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朝ご飯


「おーはよーございまーす!!勇者さん、朝ですよー!!」


「ん~。うるさいなぁ。。。目覚めの声が魔王からってのはなんだかなぁ。。。」


「そんな事言って~。つれないなぁ勇者さんはぁ。ほら、朝ご飯できてますよ?」


「道理で食い物の夢を見るわけだ。すげぇうまそうな匂いじゃないか。」


「でしょう。一汁三菜ってやつですよ。健康面にも気を付けないとねぇ。」


「お前らって肉しか食わないわけじゃないんだな。うん、なかなか美味いぞ。」


「え?何言ってんですか勇者さん、当たり前じゃないですか~。野菜取らないと成人病のリスクが跳ね上がっちゃうでしょ~。やだなぁ~。ちょっと、君。勇者さんにサラダもっと出してあげて。」


「了解っす!!じゃんじゃんどうぞ~。」


「ん~美味い。シャキシャキ感が獲れたて~!って感じするよな。」


「でしょ。今は我々の人口が少ないんで全員に十分行き届きますからねぇ。遠慮せずに召し上がれ~。」


「ん?どうゆう事だ?」


「え?野菜は高級食材でしょ?今は勇者さんに倒された魔族が多くて人口が少ないからいいんですけどね 。増えてくると不足気味なりがちで。。。」


「沢山生産すればいいだけの話じゃないのか?」


「そこなんですよ、勇者様~。」


「ん?わかるように説明しろ。」


「君、勇者さんにわかりやすく説明してあげて。」


「御意。そもそもですね。我々魔族は闇に生きる生物なわけです。で、闇の大地に住んでる訳ですね。」


「うん。そんな認識だわ。」


「闇の大地ってくらいだから、太陽がない。日光がささない。植物が育たない。ってわけです。まぁ、全く育たないってわけではないんですが、そうなってくるとそれはそれで大変で。」


「奪い合いが起きると?」


「はいぃ。闇の生物なんだから野菜なしで生きられるようになってればよかったんですがね、なまじ少量の野菜が採れちゃうから、それを摂取しないと病気になっちゃうんです。変な因果ですよねぇ。」


「ふ~ん。ってことはあれか。お前らは野菜を作るために、日光のあるこの世界が欲しいと。」


「そうなんですよ~。」


「だったら人間達から土地譲ってもらえばいいんじゃないか?」


「そうゆう考えの、穏健派の魔王もいたんですよ。人間を襲わないから土地をよこせって。そうすれば共存できるからお互いウィンウィンだろ?って。」


「おぉ。まともな魔王じゃないか。」


「はいぃ。教科書にも載るような立派な魔王様でした。しかしですね。」


「なんの問題が起きた?」


「野菜ができる土地ってのはわりかし限られてるでしょ?気温と水が必要ですよね。」


「あぁ~。食糧生産の高い国は強国だわなぁ。」


「です。人間同士でも豊かな土地を巡って争いが起きるのに、わざわざ魔族にそんないい土地譲ります?」

 

「まぁ、譲らないわな。」


「でしょう。その穏健派魔王様はですね、北の方の野菜なんて育たない土地と契約しちゃったんです。」


「うわぁ。。。激怒だろ?」


「はいぃ。烈火の如くってやつです。今じゃそっちのほうで教科書に載っちゃってます。」


「なんで騙されたんだ?人が良すぎたのか?まぁ人じゃないけど。」


「我々魔族の野菜に対する認識不足ですよねぇ。しらなかったんですもん、生育条件なんて。」


「だとしても人間側から注意はなかったのか?全然育たないですよ~って?」


「そこもね、ちゃんと野菜作りたいから土地よこせって提案したわけじゃないんですよ。野菜食えてないってわかっちゃったら大変でしょ?」


「まぁ、弱点だわぁ。野菜取らないと病気になって死ぬ。じゃぁ魔族に野菜取らせなきゃいい。

 ほっとけば魔族の力弱くなるんだから兵糧攻めみたいな感じでいいか。と。」


「ですです。しかも人間て器用に品種変えてくるでしょ?なんか魔族にだけ毒の品種の種とか出回っても 我々じゃわからないんですよねぇ。」


「たしかになぁ。そりゃ隠して交渉するしかないか。」


「で、穏健派魔王は激怒。人間側も土地譲ったのに何怒ってるんだよ!ってなって、現在まで続く魔族と人間の戦争が繰り広げられてるわけです。以上説明終わります~。」


パチパチパチ


「いやぁ~、良かったよ君。ないすプレゼン~。すごい分かりやすかったぁ。」


「はい、ありがとうございます。魔王様!」


「ふぅ~ん。そうゆう経緯があったのなぁ~。知らなかったわぁ。お前らも生きるためなんだもんな。」


「ですです。なんかの経典にもかいてありましたよ。正義対悪なんてない。正義対、もう一つの正義だ!って。立場が変われば色々変わりますよね。一方的な考え方じゃ反発も起きますよねぇ。」


「なんかお前、色々考えてるんだな。」


「はい、一応魔族を統べる者としては、魔族の繁栄を願うってのは至極当然の事だと。」


「・・・・・・・討伐しちゃってごめんな。」


「いやいや、それは言いっこないしで。私たちも勇者さんの息の根止めようとしてたわけですし。」


「汁冷めちまったな・・・」


「き、君ぃ。急いで温めなおして!!」


「は、はいぃ。魔王様!!」




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