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★21話 花火大会★達也side

キャンプから帰ってきたオレ達。


さぁ、やっと家でゆっくり休めるで!…と思ったらこれがちゃうかってんなぁ…


「なぁ、吉沢。理沙達はいつくるんやろうか?」


「さぁな。まぁ30分も前からきてるオレ達がバカなだけだと思うけど。」


只今オレと吉沢の2人は、夏祭りが開催される神社の鳥居のまえでぼーっとつったっている。


お分かりの通り、どっちも彼女待ち。


なぜオレ達が30分もまえにきてしまったかというと…


単純にオレ達が2人とも、6時半集合を6時って聞き間違えたからや。


「ちなみに!斎藤、おまえ今日、何円持ってきたんだ!?」


「んー。わからん。財布そのまま持ってきたから中身確認してないわ。」


なんとなく財布の中身を確認してみる。


っと…


小銭入れに50円が一つ…しかない。


あれ?


なんで??


慌ててカバンの中や財布のいろいろな場所を調べてみる。


けどやっぱりあるのは50円だけ。


な、なんでこんなにお金がないんや…??


そのときキャンプのときの自分を思い出して見た。


たしか、いろいろ余計なもの持っていったなぁ…


…そうか!


あれに全部使ってしまったんや!!


なるほどなぁ!


納得納得!


自分で勝手に納得して満足していると吉沢がにこにこして言った。


「オレは結構持ってきたぞ!三浦にいろいろ買ってやらなきゃな!って思ってさ。」


ピタッ。


思わず固まってしまう。


「だってこんな祭りのときとかって普通は男がいろいろおごってやらなきゃいけねぇ気がするし!」


そ、そうなん??


オレがおごらなあかん感じなん…??


