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勇者も別に無敵じゃない  作者: 昨夜さく
3/3

本の行方


イオはあったことをすべて僕に話してくれた。


イオは僕が貸した本を、あとでゆっくり読もうと自分の部屋の机に置いていたらしい。そしておじいちゃんとお父さん、お母さんと晩御飯を食べた後部屋に戻ったら机の上から本がなくなっていたという。


僕が家族に本のことを聞いたのかと尋ねると、本がないと気づいたのがおじいちゃんが自分の家に帰った後だったから、おじいちゃんには聞けなかったとイオは言った。

それじゃあイオが不安そうだったのは自分の身内が犯人かもしれないということなのかと僕は思った。



しかし、イオがあんなに不安そうだった理由はほかにあったのだ。

それは、イオのおじいちゃんが僕らが通っている学校の教師ということである。


イオと僕は、現在国の試験に合格した者が通える学校の中等部に通っている。中等部は1~4年まであり、そこでは基本的に法律や国の職業の大まかな内容を学ぶ。そして中等部の生徒は、卒業をしたらそのまま自動的に今の校舎からは少し遠くの高等部に通うことになっている。

ここで問題となってくるのは、イオのおじいちゃんが高等部の先生で、図書室の管理をしている先生ということである。


イオはおじいちゃんが人のものを盗むはずがないから、図書室の本と勘違いして持って行ったのではないかと考えた。


だが、イオのおじいちゃんは昨日たまたまイオの家に来ていただけで、普段は学校の宿舎で過ごしておりめったに会えないのだ。

そして、自分たちで図書室に行きたくても図書室は重要な資料があるとかで、高等部の人しか利用できなく中等部の生徒は皆どこに図書室があるかさえも知らない。


まだイオのおじいちゃんが本を持って行ったと決まったわけではないがもし本当にそうなら、僕の本は高等部に上がるまでのあと2か月は帰ってこないということになる。


だから、イオはあんなに不安そうな顔をしていたのだ。



「カノア、本当にごめん。あの後部屋中を探してみてもなかったんだ。」

「母さんにいろいろ聞いてみたらじいちゃんがご飯の直前廊下に出ていたって言ってたんだ。だから、じいちゃんが持って行った可能性が高いと思う。」


イオは今にも泣きそうな声でそう言った。


「わかった。とりあえずイオはおじいちゃんと会えたら、本のことを聞いておいてほしい。ないものはしょうがないからさ。僕らもあと2か月で高等部に上がれるんだし、上がったら図書室に行って一緒に探そうよ。」


イオが嘘をついているわけがないし、イオの話が考察が当たっているならだれも悪くない。

一番好きな本がどこかに行ってしまったことが悲しくないと言ったらウソになるけど、さいあく本は今度お母さんにどこで買ったのか聞いて、買いなおそうと思う。


だが...


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