★最終話 会いに行く。★達也side
オレはふらつく足どりで家をでた。
何も考えられずに向かった先は理沙の家。
…オレは何のためにここにきたんやろう…??
ぼんやりと思いながら携帯をひらき、理沙の電話番号を押す。
プルルルル…
『もしもし?達也?』
何度かコール音が鳴り、理沙の声がした。
「………」
オレは何も言えなかった。
なんで電話したのかも分からんから。
ただ、なんとなく理沙の家のまえまできて、なんとなく電話をかけてみただけ。
正常に働かない頭でぼんやりと考えながらふと思った。
そうや…
理沙に大阪に戻ることを伝えるんや…
「…理沙、ちょっと外でてきてくれる??」
『うん…いいけど…』
理沙が訝しげに返事をする。
そりゃそうやんな。
こんな夜にいきなり呼び出されたらそんな反応にもなるわ。
理沙が通話を切ったので、パタンと携帯を閉じる。
『明日には大阪に戻るからな!』
頭の中でオトンの言葉が繰り返された。
あぁ…
明日には大阪に戻るんやったなぁ…
理沙と離れ離れになるんかぁ…
つぅ…
涙があふれだす。
…嫌や!
理沙と離れたくない…
流れる涙を止めようともせずにうつむいたとき、
「達也??」
理沙がでてきて、オレの名を呼んだ。
プチッ。
同時に、オレの中で我慢していた何かがきれた。
「理沙…」
つぶやくように理沙の名前を呼ぶ。
そこから、何がなんだかわからなくなった。
自分が何をやっているのかが、わからなくなった。
ズキッ!
腰に鈍い痛みが走って、やっと我に戻る。
「達也…どうしちゃったの…??」
上から涙の混じった理沙の声がふってきた。
「………」
理沙の問に何も答えず、働かない頭でぼんやりと考える。
…なんで理沙は泣いてるんやろう??
オレは何をしたんやろう…??
やっと、自分のしたことを思い出した。
そうや…
オレ、理沙が嫌がってるのに無理やりキスしようとして…
「…ごめん。」
うつむいたまま、つぶやく。
オレのせいで理沙が泣いてる。
そう思うと、罪悪感で胸がいっぱいになった。
「ごめんじゃないよ!なんであんなことしたの!?」
理沙が怒鳴った。
なんでって…
そんなんわからん…
何がなんだかわからんようになって…
それで…
夢中で理沙を感じようとしたんや…
だって…
「理沙…オレ、オレなぁ…」
震えてうまく声がでない。
それでも顔をあげて、声をしぼりだした。
「大阪に戻ることになってん…」
「…えっ??」
理沙の目が驚きに見開かれる。
信じられないとでもいうように、口をあんぐりとあけた。
「ウソ…うそでしょ??」
オレがこんなしょーもないウソ、つくわけないやろ…
またあふれだした涙を隠すように、うつむいた。
「オレ、理沙と離れたくない…」
だって…
理沙はせっかくオレが初めて自分で好きって思ったやつなんや…
一緒におって幸せやって思えるやつなんや…
それやのに…
なんで、離れなあかんことになるん??
オレは、幸せになったらあかんのか…??
ふわりと体が何かに包まれた。
それが理沙だと知ると、オレは体面も気にせず、無我夢中で理沙にしがみつく。
「理沙…オレ、戻りたくないんや…おまえと離れたくないんや…!!」
おまえと離れてしまったら…
オレは…
「…うん。私も、同じだよ…」
理沙はオレが落ち着くまでそばにいてくれた。
しばらくして、なんとか落ち着いたオレは理沙の手をはらいのけて、謝罪も、感謝もせずに「準備あるから。」と一言残して家路についた。
家に帰って、いつの間にか片付けられた自分の部屋に横になる。
…オレって、ホンマ最低なやつやな…
思わず苦笑する。
勝手に取り乱して…
理沙にひどいことして…
挙句の果てには、理沙に慰めてもらったのに、謝罪も感謝もせずにこうして帰ってきた。
オレって、ホンマ最低や。
自分を悔んでいるうちに、オレはいつの間にか夢の世界におちていった。
「達也ー!起きやー!」
オカンの怒声で目を覚ます。
…もぅ、朝か…
今日でここを出発しなあかんのやな…
寝ぼけた頭で考えながら、そばにあった携帯をとった。
少しためらって、意を決して理沙にメールを打つ。
たしか…
11時の電車にのるんやったな…
ゆっくりと確かめるように本文を打ち、送信した。
【昨日はごめん。今日、11時の電車に乗るから、できれば来て欲しい。】
メールが届いたのを確認すると、パタンと携帯を閉じる。
理沙は、きてくれるかな??
