☆9話 悲しい☆理沙side
どんな人のところにも、
みんな平等に新しい朝はくる。
それは変わらずに私のところにもきてしまった。
耳元で鳴る目覚まし時計を止めながらふぅっとため息をつく。
…学校、行きたくないなぁ…
しばらく布団にくるまっていると下からお母さんが私を呼ぶ声が聞こえた。
「理沙ー!はやくおきなさいよー!!」
無理やり体を引きずって布団からでる。
鏡を見ると目が赤くはれていた。
…昨日、一晩中泣きあかしたもんね…
こんな顔、斎藤に見せられないよ…
そのまえに…
斎藤に会いたくない…
会うのが怖い。
斎藤に拒絶されるのが怖い。
斎藤を見るのが辛い。
自分が壊れてしまいそうで…
怖い。
「やだ…やだぁ…!!」
行きたくないっ!
斎藤に会いたくないっ!
うずくまって頭を抱えた。
「……」
けど…
…こんなんじゃダメ…
ふるえる足を必至に動かして立ち上がる。
制服に袖をとおした。
もしここで学校に行かなかったら、
斎藤と会うことを拒んだら、
私はずっと学校にも行けないし斎藤と会うこともできない。
私にとって一番辛いのは…
斎藤と会うこともできなくなることでしょ…??
好きな人と会えなくなるなんて…嫌。
それに斎藤がもう一度雪乃さんと付き合うことになったのなら…
いつか斎藤は大阪に戻ってしまうかもしれない。
そしたらホントに会えなくなるかもしれない。
それだけは…
絶対、絶対に嫌だから。
ギュッと拳を握り締めると階段をかけおりた。
そしてお母さんが用意していた朝ご飯を急いで食べると学校へと駈け出した。
ほらっ!
はやくいかないと遅刻だよっ!?
早く走らなくっちゃっ!
学校につき教室に入ったところでちょうどチャイムが鳴った。
「お〜、ギリギリセーフだね!理沙。」
美香がにこっと私に笑いかける。
「よかったぁ…」
ほっと息をつきカバンを机の上においてイスに腰をおろした。
「それにしても理沙が遅刻なんて珍しいねっ!なにかあったの?」
何かって…
それは…
「う〜ん…寝坊しちゃった!」
笑顔をつくっていった。
言えるわけがない。
言えば私が斎藤を好きだったことがばれてしまうし…
それに斎藤が誰かと付き合うことを知れば美香もショックをうけることになる。
美香も私と同じに気持ちにさせるのは…嫌だから…
「あっ!先生きたっ!」
担任が教室に入ってきたのを確認して美香は慌てて席に戻る。
朝のホームルーム、1時間目の授業。
私はそれに全然集中できなかった。
やっぱり、頭の中は斎藤でいっぱい。
そして斎藤のことを考えれば考えるほど悲しくなってくる。
今日一日ちゃんと過ごせるかな…??
そう心配になる程だった。
それでもなんとかがんばって、
昼休み―――
お弁当を食べて一息つく。
美香はお弁当を忘れたとかで食堂に食べに行っていた。
私はそんな元気もなかったから1人教室で。
いつものように廊下で女の子達が騒ぐ声が聞こえる。
斎藤かな…
ぼんやりとそう思った。
1−Dは金曜日の昼休みはいつも移動教室で私達の教室の前を通る。
窓から目が合うといつも笑いかけてくれていた。
けど…
今日はそっちを見ない。
やっぱり…
まだ斎藤の顔を見る勇気がない。
だって、昨日ふられちゃったばっかだよ?
ムリに…
決まってるよ…
「立川っ!」
うつむいていると突然耳元で声がした。
「うわぁっ!?」
突然の大声に驚いて思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
だ、誰よ、もう!!
まだ驚きながらも声のした方を見る。
「な、なんだ…坂崎かぁ…びっくりした…」
そこには私の反応に満足した様子の坂崎がいた。
坂崎は私の隣の席のやつ。
腐れ縁で実は中学の時からずっと一緒だったりする。
「さすが!今の驚き方、百点満点!」
私の驚いた声をまねしてくっくっくっと笑う。
明るくて元気なやつ。
中学のときから坂崎はクラスの盛り上げ役だ。
…明るい…か、
なんとなくそれが斎藤に重なって余計悲しくなってしまった。
そんな私を見て坂崎は急に真顔になる。
「…立川、今日朝から元気ないよな?何かあったのか?」
『何かあったのか?』って…
だからそれには答えられないんだよ…
「ううん…なんでもないよ…??」
坂崎は顔をしかめると、小さくため息をついた。
「ま、いいけどさ。1人でかかえこむより誰かに言った方が少しは楽になると思うぜ??オレはいつでも相談にのるからなっ!」
にこっと私に笑いかけてくれる坂崎。
その言葉だけでなんとなくほんの少しだけ楽になった気がした。
「うん…ありがと。おちついたら…相談するかも…」
坂崎になら…
相談できるかもしれない。
斎藤とは無関係な人間だし…
坂崎が私が斎藤のことを好きだったってことを美香に言うとは思えないし…
けど、今日はやっぱりムリだな。
「おお!いつでもいいからな!あっ、それはそうと!」
坂崎がポンッと手をうった。
「オレの妹知ってるよな?」
坂崎の妹…??
たしか…今中学2年生だったよね…??
坂崎にすっごいそっくりな子!
「うん、知ってるよ??」
「そいつが明後日誕生日なんだ!それでプレゼント買ってやりたいんだけどさ…女の欲しがるものなんていまいちよくわかんねぇんだ…」
それで!っと坂崎が私に人差し指を向ける。
「明日それ選ぶのに付き合ってくれよ!」
「はっ?私…??」
プレゼント選ぶの手伝ってなんて言われても…
ま、いっか。
どうせ家にいてもおちこんじゃうだけだし…
やっぱり男一人で女の子の欲しがるものなんてわからないよねっ!
「いいよっ!仕方ないから付き合ってあげる!」
そう言った時、坂崎が本当にうれしそうな顔をしたのには気がつかなかった。
「そうか!ありがとな!じゃぁ時間と場所は…」
ちょうどその時チャイムが鳴った。
「あとででいいじゃん!はやく用意しないと次数学だよ?」
「あっ!そうだった…数学の佐藤厳しいんだよなぁ…」
ぶつぶつ言いながらも坂崎は席につき教科書やノートを机に広げる。
それを見ながら小さく笑った。
…相談にのる、か。
坂崎って以外とやさしいんだなぁ…
……
斎藤を思ってこんなに辛くて苦しい思いをするのなら…
いっそのこと、坂崎を好きになってしまおうかなぁ…
思わず、そんなことを考えてしまった。
新しい人でてきました!
またまた解読不可能な文章ですいません;




