世界征服?
「さてと、魔王よ。おまえらが人間界の領土を欲する理由は分かった。」
「わかってくれましたか。我々も種として繁栄していくには仕方のない事なのです。べつに快楽的に人間を殺そうなんて思ってる魔族なんて少数しかいませんよ。」
「・・・・・ちょっとはいるんだ?」
「・・・・・・はい。で、でも人間さんにもいますよね?我々魔族を殺すことを生業にしてる方もいらっしゃいますもんね?」
「あぁ・・・うん。そうだね。で、だ。」
「はいぃ。」
「実際の所、どうなの?いわゆる世界征服するつもりなの?」
「いやぁ、そこが難しいところでですね。我々は様々な部族から成り立ってる訳なんですが、部族間の争い、まぁ野菜がらみが多いんですけどね、小競り合いが絶えないのです。」
「うん。今はそうかもだけど、こっちの世界を領土にして、食料供給さえ安定してしまえば小競り合いなんてなくなるだろ?」
「ん~、そうとも思えない事がありまして。やはり我々魔族、血の気が多いというか?野蛮?みたいな?」
「あぁ~、まぁたしかにそのまんまのイメージだわ。」
「なのでですね、人間という共通の敵がいる現状、わりかしまとまってる方なんです。」
「なるほどなぁ。うちらもそうだわ。人間同士での争いは絶えない。個人間でも、国家間でもな。同じように共通の敵である魔族がいる時の方がまとまってるわな。すくなくとも国家間の争いしてる場合じゃないもんな。」
「でしょう。いざ魔族が勇者さんに討伐されたと思ったら、その勇者さんを殺しちゃうんですもんねぇ。」
「・・・・もうそれ言わないで。結構ショックうけてるんだから。」
「あ、ごめんなさい・・・」
「で、結局魔王はどうしたいんだ?」
「私の考えはですねぇ、やはり穏健派の魔王の時のように、人間と交渉して魔族みんなに行き届く野菜を作れる土地が欲しいんですよ。」
「なんか、お前、変わったな?」
「へ・・・?」
「いや、俺の魔王への見方が変わったのか。いやね、ちょっと前まで殺し合いしてたわけじゃない。実際俺お前を殺したし。」
「はい。すぐ復活しちゃいましたけど。」
「それはいいんだよ。でさ、バトってた時はさ、死ねぇい勇者!!とか言って火炎吐いてただろ?」
「えぇまぁ。お恥ずかしい・・・」
「フハハハハハハァ!!とか言ってたわけじゃん。」
「ちょ。勇者さんまじやめて、私恥ずかしいです。」
「そんなオラオラしてた魔王がさ、魔族全体の事考えてたなんてな。」
「フフフ。一応王ですからね!」
「なんかさ、俺の方が独善的だったなぁって。」
「勇者さん・・・」
「・・・・・・」
「お茶にしましょうかね?」
「あぁ、今日はあいつ出てこなかったな?」
「あぁ彼は溜まってた洗濯物畳んでもらってるんです。」
「・・・じゃぁ、人間と交渉し野菜が作れる領土を手にする事がゴールって事でいいか?」
「はい。そのせんで行きましょう!」