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7.侯爵への挨拶

 ――侯爵邸に来てから、約一ヶ月経った頃。


 漸く、礼儀作法も侯爵令嬢としての最低ラインをクリアできた。

 それはもう……、血の滲む様な努力をしたのだ!

 全ては義理の両親になった、ローガン・ダグラス侯爵夫妻に挨拶することと、ライアンに剣を習う為である。

 まあ、剣の稽古をしたいと言う気持ちが、圧倒的な比率を占めているのだけど。

 

 丁寧なお辞儀、カーテシーも流れるように披露できた……はず。つくづく運動神経がよくて良かったと思う。

 どうにか挨拶も無事に終わったので、やっと養女として認められたようだった。


 自分の部屋に戻ると、ホッとして力が抜ける。


「はあぁぁ。緊張して疲れたぁ……」

「お嬢様、とても見事な令嬢としての振る舞いにございました。リリーは感動いたしました!」

「ありがとう! 二人が支えてくれたからよっ!」


 一日十二時間以上の、マナーレッスンや王妃教育を頑張る姿を見てきたメイド達は、今ではすっかり心の友である。ハンナの入れてくれた、美味しいお茶とお菓子を摘み一息ついた。

 座っている私の両足首にふわふわとした感触。ダンとユウがスリスリして褒めてくれている。

 くすぐったくてニマニマしてしまう。


 優しく頼もしそうな侯爵夫婦。


 お義父様は、流石ライアンの父。

 がたいが良く、それでいて身動きがスマートて、まるで柔剣道場の師範の様な雰囲気だった。オールバックに整えられた髪型がよく似合う、とても魅力的なおじ様という感じだ。

 

 お義母様のエリアーヌ・ダグラスは、柔らかな物腰で知的な雰囲気の女性だった。

 巴だった頃の私には……どんなに頑張っても手に入れられなかったであろう、超完璧なメリハリボディ。それでいて品があり美しい。社交界ではとても目立つ存在だろうと容易に想像がついた。


「ねぇ、リリー。お兄様にお会いしたいのですが、どうしたらいいかしら?」


 早く報告したくてウズウズする。


「ライアン様でございますね。明日、聖騎士団本部よりお戻りになると伺っております。セバスチャンに伝えて、お時間を取っていただく様に手配致しますね」


 そう言って、頼りになるメイド達は部屋を出た。

 扉が閉まると同時に、ダンとユウに向かって喜びを伝える。

 

「ううぅ……やっと剣が習えるかもっ! 楽しみだわっ」


「本当に主人は剣道好きねぇ」とユウは笑う。


「ユウ違うよ。この世界は剣道無いから、剣術ってやつじゃないの?」とダンはユウにお兄さんぶる。


「うふふっ。2人とも私はどちらでも良いのよ? この手に剣を持ち、相手に叩き込む! その感覚を味わいたいのっ」


 ダンは口に入れていたクッキーをポロリとこぼし、ユウは肩を竦める。

 

(主人が令嬢になるのは無理なのでは?)

(それは、もはや剣士のセリフだね)


 ダンとユウは顔を見合わせた。


 せっかく、毎日の勉強の合間に、筋トレだって頑張ってきたんだもの。絶対に稽古をつけてもらわなければっ!

 よし、今夜もリリーとハンナに見つからないよう、しっかり筋トレやっておこう。

 ただ、この身体あまり筋肉が付かないみたい。残念。



 ――そして翌日、セバスチャンがライアンの伝言を伝えにきた。


 早速、ライアンと会えることになったが……。なぜか、ダンとユウを連れて自分の部屋へ来る様にとのことだった。

 なんで二匹を……? ああ、そうか! モフりたいのね、きっと。やはり、疲れた時のモフモフは最高だもの。


 


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