平成24年⑪
ひんやり肌寒くなってきた10月下旬。
厚手の物をそろそろ買わないとなぁと思ってきたこの頃。
グループLINEでエミリーが話しがあるから授業終わったらカフェテリアに来て!と連絡が来た。
僕はカフェテリアに16時にぴったりに着いた。
エミリーが緊張した顔で、沙優はにこやかに笑って座っていた。
僕らは入り口から眺めていてると
「おーい、こっちだよー!」
と沙優が叫んだ。
飯田がボソッと「あんなに叫ぶなよ。恥ずかしい。」
と言った。
カフェテリアにいた何人かは僕らの方を見ただろう。僕らの方を見ても冴えない男4人突っ立っているもんだから、みんなすぐに視線を外し自分たちの世界へ戻って行った。
沙優が、「みんなにお話しがあってね!ねぇ!エミリー?」
エミリーはムスッとした表情で「うん。」と言った。
僕もはややちゃかしながら、
「話しって何?まさか、今日ハロウィンだからコスプレしようとか、センター街行こうとか?」
と笑って言った。
斎藤もその話に乗って
「2人はバニーガールとかいいんじゃない?」
と言った。
エミリーは、はぁーというため息をつき一方で沙優は
「好きな人が出来たら、その人の前でしかやらないからごめんね!」
と笑って答えた。
沙優は続けて、
「でね!今日はハロウィンなんだけど、エミリーがハロウィンデートするんだって!それでねぇ」
僕らは全員「えー!?」って言っただろう。
沙優は続けて
「みんなでサポートして欲しいの!」
僕は頭を掻きながら、
「エミリーのそういうのって聞いたのは初めてだよ。」
「うちらの男陣に言うわけないじゃん。」
とムスッとした表情でエミリーは言った。
「てか、今日エミリーなんか変な表情じゃん。」
エミリーは、さらにムスッとして
「緊張してるの!しかも、一人でやろうと考えてたのに。」
沙優はそれを見てニコッて笑い、
「それをみんなでサポートしたら、上手くよ!ね?みんな?」
僕らは、うーん?と言いながら顔を見合わせた。
それを見たエミリーは、はぁ〜‥と溜息をついた。
17時半に僕らは東急プラザの前にいた。
沙優が
「モヤイ像の前に45分に待ち合わせなんだって!」
と言った。
遠くの方にエミリーがソワソワしながら、何度もスマホを弄っている。
ハロウィンの夜ということで、渋谷駅もたくさんの人で溢れかえっていた。横を振り返ると、マリオとルイージがタピオカを飲みながら歩いている。よくテレビでサッカーの大会で勝ったりすると、スクランブル交差点で走り回ったり、ハロウィンになるとコスプレの人が騒いだりするイメージが強い。
そういえば1ヶ月前に、飯田が渋谷のスクランブル交差点で大勢の人たちとハイタッチしながら、歩くのも夢だったとか言ってたなと、隣でファミチキを食べている飯田を見て思い出した。
「やっぱ、ファミチキうめーな!」と言っている飯田の隣にいる沙優は、「もーすぐ来るんだけどなぁ」とスマホを見ながらぶつぶつ言っていた。
モヤイ像の近くにいるエミリーに細めの眼鏡を掛けた人が話しかけていた。
エミリーは一瞬ビクッととして、その人に軽く微笑んで手を振っていた。
「沙優、あの人じゃない?」
と僕は問いかけた。
「あー!あの人!!よし、尾行開始! 飯田!ファミチキ食ってる場合じゃないよ!」
沙優はスマホをポッケにしまった。
斎藤は飯田を見ながら、
「ファミチキ何個食ってたんだよ。」
と笑っていた。
「よんぉこ‥もう食べおわう。」




