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閑話休題


渺漠たる混沌の嵐が吹きすさぶ地にて、魔王は何を回顧しているのか。

光が無いこの世界では、太陽での時間の経過を感じられる事などない。

囂々たる風の音だけが聞こえ、身動き一つせず、目を瞑っている。


やはり、あの時の判断が甘かったか・・・

思えばいつの間にか後手へ後手へと回ってしまったようだ。

最初は楽しかったのだ。敵である男の成長が。

綺麗に研磨した球を眺め、安堵し、そして叩き割る。

そのようになるはずだったのだがな。


目を開くと、大地では住民の営みを伺える。

今では少なくなった住民に、いつかの賑わいし喧騒を重ね、

寂寥たる思いが胸に重く圧し掛かる。


こんなはずでは無かったのだ。

王たる私は、民に繁栄と安寧をもたらせねばならなかったはずだ、

しかしどうだこの様は?

目には光がなく、疲れ切った表情。

手足は泥にまみれ、着る物は擦れ果て、子供の手足は細く今にも折れてしまいそうではないか。


全てあの男のせいだ。奴が全てを破壊尽くしたのだ。

さも自分たちは被害者だと言い募り、自分たちだけの価値観での正義を振るい、

他者への寛容な心さえ持ち合わさず、笑みを浮かべ、恍惚とした表情で殺戮を繰り返す!!

憎い、憎いぞぉ!!


目には暗い炎を灯し、両腕の血管が不器用に蠢く。

喰いしばる歯同士の音がわずかに漏れ聞こえたかと思うと、

深淵のような深いため息とともに一瞬にしてその力は解かれ、

脱力しきった、どこかやり場のない表情を見せる。


私か。全ては敗者である私の責務なのだ。

民よ、私を貶してくれ。罵倒してくれ。お前たちの期待に応えれなかったのだ。

蔑んでくれ、賎しめてくれ!!

優しすぎるのだ・・・お前たちの私を見るその目が、優しすぎて、痛いのだ。

希望を期待する目が、針のように刺さるのだ。


そうだな、私は敗者であり、その責務を負わねばならんのだな。



「魔王様~!!そろそろ会議の時間ですよ~!!」


「えぇ~?もうそんな時間?今良いところなのにぃ。」


「なに読んでるんです?」


「これ?魔王語りの最新刊だよ?」


「あぁそれ人気っすよねぇ。」


「君も読んでみる?終わったら貸すよ?」


「そうですか、お願いします~!!」


「さ、勇者さん待たせちゃ悪いし、行こうか。」


「は~い。」





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