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★8話 拒絶★達也side

あれから雪乃が言っていたこと。


雪乃の通っている大阪の高校とこの近くとの交流で3日間だけ生徒を交換することになったらしい。


そして雪乃はオレに会うためにそれに進んで参加してくれてんて!


まぁ3日やからあと今日合わせて2日しか雪乃とおられへんねんけど…


けど2日間も一緒におれたら上等や!


あ〜…


オレはホンマに幸せな男やなぁ〜…


そんな感じで今日一日幸せに浸っていた。


そして5時間目の授業のとき。


ふと、あることに気がついた。


…そういえば、このこと立川にも言った方がええかな…??


でもなんて言えばええんやろ?


…とりあえず今日の放課後言うか。


ちなみに今の授業は英語。


今度こそはばれないように立川にメールを打つ。


『放課後、校門のまえきて欲しいねんけど…ええかな?』


しばらくしてから返事がきた。


『うん。わかった♪』


おそらく何を言われるかもわかっていないだろう立川からのメール。


…どうやっていえばいいんやろう…??


いきなり不安になってきた。


まぁそれはその時に考えるとするか。


とりあえず…


英語の上山がこっちを睨んでいるんはなんでやろか…(汗


後ろの席の吉沢がオレの背中をつついてケータイを指さしていた。


―――そして放課後。


立川がまだきていないことを確認して校門の柱に背中を預けて空を見上げた。


…さぁ、なんて言うかや。


変にごまかすんもへんやし…


やっぱり正直に言った方がええよな。


「斎藤!ごめん、遅れたっ!」


そう考えていたとき、そばで立川の声がした。


立川は走ってきたのか息を切らしている。


そんな立川ににこっと笑いかけた。


「ええで。オレもそんなに待ってないから。」


やっぱり…


正直にいってしまおう。


なんとなく、そう思えた。


立川を正面から見据え、また笑顔をつくる。


「オレなぁ、雪乃ともう一回やり直すことになってん!」


言葉にするだけでうれしくて幸せな気持ちになった。


これからは雪乃がそばにいてくれる。


それだけのことがオレにとっては最高に幸せなことやった。


けど、それはオレにとってはうれしいことで…


立川にとっては…


「…えっ??」


立川の顔が蒼白する。


どうして?でも言いたげな顔でオレを見てきた。


「昨日な、おまえが帰ったあとに雪乃に会ったんや。それでオレに謝ってくれてな?ほんでもう一回信じてみようと思った。」


信じるしかなかった。


信じてしまった方が辛くなくなるから。


信じたら雪乃はオレのそばにいてくれるから。


だってオレは…


ぽりぽりと頭をかく。


「やっぱり…オレはまだ雪乃のことが好きやから…」


雪乃はこれからはずっとオレのそばにいてくれる。


だから…


…これが、おまえにホンマに言いたかったこと。


「だからもうおまえをおとそうとするんはやめるわ。今日はそれがいいたかってん。」


「……!!」


立川は目を見開いて、うつむいた。


それを見てなんだか悪いことをしたような気分になる。


なんでかはわからんけど、そんな気分になった。


やがて立川はほんの小さな声でつぶやくように言った。


「ねぇ斎藤。」


「…??」


立川はふるえながら顔をあげ、笑みの形をつくる。


そしてじっとオレの目をみつめた。


「やめなくてももう終わりだったんだよ?だって私は…」


立川の瞳に涙がたまっていく。


立川が瞬きすると大粒の雫が立川の瞳から流れおちた。


どんどんと流れてくるそれを立川はふきとろうともせずに必至に震える声で言葉をしぼりだすように言った。


「私は…もぅ斎藤のことが好きになってたんだからっ!!」


必至の告白に、思わず胸が高鳴った。


一瞬、雪乃への気持ちが揺れ動いた。


けど心の中でぶんぶんと首をふる。


オレは何を思っているんや…


立川の気持ちは…


「…しってた。」


「…へっ??」


おまえと2人で映画を見に行った日から…


そう、はじめから知ってた。


「オレはおまえの気持ちに気がついてたんや。」


それに気がつきながら、ずっと知らんふりをしていた。


知っていたのに、おまえにひどい言葉を何度もあびせた。


「う…そ…」


立川はかすれる声でつぶやく。


オレは立川の頬に手を当てて流れおちていく涙をふきとった。