「当然おまえもいっぱい持ってきてるよなっ?」


「………どうしよ。」


「はっ?」


小さく小さく言ったオレの声が聞こえなかったのか吉沢が怪訝な顔をした。


「オレ、財布に50円しか入ってないねんけど…」


吉沢の目がみるみる見開かれていく。


「はぁ〜!?おまえ何やってんだよ!?」


おもいっきりどなられた。


「だ、だってそんなん…ないもんはしゃーないやん…」


「だからって…あ〜あ、立川がかわいそうだ。」


ため息をつきながら言う吉沢。


そ、そんなにせめんといてくれや…


オレだって反省してるっちゅうねん…


「仕方ない、立川に謝っておけよ…って、ん?あれ三浦達じゃね?」


吉沢の視線の先を見てみると、そこには夏祭りらしく浴衣に身を包んだ理沙と三浦の姿。


「三浦〜!立川〜!遅いぞ〜!」


吉沢が大きく手をふりながら言った。


理沙は少し息をきらしながら吉沢を上目づかいで見た。


「遅いって…今ちょうど時間になったとこだよ?」


そんな理沙の可愛い動作に何も感じないのか、吉沢は人差し指をピンっと理沙のまえに立てる。


「5分前行動!小学校のとき習っただろ??」


あきらかに不機嫌な顔をする理沙。


「まっ、そんなことはおいといて…さっそく行こうよ!」


三浦は吉沢の言葉を軽く流すと吉沢の腕にとびついた。


「お、おい!」


吉沢の顔がおもしろいくらい赤くなる。


以外にあいつってこういうの慣れてへんよな…


まぁそんなことより…


そっと財布をとりだす。


もしかしたらさっきのは見間違えで、実はいっぱいお金があるかもしれへん。


わずかな期待をだいて財布の中を見てみるも…


やっぱりあるのは50円ただ一つ。


…はぁ。


やっぱり見間違えとちゃうかったか…


「じゃ、理沙!今からちょっと別行動タイムね!いこ!吉沢くん!」


三浦はそう言うと吉沢の腕を引っ張って人ごみの中に入ってしまった。


理沙はその様子にあっけにとられていたがすぐにオレの方に向きなおる。


「行っちゃったよ…よし、私達もいこっか!」


にこっとオレにほほえみかけてくれる理沙。


でもゴメン、理沙。


オレは今喜べる気分とちゃうんや…


「どうしたの?達也。元気ないよ??」


そんなオレの異変に気がついたのか理沙が心配そうにオレの顔をのぞきこんできた。


どうしよ…


とりあえず…


謝っとくか。


理沙のまえで両手を合わせる。


「ゴメン。理沙。ほんまにゴメン。」


とりあえず心をこめて謝った。


理沙は不思議そうに首をかしげる。


「なんで急に謝るの?」


「実は…な?オレ、このまえでこずかい全部使ってしまってん…」


「…へっ?」


理沙の顔がピタッと固まる。


ど、どうしよー…


絶対怒ってるわぁ…


「だからな?出店でおまえに何も買ってやれんけど…ほんまにゴメン。」


全身全霊をかけて謝ってみる。


お、お願いやー!!


これで勘弁してくれー!!


理沙は怪訝そうな顔をしていたが、急ににこっと笑った。


「…いいよ!気持ちだけでうれしいから!さ、いこ?」


ほ、ほんまに!?


許してくれるん??


あぁ、なんかおまえが神様に見えるわ…


とりあえずオレ達も人ごみの中に入り、いろいろ出店を回った。


理沙はオレの分も買ってくれるって言ってくれたけど…


オレは断固拒否。


とりあえず理沙がいろいろ回って行くのについていった。


「あっ、そろそろ時間だ!」


理沙がふと足をとめて時計を見た。


たしかにもうすぐ花火の打ち上げの時間が近づいている。


「そうやな。見えやすそうなとこ探すか。」


実は神社に行く途中、吉沢に花火がめっちゃ見える隠れスポットを教えてもらったんや!


さっさといかな他の奴らも知ってるかもしれんし…


そう思うと自然に早足になって行く。


人ごみをかきわけていくうちに理沙がオレの後ろについてきていないことに気がついた。


あれ!?


理沙おらんやん!?


慌てて人ごみの中を引き返していった。


なぜかキャンプのとき、理沙が知らん男に声をかけられていたことを思い出す。


またあんなことになってて…


理沙が連れていかれてたらどうしよ…!?


変な不安が胸にこみあげてくる。


そのとき、人ごみの中で立ち止っている小さな姿を見つけた。


人ごみの中に咲いてる、小さなピンク。


すぐにそれが理沙だとわかった。


「理沙っ!?」


理沙はオレに気がつくと安心したように息をつく。


「急におらんようになったからびっくりしたで??ちゃんとついてきーや?」


「だって…達也歩くの早いんだもん…」


「そうか?じゃ、ゆっくり歩くようにするわ。とりあえず早く場所探さな間に合わんで?」


とりあえず早くいって場所をとらんと!


そう思ってまた人ごみをかき分けていった。


思わずまた早足になりそうになる。


そんなとき。


ぎゅっ。


何かに服のすそをひっぱられた。


ピタッと足を止める。


服をつかんでいるのが理沙だと気がつくと、なんか子供みたいやな、と思って頬が緩んだ。


振り返ってわざと大きなため息をつく。


「ったく…しゃーないなぁ。」


そう言って、オレの服のすそをつかんでいる理沙の右手を左手でつつんだ。


理沙の目が驚きに見開かれる。


「こうしてたらはぐれへんやろ??」


にっこりと理沙に笑いかけると理沙は少し頬を染めてうつむいた。


「…うん。ありがと…。」


オレは軽くうなずくと、急いで人ごみをかきわけていく。


頭の中にはベストポディションを陣どって理沙にきれいな花火を見せてやろうということだけ。


理沙の喜ぶ顔が頭に浮かんできて、気づかれないように笑みをうかべた。




オレは神社から少し離れた林の中で足をとめた。


「ここで見よか。」


そう言って理沙の手を離す。


吉沢の読みどおり、まわりには誰もいなくてオレ達2人だけだった。


オレはとりあえずその場に腰をおろす。


理沙もためらいがちにオレの隣に腰をおろした。


ドーン!


