
「俺にはこれで十分だ。」アムラスは腰に下げた長剣を軽く叩いた。
「……それだけか?」ヴィトルは呆れた表情を浮かべた。
「俺には不必要な荷物はない。戦いは速攻がすべてだ。」
「そうか……ま、倒れるなよ。」ヴィトルは半分ため息をつきながらも、念入りに最後の確認を行った。
彼の目は慎重そのものだ。戦闘が得意ではないヴィトルにとって、準備の段階で勝負は決まるのだ。
準備が整った頃、ギルドの入り口でエマが二人を見送った。
「ヴィトルさん、気をつけてくださいね。遺跡の噂、最近また物騒な話が多いんですから……」
「ありがとう、エマ嬢。心配しなくても無理はしないさ。」ヴィトルは軽く手を振った。
アムラスはエマを一瞥し、冷たく言う。
「さっさと行くぞ。無駄話してる暇はない。」
「はいはい……やれやれ。」ヴィトルは苦笑しながらも足を進めた。
森への道はまだ静かだが、どこか空気が重く感じられる。
「アムラス、あの遺跡には行ったことがあるのか?」
「……一度だけな。だが奥まで行く前に引き返した。深入りすれば死ぬと確信したからな。」
その言葉にヴィトルの緊張が増した。
「引き返した、か……じゃあ、その時に見たものは?」
レイヴァスは一瞬視線を森の奥に向け、低い声で言った。
「……“目”だ。」
「目?」
「ああ、何かがこっちを見ていた。……巨大で、深淵そのものみたいな目がな。」
ヴィトルはゾクリと背筋が冷たくなった。
「なるほど、これは本当に厄介な任務になりそうだな……」
森の中を歩きながら、二人は周囲に目を配っていた。昼間だというのに木々が生い茂り、太陽の光がほとんど差し込まない。湿った土の匂いと鳥のさえずりが耳に残る中、二人の足音だけが静かに響いていた。
初めまして、霧咲紫苑です。今回初めて小説を投稿します、お手柔らかにお願いします。