平成23年④
山手線の車内で、僕はやや緊張気味につり革に捕まっていた。平日の昼間なのに、この人の量。そして、5分後には次の電車が来る。僕の地元なんか1時間に1本ペースなのに。
全く、東京という所は異世界だ。
渋谷駅に着きホームに降りた。何口で降りていいか分からず辺りをキョロキョロした。
(ハチ公口?あ!有名なハチ公か)
取り敢えず、聞いたことがある名前の出口だったので、向かった。
改札口を出ると、あまりの人の多さに驚愕した。
まさに
「人がゴミのようだ」とはこのことか。
大きなスクランブル交差点では、多くの人々がぶつからないように普通に歩いていた。最近、話題になっている歩きスマホも堂々とだ。
僕はケータイの地図を起動させて目的地を確認した。ハチ公口のスクランブル交差点とは反対の宮益坂方面へ歩いた。そこから南口改札の横を通過し明治通りを直進した。そこは富山では見られない光景だった。大きな通りには沢山の飲食店やオフィスが並んでいた。大きな歩道には学生たちが道に広がって歩いており、スーツ姿のサラリーマンがケータイで電話をしながら歩いている。
大きい交差点を渡り、やがて閑静な住宅街へ入った。そこから坂道を登ると直ぐに大学の建物が見えてきた。大きなビルに校舎らしき建物が4つ、そして広々した学食があった。一番奥の方に図書館とカフェテリアらしきお店が見える。
土曜日だからなのか学生は少ないようだ。
大きなビルの入り口から入学課という文字が見えた。
1階の入り口の奥に入学課があり、大学のパンフレットと募集要項の冊子を頂いた。その際に入学課の職員の方から在校生による大学の案内もあるから待つように言われた。2.3分後、まぁまぁ背の高いシュッとした男性が来た。
「こんにちは、はじめまして。学生サポーターの名波と言います。では、大学の案内をしますね」と爽やかな感じで言われた。
僕はそれに対して
「あ、‥はい。」と言って後ろをついて行った。
校舎を巡りながら名波は話しかけてきた。
「高瀬くんは今、高三だよね?」
「あ、はい。そうです。」
「俺の妹も高三でさ、ここの大学受ける予定なんだよね。」
「そうなんですね。じゃぁ同級生になる可能性もありますね。」
「そうだね。でも、妹はここ第二希望だから第一志望受かったら行かないかもね。」
と笑って言った。
学生たちがわんさか教室から出てきた。授業が終わったのだろう。
「学生さんたち凄いですね。たくさん。」
「今日は少ない方だよ。平日は本当に歩くのが面倒なほど人が多い。」
大学内を一周して入学課の前に戻った。
名波が
「俺、4年なんだけど就活終わって暇したけど今日案内できてよかったよ。頑張ってここの大学入って学生サポーターになって欲しいな。」と言った。
僕は「学生サポーターになるか分からないですが、この大学に受かるように頑張ります。」
と返した。
「妹も学生サポーターになって欲しいけどね。学生サポーターってほぼボランティアみたいものだからさ。みんなやらなくて。高瀬くんなら以外と案内するの上手そうだし。」
と笑顔で言った。
僕は心の中でお世辞ありがとうございます。と呟き、お礼言って大学を出た。




