★10話 告白★達也side
「今日で…最後、やね。」
「…ああ。」
今日で3日目。
もぅ、雪乃は大阪に帰らなあかん。
…はやすぎるやろ…
ほんまにちょっとしか…
雪乃と一緒におられへんかった…
今日はずっと雪乃と一緒に家におった。
別にどこかにいくわけでもなく…
ずっと2人で話してた。
どっかに行ったら時間がすごいスピードですぎてしまうから。
家におったら…
時間が長く感じる。
雪乃といられる時間がのびる気がした。
けど…
そんな時間ももぅ…終わりや。
「最後に…駅まで送ってくれる??」
「…ええよ。」
手をつなぎ並んで駅に向かう。
なんとなく何も話されへんかった。
そのかわり、つないだ手を固く握り締めた。
一歩一歩をゆっくりと踏みしめているうちに、駅のホームに着く。
ちょうど、電車がきた。
「雪乃は…これに乗るん??」
「いや、違う。もう一つ後のやつや!」
そう言って笑う笑顔は寂しかった。
あと一つ…
電車がきたらもぅ雪乃とはお別れか…
せっかく雪乃ともう一回付き合うことができたのに…
また、離れ離れになるんやな。
頭の中は雪乃のことでいっぱいだった。
それで、少し安心する。
昨日はなぜか立川のことでいっぱいだった。
けど、今は雪乃のことでいっぱい。
ということは、やっぱりオレは雪乃一筋なんや。
良かった…
雪乃にばれんように小さく安堵する。
けど、今きた電車のドアがあいたとき…
オレは思わず目を見開いた。
今きた電車から…
立川と…
昨日、オレをよびだしたやつ…坂崎が並んででてきた。
その瞬間、頭の中から雪乃のことが消え去った。
全部、立川一色に染まる。
なっ!?
なんで…
あいつらが一緒にでてくるんやっ!?
昨日、坂崎に呼び出されたときのことを思い出した。
…『明日、立川と一緒に買い物に行くことになった。そのときに言う。』
…そうや。
あいつ…
このあと立川に告るんやな…
「あの子が立川さん?」
「えっ!?」
後ろから雪乃が覗き込んできた。
「ふ〜ん…可愛い子やないの。達也が好きになるんもわかるわ。」
「はぁ!?オレは別にあいつを好きとちゃう…!」
振り向いて雪乃の顔を見たとき、びっくりした。
…雪乃が、泣いていた。
なんでかはわからんけど…
泣いてた。
「雪乃…??どないしたん??」
オレ…なんかしたか…??
雪乃は涙をふきながらなんとか笑顔をつくりだす。
「達也…やっぱ、ウチら付き合うんやめとこっ!」
「…えっ??」
今、なんて言った??
付き合うんやめとこって…
「な、んで??ウソやんな?」
笑われへんで?
そんなウソ…
なぁ、ウソって言って?
けど雪乃は首をふる。
「ううん、ウソとちゃうよ。ほんまに。達也、つき合うんやめとこか。」
「…なんで??」
嫌や…
オレはずっと雪乃のこと思ってたんやで?
それで雪乃と付き合えたんは夢みたいにうれしいことやったのに…
なんで?
「だって達也の気持ちはもぅウチには向いてないもん…」
「なにいうとんねん…オレは雪乃のことが好きやで?」
おまえ以外に誰がおるっちゅーねん。
オレにはおまえしかおらん…
それでも雪乃は首をふる。
「違う。達也が今好きなんは…立川さん。」
はっ??
立川??
なんで…
そうなるねん…
「そんなわけ…ないやん。」
たしかに立川のことは気になってはいた。
立川をふってもうて悪いと思ってた。
けどそれは好きとかじゃない。
絶対に…そんなわけない。
「じゃぁ質問するけど…達也は立川さんをふってからいつも誰のことを考えてたん?」
「…それは…」
そりゃぁ…
立川のこと考えてた。
…けどっ!
それはかわいそうと思っただけやっ!
なんでそれが好きにつながるねん!
「なんであの日泣いてたん?なんでウチとおるときでも立川さんのことを考えてたん?なんで昨日ウチとキスするんを拒んだん??」
「……」
そう考えてみたら…
なんでやろう…??
なんで立川に『だいっきらい!』って言われてあんなに傷ついたんやろ?
なんで雪乃とおるときまで立川のことを考えてたんやろ?
なんで昨日雪乃とキスしたらあかん気がしたんやろ?
なんで昨日坂崎に明日立川に告白するって宣言されて焦ったんやろ?
今だって…
なんで坂崎に立川をとられるかもしれへんって思ってるんやろ??
わからへん…
わからへん…
オレはなんでこんなにも立川を気にしてるんや…??