ちょうど頭上に花火があがる。


「ぎりぎり間に合ったな。」


「うん…すっごい、花火が全部見えるよ。」


理沙はうれしそうに空を見上げている。


その理沙の喜ぶ姿に満足しながら、オレも空を見上げた。


「ここな?隠れ花火スポットらしいで?さっき吉沢に教えてもらったんや。」


「そうなんだ…。うん、すっごいきれい。」


無言で花火にみとれる理沙。


オレはそれを邪魔しないように、黙って空を見上げていた。


ふと、理沙の方を見る。


笑顔で花火に見とれる理沙の横顔。


急に理沙のことがたまらなく愛しくなった。


「なぁ、理沙。」


邪魔してしまうと思いながらも思わず名前を呼ぶ、


「ん?何??」


花火から目を離さずに返事をする理沙。


「オレ、理沙のこと…めっちゃ好きやで??」


「っへ??」


率直に今思ってたことを言うと理沙はとぼけた声をだしてオレの方を見た。


「理沙は?オレのこと好き?」


急に理沙も同じ気持ちなんかどうか不安になってきて、思わず尋ねてみる。


理沙は頬を染めるとこくっと小さくうなずいた。


…そうやんな。


オレだけが理沙のこと好きなんじゃないよな!


「…うん。そうやんな!知ってる知ってる!」


安心してほっと息をつくと理沙の肩をぽんぽんっと叩いた。


オレとしたことが何を不安に思ってるんや!


理沙もオレのこと好きに決まってるやろ!?


…じゃぁ、別にこれも言っていいやんな…??


「理沙。」


理沙の体が固まった。


「オレ、キャンプのとき…」


多分今、オレの顔は赤くなってると思う。


だってこれは、口にだすのはちょっと恥ずかしいからな。


けど、理沙に伝えたいから。


あのとき理沙も冗談やって思ってたかもしれん。


けど、一応オレは本気やったってことを伝えたい。


意を決して理沙の瞳を覗き込んだ。


「…ほんまに理沙にキスしたかった。」


理沙は少し目を見開いて、顔をりんごみたいに真っ赤に染めた。


ドーン!


花火の音が鳴ったかと思うと、理沙はうっとりとオレを見つめた。


「私も…」


そしてつぶやくように口を開く。


「私も達也とキスしたかったよ…??」


何かにとりつかれたような口調。


熱にうかされたような表情に…


思わずドキッとした。


なんや。


理沙も本気やったんやな。


ちょっと安心した。


「今更、許可なんかとらんで?」


けどやっぱり理沙の同意が欲しくて、理沙の返事を待つ。


「…うん。」


理沙はこくりとうなずいた。


それを確認すると、瞳を閉じて、ゆっくりと理沙との距離を縮めていく。


ためらいがちに、理沙の唇に触れた。


ドドーン!


最後の花火特有の、大きな音が鳴る。


あぁ、ちょうどこれが最後の花火なんやろうな。


熱にうかされた頭でぼんやりと考えた。


あのとき…


雪乃とキスせんでよかった。


あのとき雪乃とキスしてしまってたら…


こんな最高なファーストキスにはならんかったから。


男やのにファーストキスとか気にするっておかしいけど…


でも、これが理沙で良かった。


花火が散るのを見計らって、理沙から唇を離す。


赤くなった顔で理沙の方を見てみると、


理沙も今までに見たことのないほど真っ赤になっていた。


照れ隠しをするように、2人で笑いあう。


あぁ、今、


オレ、めっちゃ幸せやな。


そう思った。




ガチャッ。


「ただいまー。」


玄関の扉をあける。


居間に入るとなぜかオカンとオトンの2人がテーブルに座ってオレを待っていた。


この感じ…


まえにも見たことがある。


それはたしか…


「達也、グッドニュースになるか、バッドニュースになるかはおまえしだいやけど…」


オトンが笑顔でオレを見た。


多分、今から話すことが、オレにとって良いニュースになると思ってるんやと思う。


けど、


オレはその内容を聞くのがいやで思わず後ずさりした。


…嫌や。


聞きたくない。


けどオトンはそんなオレの様子には気がつかずににっこりと笑って言った。


「ここでの仕事が終わったで!いきなりやけど、明日には大阪に戻るからな!」


それは、今までの幸せな生活が終わることを告げていた。


オレの中の世界がガラガラと音を立てて崩れていく。


この感じを前に見たのは…


――――大阪をでて、雪乃から離れないとあかんことを告げられた時。


なぜか達也が女の子みたい…

まぁほっといてください;

そして!

達也の引っ越しが決まりました!

ってか、明日って早すぎ…(←準備とかは大丈夫なのかよ…

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