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第3話 お話ししました!

今回、会話パートがはいってきました!

 振り向いた私の目の前にいたのは不思議そうにこちらを見ている女の子でした。

 年齢は私と同じくらいでしょうか? 中学生独特のあどけなさが残る顔立ちにはどこか知性の宿る瞳。幼く見えるのは前髪を切りそろえたショートカットの髪型のせいか、身長のせいでしょうか?


「今、失礼なことを考えてなかった?」


 頬を膨らませ、私を睨みつけるかのようにのぞき込んで言ってきました。


「あ、いえ、そんなことは……」


 焦って少し声がうわずってしまいました。


「こほん。まぁそんなことはいいんだけど……こんなところでぼーっと立って何してたの?」


 わざとらしく咳払いをすると、先ほどした質問をしてきました。

 ですが、何と答えたらいいのか私には思いつきませんでした。

 私が考えていたことなんて言えないですし……。さすがに恥ずかしいです。


「もしかして、漏れそうなの?」


 えーっとどういうことでしょうか? 私の思考が一瞬止まってしまいました。


「漏れるって……なにを?」

「おしっこ」


 即答でした。まさか初対面でトイレの心配をされるとは予想外でした。

 私が言葉をつまらせているとそんな様子も関係なしに


「たんぽんならあるよ?」


 と言ってきました。いえ、そういうことではないのです。それは生理用品で決してトイレで使うものではないのです! まぁトイレで使用すると言ったら確かにその通りなのですが……


「そういうことではありません!」


 声に出てしまったようです。


「なんだ、ちゃんと大きな声で喋れるじゃない」


 誰のせいだと思っているんですか……


「私の名前は夏川史帆(なつかわしほ)。あなたは?」


「私は清水春野です」


 なぜか自己紹介をしてしまいました。


「それでさ、こんなところで何してたの? 何か普通の人が見えないものが見えてたとか?」

「いえ、少し考え事をしていただけです」


 何か普通の人が見えないものあたりで目を輝かせていた気がするんですが気のせいです。


「どんなこと考えてたの?」

「そんな大したことではないのですが……」

「いいから聞かせて!」


 夏川さんの勢いに押し切られるように私は喋りました。

 東京から引っ越してきたこと。

 東京との違いについて。

 今年の春から高校に通うこと。

 夢の高校生活が崩壊しかけていること。

 そして、ここに居ていいのかわからなくなってしまったこと。

 夏川さんは相槌を打ちながら最後まで聞いてくれました。

 聞き終わった夏川さんは少し驚いたように言いました。


「東京から引っ越してきたんだ。すごいね。ここは何もないでしょ?」


 苦笑いしながら夏川さんは言いました。


「いえ、何もないわけではないのですが……」

「でもね、私はこの町が好きだよ」


 今度は私が驚く番でした。はっきりと自分の住む町が好きだなんて言える人がいるとは思わなかったからです。


「確かに何もない町だけど。でも、この町にはあたたかさがある。商店街はシャッター街に近いものがあるけど、それでも店に入れば店員さんが笑顔で出迎えてくれる。外を歩いてたら近所のおばあちゃんとかおじいちゃんが話しかけてくれる。皆、いい人が多いよ」


 私には考えられませんでした。東京に居た頃は道を歩いていても1人。無数の中の1つでしかなかったから。でも、この町を探索してみて出会った人たちは確かに明るかったです。ですが、その明るさがどこかまぶしくて……


「今はまだ来たばっかりだし、わからないことばっかりかもしれないけど、でも慣れてきたら見えてくると思うよ」


 その言葉に対して私にははっきりと答えることはできませんが、ですが……


「いつかきっとそんな日が来るかもしれませんね」


 そう私が答えた時でした。時計を確認した夏川さんは


「あぁ!!!!」


 と大きな声を上げました。私はその声に驚いていると


「もうこんな時間! 早く帰らないとお姉ちゃんとお母さんに怒られちゃう! ごめん! また学校でね!」


 と言って走って行ってしまいました。

 どうやら少し長話になってしまったようです。

 夏川さんはまるで嵐のような人でした。マイペースというかなんというか。でもなんだか親しみやすそうな人だというのがわかりました。

 そういえば、また学校でと言っていましたけど。もしかして同じ学校なのでしょうか?

 いろいろと今あったことを考えてみましたけど現実逃避でしかありませんね。



 …………はい。それでは私も怒られてくるとしますか。


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