自分が…
わからへん…
「でも…オレは雪乃が好きなんや…」
「達也…それは違うねん。達也がウチに抱いている気持ちはおねえちゃんに抱くような気持ち。達也は『好き』って言葉を知ってからその気持ちを勘違いしてしまったんやよ。」
ねえちゃんに抱く気持ち…??
…違う。
オレはたしかに…
雪乃のことが…好き。
……
…ホンマに??
わからへん。
何もわからへん。
「オレは…誰が好きなんや??」
雪乃はくすっと小さく笑った。
そしてオレの頭をなでる。
まるで、弟にするような動作で。
「達也。比べてみて?立川さんに抱く気持ちと…ウチに抱く気持ちとを…」
比べる…??
立川に抱く気持ちと…
雪乃に抱く気持ち…
「目をつぶって…自分自身と向き合ってみ?そしたらきっと答えは見つかるから…」
雪乃に言われたとおりに固く目を閉じる。
そして自分の気持ちを整理してみた。
…雪乃を好きになったのはいつからやっけ??
それは…
『好きっていうのはな?その人を大切に思うことなんやよ??』
小3くらいの頃…雪乃にそう教えてもらったときから。
『ふ〜ん…じゃぁオレは雪乃のことが好きやねんなっ!』
そう答えたオレの気持ちは…
どんなやったやろう…??
それはきっと…
家族に抱くような…
そんな気持ちや。
立川に抱く気持ちは??
可愛くておもしろいやつ。
そして…
本当のオレを見てくれる、変わったやつ。
オレにどんなにひどい言葉を浴びせられても…
それでもオレに告白してくれたやつ。
オレは立川をどう思ってるんや?
…好き??
…そんなわけない。
けど、
それを当てはめてしまえば、さっきの疑問にも全部説明がつく。
立川に『大っきらい!』って言われてあんなにも傷ついたのは…
好きなやつに嫌われるんは辛いことやから。
雪乃とおるときまで立川のことを考えてたのは…
好きなやつがオレのせいで傷ついてしまったのが悲しかったから。
昨日雪乃とキスしたらあかん気がしたのは…
立川を裏切ってしまう気がしたから。
昨日坂崎に明日立川に告るって宣言されたときに焦ったのは…
立川の気持ちがオレ以外のやつに向くのが怖かったから。
…なんや。
めっちゃ簡単やん。
そうか。
オレは立川のことが好きなんか。
いつのまに好きになったんやろう…??
わからへんけど…
今のオレの気持ち。
オレは立川のことが好きなんや。
ゆっくりと、目を開いた。
「自分の気持ち…わかった??」
「ああ…ごめん、雪乃。オレは立川のことが好きや。」
雪乃は悲しそうに笑うと立川達がさった方向を指差した。
「ほら、追いかけないと!あの隣にいた男の子にとられてしまうで!」
そうや!
はやくせんと!
立川が坂崎の告白をOKしてもうたら終わりや!!
走って行こうとして、そのまえにもう一度雪乃の方に向きなおる。
「雪乃…ほんまにごめん。…ありがとう。」
雪乃は笑顔で返事をした。
それを確認して立川達の後を追う。
…ありがとう。雪乃。
オレは絶対に坂崎なんかに立川をわたさんから。
…たしかあいつ…
近くの公園とかぬかしとったな…
あの、高校の近くの公園か??
全速力でその公園まで走って行った。
もしかしたら違う公園かもしれへん。
でも…
お願いやっ!
ここであってくれ!!
公園の中をのぞいてみると…
向かい合う、立川と坂崎がいた。
ほっと息をつき、安堵する。
…よかった。
まだ、間に合うか…??
坂崎はじっと立川を見つめている。
もしかして…
立川の返事待ち…??
