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平成15年⑤

黒部ダムの騒動後、私は学校へ登校した。

2学期が始まって、他の生徒たちは久しぶりに会う友人たちワイワイと盛り上がっていた。

そんな中、私は一人で黙って通学路を歩いた。以前、泣き咽せた田んぼの畦道を通り、学校に向かった。立秋を過ぎたと言ってもまだ暑く、熱い太陽が照りつける。学校に着き、教室のドアを開けた。開ける時は正直、恐怖はあった。ドアを開けて教室に入った瞬間、多くの人からの視線を感じた。私は気づかないふりをして席に着き、今日の授業の準備をした。気づかないフリをしていたが、以前仲良くしていた光希たちの視線に気づいた。光希、直美、沙織、千春の他になぜか小暮さんも同じグループにいた。こういう奇想天外もあるんだなと思いながら準備した。

私に強引に告白した池谷くんは不登校になったらしい。噂によるとサッカー部を辞め、地元の悪たちと連んでいるらしい。

私はこの日から3年の卒業式まで休まないで出席した。2年、3年のクラス替えで雰囲気が変わるかなと思っていたが、光希が学年中の女子たちに私の悪い噂話をしていて、友達が全く出来なかった。正直、光希には悲しみや失望といった気持ちがなくなり、哀れな子としか見れなくなった。


中学校のイベントというと林間学校や修学旅行があったが、私は参加しなかった。参加した所で無意味だと思っていたからだ。参加しなかった代わりに学校へ登校した。教室にて一人で自習をして昼前に帰る。凄く落ち着いて勉学に励むことができた。


月日がたち中学を卒業することになった。

最後のホームルームでは、先生が「お前たちと一緒に1年間頑張れて本当に良かった!」と涙ながら語っていた。それに対して他の生徒たちも涙流しながら感動に浸っていた。私は『こういう茶番劇やるなよ』『全員が感動に浸ってわけではないのに、好きな人同士で感動すればいいじゃん』というブラックな気持ちになっていた。

ホームルームが終わり、家に帰宅しようとした時、廊下にお母さんがいた。

「美喜、この後どうするの?」

「家に帰る。」

「じゃあどっかでご飯食べようか。」

私はうんと言い、2人で校舎を出た。

やっと、この地獄の中学生活が終わると一安心した瞬間だった。

その時、

「美喜!」

と校門前にいた直美が私を呼んだ。

お母さんが「先に言ってるね。」と言い校門を出て行った。

直美と千春、沙織の3人がいた。

「久しぶりだね。どうしたの?」

直美は申し訳なさそうに

「美喜にずっと謝らないと思って。1年の時はごめんなさい。光希に何も言えずにごめんなさい。」

千春と沙織も一緒になって「ごめんなさい」と謝った。

「気にしないで。恨んでないよ。寂しかったけど、直美たちのことを嫌だとは思ってないよ。」

私は笑顔で言った。

直美が続けて

「この後、光希はいないんだけど、何人かで打ち上げやるんだけど来る?」

私は迷わず

「ごめん。参加できない。3人のことは嫌いではないんだけどね。まだ、心の傷が癒えないの。中学の同級生たちともう会いたくないから。ごめん。」

3人はそっかと俯いた様子だった。

私は笑顔で

「直美!千春!沙織!卒業おめでとう!

ありがとね!」

と言い3人の前を去った。

私は中学校に行くのが辛かった。辛かったけど、頑張ろうと思えたことがあった。

『僕は美喜ちゃんの味方だから!』と言って手をギュッと握ってくれたこと。この一瞬だけなのに、私は大きく変わったと思う。毎日、授業を終えて家に帰って、泣くことが何回もあった。だけど、最後は私には味方になってくれる子がいるんだと思うと落ち着いた。いつもその言葉を自分に聞かせながら、頑張った。

ありがとう春樹くん、無事卒業出来ました。

母が校門の先で待っていた。

母は「お昼何食べる?」

と尋ねてきた。

「なんでもいいよ。ガストでいいんじゃない?近いし」

「わかった。」

と母はえくぼをキュッと上げて笑った。

母のえくぼをキュッと上げて笑う仕草が私は好きだった。

「美喜、卒業おめでとう。辛かったでしょ?よく頑張ったね。」

「うん!立山に勝手に行ったことあったじゃん、その時からなんか頑張れるようになったんだ。」

「春樹くんが何か言ったの?」

と母は笑いながら言った。

「まぁ気がきく言葉を言ったのよ。」

「あの春樹くんがね。」

と母と笑いながら田んぼの畦道を通った。

桜が満開に咲いていた。凄く春らしい。


私は地元の高校に入学して、沢山の友達恵まれた。毎日が楽しく、学校終わりに友達と大和に寄って、帰りはチャリに乗りルンルンで帰る。

いつも自宅のあるマンションに帰ると、幼馴染がいつもテニスの素振りの練習をしていた。ほぼ毎日だったかな、夜遅くまで練習しているんだもの。陰ながら応援していた。

この子の花が満開に咲くことがきっとくると信じていた。


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