交渉材料
「魔族ってどんな暮らしぶりなんだ?」
「どんなって、人間となんら変わらない生活ですけど?」
「家族があって、何件か寄せ集まって村があって、それぞれの生業の仕事をしてって感じか?」
「はい。まさにその通りです。」
「どんな仕事してんだ?」
「ご存知のように、我々の世界は人間界の下にありますよね?下って鉱業くらいしかないんですよねぇ。」
「あぁ、たしかに。豊富な地下資源ってやつか。いいじゃん。」
「いいですか?」
「こっちの世界じゃ地表に出てる部分しか採取できないからな、でも下の世界なんてどこでも掘れるんだろ?」
「どこでもではないですけど、上にくらべると圧倒的に違いますね。」
「じゃぁそれを交渉材料にしようか。」
「ほほぅ?」
「鉱物なんて文化の発展にめちゃくちゃ重要だからな。お金、農具、武具、建材、薬、なんにでも鉱物は必要なわけだ。」
「おぉ!!勇者さんお詳しいですね。」
「しかも魔族は人より腕力も体力もあるだろ?」
「なんか、人間が監督で、魔族が労働者って絵が見えるんですけど・・・」
「そんなの反乱しちゃえばいいだけじゃん。魔族の方が人間より強いんだぞ?」
「あ、その通りです。じゃぁ杞憂でしたね。」
「でも鉱物だけじゃ弱いなぁ。」
「弱いですかね?」
「交渉材料が1個しかないってのはなぁ。他にないのか?」
「ん~、魔族が人間より優れてる点で考えていくといいですかね?」
「そうだな。」
「力や体力が優れています。」
「うん、労働者として人間界で働くってのはいいかもな。人間側が受け入れてくれればだけど。」
「寿命が長いです。」
「う~ん、それはどう生かせばいいんだろうな?人間との構造の違いの研究とかか?病気の治療とかに役立てたり?」
「え?なんか怖いんですけど・・・」
「魔族には人間にない臓器がありました!これを移植することで病気が治ります!みたいな?」
「でも後遺症で角が生えます。ってなっちゃいません?」
「あぁ・・・すごい確率でありそう・・・」
「どっちにしろ我々を解剖しようとしてますよね?」
「死体を検体として提出するとかだなぁ。」
「ターヘルアナトミアですね・・・」
「なにその魔法?なんか言った?」
「いえ、なんでもないです。」
「他はないのか?」
「ん~。。。何かありますかねぇ・・・」
「海っす。」
「ん?」
「う、海がどうかしたの?」
「人間との違いっすよね?海中で生活してるやつらがいるっす。」
「おぉ!!なるほどな!!いいじゃん!!」
「え?なにがいいんですか?」
「なんでだよ、人間は海の中で呼吸できないんだよ。」
「そんなの知ってますよ。私もそうですもん。」
「でもおまえら中には海中で生活してる種族がいるだろ?」
「えぇ、魚人族がいますよ?」
「そいつらの手助けがあれば人間側にはめっちゃメリットあるぞ!」
「ほうほう。例えば?」
「まず海難事故の救助だろ。」
「なるほど!!安心して漁業に専念できますね。」
「漁業もさ、魚人が手伝ってくれれば、魚の群れを網の方に追い込むとかして、漁が楽になるだろ。」
「数が減らないよう漁獲量もこっちで調整できやすいですね。」
「他には海底資源な。」
「それって下の世界に豊富にありますよ?」
「鉱物はな。他にもあるんだよ。ガスとかな。」
「ガスですか?」
「地表で取るより、海中の方が取りやすいと思わないか?泡っていう形で見えるし。」
「なるほど。ガスを何に使うかわかりませんけど?」
「俺も詳しくないけどさ、燃料とかに使えるんじゃないか?お前らは使ってないのか?」
「勇者様?」
「なんだよ。」
「我々、火を吐けるっす。」
「あぁ。。。そうだったね。」
「冷たい息吐けるやつもいるっす。」
「それも何かに使えそうだけどな。まぁとにかく、魚人による海での協力は良いぞ!!」
「おぉ。なんとかなりそうですかねぇ?」
「交渉次第だろうけど、材料としてはすごい良いと思うぞ!!」
「あのぉ~。」
「どうした?」
「海藻って食えないんすか?」
「そりゃぁ食えるだろ?」
「え!?そうなんですか!!」
「国によるな。食べる国もあれば食べない国もある。でも食べない国の方が圧倒的に多いな。」
「それは何故なんです?」
「ん~。野草もそうだけど、食べれるのと食べれないのあるよな?海藻もそうなんだよ。」
「ふむふむ。」
「食べれる海藻がとれる地域の人々は食べる文化があるんだろうな。」
「なるほど。」
「あとは、やっぱり野菜の代用品でしかないんだろうな。」
「そういわれればそうかも。」
「海に面してない人もいるわけだしな。海の物より、陸の物の方が採取しやすいだろ。」
「納得ですねぇ。」
「魚人は海藻食ってるのか?」
「どうでしょう?何を常食してるかまではちょっと。」
「いや、調べろよ。急いで調べろ。お前らの問題の根本的な解決になりうる案件だぞ?」
「そ、そうですよね。野菜不足解消できますもんね!!」
「もしっすよ、海藻で問題が解決でるってなっちゃったら・・・」
「なっちゃったら?」
「人間と交渉しなくていいんじゃないっすか?」
「何言ってるの君!!私は争いのない世界にしたいの!!人間も魔族も共存できるはずなんだから!!」
「すいません!魔王様!!」
(ん~、こいつ本当に名君っぽいんだよなあ。。。)