昨日、あんな最低なことをしてしまったんや。
もしかしたら来てくれへんかも知れへん…
それでも、オレは信じたいな。
理沙は絶対にきてくれる。
もし、きてくれたなら…
今度は昨日みたいに取り乱さないようにしよう。
むしろ余裕を持って…
そう、理沙を慰められるくらい…
そして、わかれるときは笑ってわかれたいな。
…大丈夫や。
オレは昨日泣きつくして、涙は枯れた。
今日は笑って、理沙に手をふれる。
決意するようにこくっとうなずくと、着替えて下におりた。
オレ達はバスで駅に向かった。
ホームに入ったときはちょうど10時50分だった。
こんなぎりぎりでいいんかいな…
どうでもいいことを思いながら、理沙の姿を探した。
けど、そんな姿はない。
やっぱり…
きてくれへんかったかな…??
まぁ、昨日のことを考えたら当然かもしれん…
あきらめたように苦笑しながらも11時になるまでの10分間、オレは理沙の姿を探し続けた。
シュー…
そしてちょうど11時。
オレ達がのる電車がホームに到着した。
結局…
きてくれへんかった…
おちこみながら、電車にのりこもうとする。
けど、途中でその足は止まった。
…いや、
理沙はきっときてくれる。
もうちょっとしたら…
絶対にきてくれる。
さっき信じたいって思ったばっかりやろ?
ぎりぎりまで信じて、きてくれへんかったんやったらそれでいいやん。
「達也、何してるん?早く乗りや??」
オカンがいつまでたっても乗らないオレを見て訝しげに言った。
…言わな。
オレのためにここにきてくれるやつがおるんや。
だからオレまだ乗られへんって…
「オカン、オトン、ごめん。オレのためにここにきてくれるやつがおるんや。オレはそいつを待っときたい。」
オカンはわずかに目を見開いた。
けど、すぐににっこりと笑顔をつくる。
「じゃ、次の電車に乗っておいで。たしか次は12時にあったはずやから。」
「あ、ありがとう!!」
慌ててお礼を言った。
プシューと音がして、扉が閉まる。
電車が動き出したそのとき、
改札口から、誰かがかけこんできた。
走ってきたのか、息をきらしてその場に立ち止まる。
あれは…
理沙…??
やわらかい、栗色のショート。
ぱっちりとした大きな目。
それは間違いなく理沙の姿だった。
理沙は電車が目の前で通りすぎるのを確認すると、顔を蒼白させてその場に崩れおちた。
ぽろぽろと瞳から大粒の涙を流す。
「達也ぁ…なんでいっちゃったのよぉ…」
そうつぶやく理沙を見て、オレはため息をついた。
何言ってるんや…
オレはまだここにおる。
「何そんなところで座りこんでるんや??」
理沙のすぐそばまで近づいて、苦笑しながら言った。
理沙が目を見開いて、ゆっくりと顔をあげる。
オレの姿をみとめると、ありえないとでも言いたげな表情をした。
「た、達也??どうして…??」
理沙は時計を見て首をかしげた。
多分、さっきの電車であってるのにどうして?とか思ってるんやろな。
ホンマに…
こいつの考えてることは分かりやすい。
座り込んでいる理沙の手を引いて立たせながら言った。
「オカンとオトンに頼みこんで、オレだけもぅ一本後の電車で行くことになったんや。…その、おまえがくるって信じてたから。」
なんとなく照れくさくて、軽く頭をかく。
理沙は泣きながらも、にこっと笑顔をつくった。
「…うん。そんなの、来るに決まってんじゃん…」
オレも笑顔をつくって理沙の頭をなでる。
「知ってた♪」
オレ達はホームの隅の方のベンチに座って、次の電車がくるまでの時間を過ごすことにした。
少しでもお互いに触れていたくて、オレは理沙の右手をぎゅっと握りしめていた。
「ねぇ、次の電車っていつくるの??」
「う〜ん…多分12時ぐらいやったと思うけど…」
オレが時計を見ると、理沙もそれにつられたのか、時計を見た。
時刻は11時25分。
残り時間はたった35分。
短すぎるやろ。
もっと、できることならずっと理沙と一緒にいたいのに…
もっと一緒におって…
もっともっと幸せを味わいたかった。
まぁどうせ、
幸せなんてのは長くは続かんって知ってたけどな。
あ、そうや…
昨日のこと、謝らな…
「…昨日は、めっちゃ取り乱してごめんな?」
「へっ??あっ!いいよ、いいよ!大丈夫だから。」
理沙は顔のまえで手をぶんぶんとふった。
ホンマに理沙は優しいなぁ…
けど、もっと謝らんと…
オレの気がすめへん。
「いや、ホンマに…ごめん。あんときはオレも何がなんだか分からんようになって…ホンマにごめんやで?」
ホンマに…
何がなんだか分からんかったんや…
あんなこと、するつもりはなかったんや…
けど、我慢していた何かがきれて…
「もぅ、大丈夫やから。昨日は…ありがとうな。」
オレはちゃんと反省した。
もぅあんなことせーへんって誓える。
「うん…」
理沙が小さく首を縦にふった。
それからオレ達は悲しさをまぎらわすように、たわいのない話をした。
そして、話しているうちに、オレが乗る電車がきた。
「…じゃぁ、理沙。お別れや。」
そう言って立ち上がる。
これ以上一緒におったら余計にさびしくなりそうやから…
オレはさっさと電車にのってしまおうと、足を進めた。
グッ!
