平成24年⑬
エミリーは、唐突に言われて動揺しているのか、目線を若干下の方に向けている様に見えた。
その後、エミリーのLINE通話から声が聞こえなくなった。
エミリーは深々とお辞儀をして、彼も深々とお辞儀をした。
そして、お互い手を振りながら彼は改札の中へ入って行った。
彼の姿を見えなくなるのを確認してから、エミリーは僕らの方を振り返った。
そして、エミリーはゆっくり歩きながら、僕らの方に来た。
エミリーはゆっくりと口を開け、
「私、彼氏できた。」
とポツリと言った。
沙優は、それを聞いた瞬間
「おめでとう!!!」
とバカでかい声で叫んだ。
エミリーは、「ちょっ、沙優うるさい」
と言いいながらも、なんだか嬉しそうだった。
斎藤が腕を肩に回しながら、「あーあ、エミリーも彼氏できたかぁ」
と残念そうに言った。
エミリーは、ニヤッとして
「あら、私に彼氏ができて残念だったね。斎藤くん。もう少し早ければねぇ」と答えた。
それに対して飯田は、
「いや、エミリー違うよ。斎藤は、っていうより俺らなんだけど、エミリーに彼氏が出来て嬉しいとかじゃなくて、俺らよりも先に恋人が出来たことが残念だってことだよ。」
みんな、「そーそー。」と頷いた。
エミリーは「もう何よ」と言いながらも嬉しそうだった。
沙優が「エミリーに彼氏ができたのは嬉しいけど、私も彼氏が欲しい!」
飯田が
「前いたじゃん!」
と突っ込んだ。
「いやあれは、私の記憶から消し去ったから!
彼氏がほしーーい!って思いっきり叫びたい!」
「いや、もう十分うるさいよ。」
と飯田はまた突っ込んだ。
沙優がいきなり
「ねぇ!みんなでこれから海行かない?」
と言い出した。
全員「なんで?なんで?」となった。
飯田が
「ついにネジがぶっ飛んだか。」
と呟いた。
「海ってさ。近いの?ここ東京だし。夜だし懐中電灯必要?」
と僕は疑問に思った。
斉藤が、「そこまで、田舎じゃねーよ。富山と一緒にするな。」
と突っ込んできた。
僕らは渋谷駅から国際展示場駅に行きお台場海浜公園に向かった。
僕はよくテレビ中継される所だとテンションが上がっていた。
沙優が僕のことをややニヤけながら見ていた。
「高瀬、あんま上ばかり見ないでよ。田舎者みたい。」
「いや、田舎者だよ。あれってフジテレビでしょ?よく天気中継で映ってる所だ。」
と僕はワクワクしていた。
僕らは海浜公園の砂浜に着いた。
砂浜からレインボーブリッヂが橋の名前だけあってレインボーに輝いていた。
あんな大きな橋を封鎖なんか本当にできるんだろうか。
沙優がいきなり水辺の近く行き、大きく息を吸った。
「ぜっててぇえええ!彼氏作ってやる!!
エミリーの彼氏より100倍イケメンな人!!
それか、山田涼介!!」
と叫んだ。
飯田は小声で
「そりぁ無理だろう‥」
と呟いた。
沙優はそれに対して
「飯田はどうなの? 彼女欲しくないの?
ほら!飯田も叫んで!」
ええ‥?と困惑しながらも飯田は
息を思いっきり吸い
「高瀬より先に彼女を作ってやるーー!」
と叫んだ。
沙優は満面の笑みで
「いいね!飯田! ほら次高瀬!対抗して!」
「はぁ?俺も叫ぶの?」
エミリーが
「早く童○卒業しなさいよ。」
と呟いた。
僕も水辺近くまで行き、大きく息を吸った。
「飯田より早く彼女作ってやるぅううぅ!」
斎藤が
「めっちゃ声裏返ってるじゃん。こりぁ無理だなぁ」と言った。
全員、腹抱えて笑い始めた。
よっぽど変だったんだろう。
僕は笑われながらも、何だがいい気持ちだった。
今までは多分イラってしていただろう。
いつも一人で何とかしないという気持ちから解き放たれた感じがした。