この涙はオレのせいで流れている。


そう思うと余計に悲しくなってきた。


「ごめんなぁ…立川…おまえにひどいことしたな。うん。オレを恨んでもいい。」


オレのせいでおまえはオレのことを好きになってしまったんやから。


オレのせいでおまえはこんなにも辛い思いをしてるんやから。


…なんかオレは、おまえを傷つけてばっかやな。


けどな…


「それでもオレは雪乃のことが好きなんや。」


「…!!!」


立川は絶句するとふるえながら頬にふれているオレの手を握り締めた。


そしてきっとオレを睨む。


「斎藤なんて大っきらい!!」


そう叫ぶとオレの手を振り払ってオレに背を向けると走りだした。


「立川っ!!」


呼びとめようと叫んでも立川は振り返らずに走り去っていく。


オレはしばらくぼうぜんと立川の走り去ったあとを見つめていた。


そしてぽつぽつと家に向かって足を進める。


…『大っきらい!』、か。


そんなこといわれたんは…初めてや。


…きっと立川は雪乃と同じで、


本当のオレを好きになってくれたんやと思う。


けどそれはオレがしむけたこと。


オレは立川に告白されたらためらいなくふるつもりやった。


それやのに…


立川の告白に…


必至にオレに伝えようとしてくれた言葉に…


その言葉にこめられた思いに…


心が揺れ動いた。


雪乃への気持ちが揺らいだ。


立川にそれでも雪乃のことが好きっていったのは…


自分自身に言い聞かせるために言ったのかもしれへんな…


けど…


その言葉で立川はきっと傷ついてもうた。


だからオレは立川に恨まれて当然や。


でも…


それでも…


『大っきらい!』


立川の言葉が頭の中でこだまする。


胸がズキズキとした痛みに襲われた。


立川の言葉がオレの胸をしめつける。


やっぱり…


『大っきらい!』は傷つくわ…


「達也っ!」


名前を呼ばれてふと後ろを振り返るとそこには笑顔でオレに走りよってくる雪乃の姿。


もぅ学校はおわったんやろか…


ぼんやりと考えながら大好きな雪乃の笑顔に立川の笑顔を重ねていることに気がついた。


…なんで、立川のことを考えてしまうんやろう??


初めて見たときは、雪乃に似てるなぁって思った。


図書室でしゃべったときは、友達のために本気で怒りだしておかしなやつやと思った。


2人で映画を見に行ったときは、おもろいやつなんやなぁって思った。


さっきの告白で…


あの涙で…


ドキッとしてしまった。


「達也…何か悲しいことでもあったん??」


雪乃が心配そうにオレの顔をのぞきこんだ。


「別に…そんなんなかったで??」


雪乃は顔をしかめるとさっきオレが立川にしたようにオレの頬に手をあてた。


そしてめもとをぬぐう。


「じゃぁどうして達也は泣いてるん?」


「…!!」


うそ…


オレが泣いてる…??


なんで…??


オレの頬にふれている雪乃の手はオレの涙でぬれていた。


それを見て本当に自分が泣いているのだと自覚する。


「…せやなぁ。なんでやろう…」


立川をふってしまったからかなぁ…??


立川に『大っきらい!』って言われたからなんかなぁ…??


理由はわからへん。


けど、


それが立川に関係していることはたしか。


「今な?オレを好きやっていってくれた女子をふってきてもうてん。」


そいつは本気でオレなんかのことを好きになってしまって…


オレのせいで傷ついてしまった。


『大っきらい!』と叫んだときの立川の泣き顔が頭から離れへんねん。


「なんでやろうな…オレがふられたわけとちゃうのに…」


ズキズキと胸がしめつけられて、


流れおちる涙は冷たくて、


息がうまくできない。


そんなオレを雪乃はそっと抱きしめた。


「こんなにも…苦しいんや…」


ぽつりとつぶやいた言葉に雪乃が目を見開いて唇をぎゅっとかみしめた。


けどオレにはそんなことは気がつけなかった。


頭の中にあるのはただひたすらに立川のことだけ。


「…大丈夫。達也のそばには…ウチがおるから…」


立川はきっともう、


オレのそばにはきてくれない。


オレが拒絶したから。


オレのせいで。


そう思うと余計に涙があふれた。

達也は一体どっちが好きなんでしょうか…??

よくわかりません;

なんで泣いてるんでしょうかね??

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