その腕を理沙が必至でつかむ。
「嫌!いっちゃだめ!」
必至でオレを引きとめる理沙を見ていると、気持ちが揺れ動いてしまう。
いっそ、このままこの町に残ったら…
ずっと理沙と一緒におれる…
いや、あかんのや。
オレはオカンと約束した。
次の電車に絶対にのるって。
それに…
今日の朝、せっかく決心したんや。
理沙と笑って別れるって。
それやのに…
残ろうと思うなんて…
何をしてるんや?オレ。
「理沙…」
けど、必至な理沙の顔を見て、たまらず愛しい名前を呼ぶ。
「やだよ。行かないで?達也…」
ぼろぼろとあふれだす理沙の涙をぬぐった。
そして無理やりに笑みをつくる。
…最後に、理沙にもう一度キスしたいな。
理沙は困るかな?
けど、この気持ちを全部吹き飛ばしてしまいたいから…
まだ未練タラタラのオレの気持ちを吹き飛ばしてくれや。
これは昨日の夜と同じ。
オレの我儘のキス。
そっと、理沙に口付けた。
それは、理沙の涙が混じって、少ししょっぱいキス。
ずっと、ずっとこのままでいたい。
けど、もうすぐ電車は出発してしまう。
オレは何が何でもこの電車にのらなあかんのや。
これ以上引き延ばすわけにはいかん。
名残惜しさを感じながらも、オレはゆっくりと唇をはなした。
そして理沙の頭をくしゃくしゃとなでる。
「そんなに落ち込まんでも…オレが死ぬわけやないんやから…」
そうや。
二度と会われへんようになるわけじゃない。
会おうと思ったら会える。
絶対に会うって決めたら、いつかまた会えるんや。
オレはできるかぎり、オレの中での最高の笑顔をつくった。
「きっとまた会える。…いや、絶対に会える。絶対にまた、ここに戻ってくるから。」
オレがおまえに会いに行く。
おまえがオレのことを忘れさえしてなければ、絶対におまえに会いに行くから!
電車の扉が閉まる音が鳴り響いた。
オレは慌ててかけこむ。
ゆっくりと扉が閉まり始めた。
理沙は呆然として、ふと気がついたように声を張り上げた。
「絶対、絶対だよ!!会いにこないと許さないんだから!!」
理沙の声がぎりぎりオレの耳に届いたところで、扉が完全に閉まった。
オレは笑顔で、親指を立てる。
分かってる。
おまえの許さないは怖いからな。
絶対に約束は守る。
理沙は涙をふきとって、笑顔をつくろうとした。
けど、涙は止まらんかったみたいで…
ぼろぼろと涙を流しながら、ゆっくりと進んでいく電車の横を追いかけるように走ってきた。
り、理沙!?
何してるんや!?
危ないで!?
理沙はホームのぎりぎりまで走り続けて、もぅ追いかけられないとわかったのかその場に立ち尽くした。
オレはその理沙の姿が見えなくなるまでずっとずっと、理沙を見ていた。
ぽろっ。
瞳から一粒の雫がおちる。
それをふきとって、オレはやっぱり笑顔をつくった。
…大丈夫。
約束や。
オレは何があっても絶対におまえのことを忘れへん。
たとえどんなことがあっても、おまえに会いに行くから。
それまで、オレのことを待っててな?
理沙、
おまえはオレが本気で好きになったやつ。
絶対に、絶対に、今のこの気持ちを忘れへん。
好きだけではあらわされへん気持ち。
オレは、おまえのことが大好きや。
正真正銘の『大好きです☆』完結です。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
達也sideでも大好きっていれたくて無理やりにいれました;
また、この話を呼んでくれた方で感想とか記入していただければうれしいです☆
まぁとりあえず『大好きです☆』は完結したんですが…
実は、『大好きです☆2』も投稿しようと思っています。
他に小説の設定考えるのめんどくさいだけです;
多分内容は、理沙に会いにきた達也が事故で記憶喪失になって…みたいな感じです!
また暇なときにでも読んでやってください!
それでわ、今までここまで読んでくれた方、いらっしゃったら、本当にありがとうございます<m(__)m>




