☆12話 いじめ☆理沙side
昨日から、美香達の私へのいじめは始まったんだ。
朝、教室に入ったら普通に睨まれるし…
何度消しても机にはたくさんのラクガキ。
悪口なんてわざと聞こえるように言われる。
それでも、良かった。
だって昼休みには斎藤と一緒にご飯が食べれるし、
帰りになれば一緒に帰れるし、
それだけで、私の学校生活は楽しかった。
でも、私がいじめられてるってことは斎藤には言ってなかったんだ。
だって…
それを言ってしまったら…
斎藤だって、いじめられているようなやつと付き合いたくなんかないと思うかもしれないから…
美香に拒絶されて…
斎藤にまで拒絶されちゃったら私…だめになっちゃうもん。
けど、
今日の昼休み、
いつものように屋上へ行こうとしたら女の子数人に止められた。
「ちょっと待ちなよっ!」
「…何??」
「あんたもしかして斎藤くんのとこ行くつもり??」
「そうだけど…」
それが何よ?
どうしてあなた達に言わなきゃいけないの??
あなた達には関係のないことでしょ?
私が女の子達を睨むと女の子達も私を思いっきり睨んで壁に追い込んだ。
「何調子のってんの??絶対行かせないから。」
1人の女の子が私に向かって手を振り上げた。
叩かれる…!!
思わず目を固くつぶった。
けど…
いつまでたっても痛みはこない。
おかしいと思ってそっと目を開けて見た。
するとそこには、手を振り上げたままの女の子の姿。
その手をつかんでいるのは…斎藤。
女の子達は目を大きく見開いて斎藤を見た。
「斎藤…くん??」
斎藤は女の子達をきっと睨みつける。
「オレの彼女に何しとるんや??」
…彼女。
その響きが変に新鮮に思えた。
「だって…この子が…」
女の子達は顔を見合わせて困ったようにつぶやいている。
「いいわけなんか聞かん。」
そう言って斎藤は私の肩を抱き寄せた。
そして目を細めて女の子達を見る。
「もし今度こんなんを見たら…覚悟しといた方がええで??」
女の子達はすくみあがると走ってどこかに行ってしまった。
斎藤はその後ろ姿が消えるまで凝視すると、私に笑いかけた。
「大丈夫か?立川。」
「えっ…うん。助けてくれて…ありがとう。」
うつむきながら答える。
斎藤が助けてくれたのはすっごいうれしいけど…
どうしよう…
私が今、いじめられてるってばれちゃった…
拒絶されたら…どうしよう…!!
「……立川。」
斎藤は落ち込む私を不思議そうに見ながらポンッと手を打った。
「ああ、そうか。」
そして私の腕を引っ張って屋上へと向かう。
…??
何が『そうか。』なんだろ…??
ぼんやりと考えているうちに屋上についていた。
斎藤はドカッとフェンスにもたれるように腰をおろす。
「さぁ、昼飯食うか!」
そして手に持っていた袋からコンビニのおにぎりを取り出す。
え…
今、お昼ご飯とかそういう気分じゃないんだけど…
「あれ?立川食べんの?」
「…あんまり、食欲ない。」
うつむきながらつぶやく。
「…??昼飯やないんやったら、何をそんなに落ち込んでるんや…??」
斎藤は1人で考えるようにつぶやくと今度こそわかったというような顔をした。
そして私の頭をくしゃくしゃとなでる。
「さっき言われたこと気にしてるんやな?別にあんなん気にせんでええで??」
…そのこともあるんだけど…
違うの。
私がこんなに落ち込んでるのはそんな理由じゃないの。
「…あんなの、そんなに気にしてない。」
「じゃ、何をそんなに落ち込んでるん??」
それは…
「斎藤に…私がいじめられてるってばれちゃったから…」
くしゃ…
頭をなでる手が止まった。
嗚呼、
拒絶されちゃう。
私の幸せな時間って…
もぅ、終わりなんだな。
そう思った。
「斎藤に…拒絶されちゃうって…思ったの。」
最悪の表情を思い描きながら斎藤の顔を見上げる。
軽蔑の表情…してるのかな…??
そう思ったのに…
斎藤はただ、きょとんとしているだけだった。
「へっ??いじめられてるん?そんなん全然気づかんかった…」
…
……えっ??
気づいてなかったの…??
それじゃぁ…
自分から言った私がバカみたいじゃん…
まぁ、結局ばれるのは時間の問題だったし…
それが、ちょっとはやまっただけだよね。
もぅ、斎藤とは終わり…
「ちゅーか、なんでそれをはやくオレに言わんのやっ!!」
思いっきり怒鳴られた。
「…えっ??」
拒絶…するんじゃ…ないの…??
そんな感じの顔をしていると斎藤がそっぽをむいて言った。
「そんなん…好きになった相手がいじめられてるからって嫌いになるわけないやろ…??」
斎藤の頬は少し染まっていて、
それが少し可愛いと思った。
『好きになった相手』…
それは、私のこと。
…そうだよね。
私だって…
斎藤がいじめられてたって、そう簡単には嫌いにならない。
「斎藤…!!」
思わず斎藤に抱きついてしまった。
「うわっ!?」
斎藤はびっくりして、慌ててしまって、手に持っていたおにぎりを地面に落とす。
悪いなぁと思いながらもぎゅっと斎藤を抱きしめる。
斎藤が拒絶しないでくれてすっごくうれしかったから。
斎藤は少しとまどっているみたいだったけどはぁ…と息を吐いて私の頭をポンポンと叩いた。
「安心しーや。どんなに辛い思いすることになっても…オレがおまえを守ったるから…」
優しい言葉に泣きだしそうになるのを必至にこらえて、
斎藤の背中にしがみついていた。
やっぱり達也さんはどんかんなんです。
いじめられてること気づいてなかったのかよ…




