表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

妖狐よ、騒霊の音色で舞え

作者: 虹彩霊音
掲載日:2022/07/01


冥界、あの世である。いつもは幽霊がそこらいっぱいに蔓延っているというのに、今だけは何もない。その何もない空間の最中、音楽が聞こえてくる。その音楽に合わせて、ひとりの亡霊が舞う。


「〜♪」


「〜♪」


遠くから、龍と虎が見守っている。


「・・・・はい、お仕舞い」


「素敵な舞でしたよ、暁様」


「姉ちゃん達の演奏とも息ぴったりだったぜ」


「暁さんと私達は最早()()()()()()()()だよね!舞に導かれて演奏してるようでもあって…演奏に篭った想いが舞に現れてるようでもある」


「うんうん、舞を見てると勝手に体が動いちゃうんだ。抑揚の付け方も魅力的〜♪」


「・・・・・」


すると突然、騒霊の一人が倒れかける。


「わっ、姉さん大丈夫?」


「ああ…少しふらついただけ、疲れただけ。ふふ、おかしいよね。暁さんの方が疲れてるはずなのに」


「演奏も体力使うんだろ?そんなこたないだろ、謙遜すんなって」


「…ふぅ。それで…暁さんが言っていたものはできた?」


「ああカメラか?言われた通りのボタン押したぜ。ヒビ入るくらい入念に押したから撮れてるだろ」


「びゅーてぃふぉーな舞が撮れてるはずだね!」


「・・・・」


騒霊の瞼が閉じかけそうになるが、必死に抗う。それを見た亡霊は縁側に座り…


「ちょっとこっちいらっしゃいな」


「はぁ…?」


言われるがまま亡霊の隣に座る。すると


「!?」


肩に優しい圧力がかかったかと思えば、騒霊の頭は亡霊の膝にふわりと乗っていた。


「疲れたらちゃんと休むのよ。貴方が頑張ってることは私よくわかってるから」


優しく手で撫でる、それはまさに母親。


「それに、貴方になにかあったら『お父さん』に顔向けできないじゃない」


「・・・」


「いい子いい子。貴方はとてもいい子ね」


「…あの、もう平気です」


「いいのよ、好きなだけ私の膝の上にいても。これ一度やってみたかったし。…それに、こんな遅くに『舞いたい』とわがまま言った私の責任だしね」


「いやそんなことないです…!」


「ありのままの私をカメラで撮っておきたかったのよ」


「ありの…まま?」


「カメラはその一瞬を切り取り記録する。それは真っ当な真実で嘘偽りは一切ない。だから残しておきたい、私や私の周りのもの…特別でなくとも大切なもの」


「・・・わざわざ形にする必要もないじゃないですか。私はみんなのそばから消えたりしませんよ」


「そう……そうよね」


「・・・」


亡霊が頭を撫でる、しばらくすると騒霊は静かに眠りについた。


「あらら、眠っちゃったわね。せっかくだからみんな泊まっていきなさいな」


「わーい!お泊まり会だ!」


「障子破って良い?」


「ダメです」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