立川は頬を染めながらうつむいていた。
そして顔をあげる。
なんとなく、OKする気だと思った。
慌ててその間にはいる。
「…うん。私、坂崎と…」
返事を言いかける立川の口をふさいだ。
「んっ!?」
立川がびっくりしたのか声をあげる。
「それ以上はいわせへん。」
OKの返事なんて…
絶対に…
言わせるわけにはいかん。
立川がオレを見て目を見開いた。
けどオレはそれを無視して坂崎を睨む。
坂崎はまるで予想通りとでもいうような顔でオレを見ていた。
…このままここにおるわけにはいかん。
オレは立川の腕をつかむとひっぱった。
「んっ!?んんっ!?」
うめく立川の手を引いて公園から走り出る。
坂崎が追ってくると思ったが、追ってくる気配はなかった。
「…ぷはっ!どうして…??どうしてあんたがいるの!?」
立川がオレの手からのがれて口を開く。
けどオレは答えなかった。
無言で立川の手をひっぱる。
さぁ、どこまで行くか。
とりあえず…
立川の家の前まで…
そこまで立川を引っ張っていき、
立川の家の前についたところで止まる。
「はぁ、はぁ…斎藤…なんで…??」
息をきらして問う立川。
その手を振り返らずにゆっくりと離した。
「…別に。…おまえが坂崎っちゅーやつにとられるんが嫌やったから。」
あんまり大きい声で言うんも恥ずかしいから…
小さな声で言った。
「…!!」
立川の表情が驚きに変わる。
そりゃ…
そうやんな。
オレは立川のことふったのに…
おかしいことをいってる…ってのはわかっとるんや。
立川は急にぼろぼろと涙を流して怒鳴りつけてきた。
「何それっ!?あんたは雪乃さんのことが好きなんでしょっ!?私のまえで…そういったじゃないっ!!」
「……」
オレは何も答えない。
答えられる言葉が…ない。
「私斎藤にふられてすっごい悲しかったんだよっ!?そんなときに坂崎に告白されて…あんたのことを忘れようと思ったのに!なんで邪魔するのよぉ!」
「……」
「私、苦しいの!あんたのこと思ってるままじゃ苦しいのっ!!…!!」
返事のかわりに、立川を抱きしめた。
立川は思ったよりも小さくて…
こんなやつを自分はここまで苦しませていたのかと思うと罪悪感がわいてきた。
「ごめん…ごめん、立川。」
そんな立川をぎゅうぎゅうに抱きしめる。
「痛い…痛いよ…斎藤…」
そんな立川の言葉は聞こえない。
ただもう絶対に立川を誰にもわたせへん。
そう思って立川を抱きしめていた。
たしかにオレはおまえの邪魔をしたのかもしれへん…
おまえは坂崎と付き合った方が幸せなんかもしれへん…
けど、それは我慢ならへんのや。
おまえが誰かに取られてもうたら…
苦しい思いをすることになるから。
ホンマに…
自分から立川を拒絶しておいて…
ほんまに勝手な話や。
でも…
顔に熱がのぼっていく。
それを隠すように立川の肩に顔をうずめた。
「でもな…オレ、気づいてしまってん。」
小さな声でつぶやく。
次の言葉を言おうとして、ためらった。
……
…立川に…ホンマにこの気持ちを伝えてしまってもいいやろか…?
迷惑にならへんやろか…??
不安になってくる。
そして立川もオレに告白するときこんな気持ちやったんかな?と思った。
それでも立川はオレに気持ちを伝えてくれた。
だから…
オレもおまえにこの気持ちを伝える。
でもやっぱり恥ずかしいから…
オレはホンマに小さく、耳元で囁くように言った。
「オレ…立川のことが好きや…」
「えっ…??」
立川の声色が変る。
驚きと喜びと疑惑が入り混じった声。
「うそ…でしょ…??」
そんなわけないやろ…
「…ホンマやて。ほら…」
オレは立川を解放するとその右手をつかんで自分の胸に触れさせた。
「心臓…音、やばいやろ?」
めっちゃドキドキしてるんや。
ドキドキして…
胸がしめつけられて…
緊張でめっちゃ苦しくなってる。
「じゃ…ほんと、に…??」
立川がオレの心音を感じたのを確認して、もう一度抱きしめる。
「嘘なわけ…ないやろ…」
抱きしめて初めて分かる立川のこと。
小さくて、折れそうな体。
立川の体温。
髪の香り。
そのすべてがオレを魅了させる。
もっと立川を感じようと痛いほど抱きしめた。
立川はとまどいながらもオレの背中に手をまわしてくる。
「ごめん…自分からふったくせに都合よすぎやんな…」
立川は首を横にふった。
「いいの。私…今、とっても幸せだよ?」
幸せ…??
オレとおって幸せっていってくれるんか…??
おまえは…
坂崎の方にいった方が幸せやったんかもしれんねんで?
ほんまにオレでいいんか??
「私も…斎藤が大好きだから…!!」
立川はにこっと笑顔をつくった。
それを見て、安心する。
…よかった。
立川はまだオレを好きでいてくれたんや。
幸せ…か。
うん。
オレもや。
オレも今、めっちゃ幸せ。
始めは、遊びから始まった。
それがホンマにおまえを好きになってしまうとは思わんかった。
けど、
今実際にオレはおまえを好きになってる。
この気持ちがいつまで続くかわからんけど…
この気持ちが続くかぎり…
おまえを手放しはせーへんからな?
理沙sideの8話と同じサブタイトルです。
達也sideと理沙sideは別物だからいいんです(無理矢理)
理沙sideの10話でも書きましたが、一応私の中の第一部は終わりです。
ここまで読んでくれた方…いるんでしょうか…??
まぁいると信じて…!
次は『美香との友情編』??『三角関係編』かな??
まぁよくわからないですけどそんな感じです!
読んでくださればうれしいです!




