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スペースマン  作者: 本山なお
6/30

スはスペースマンのス⑤

 爆音の方を見上げると小型艇WC-001が飛来。着陸。中から啓作が降りてくる。

「兄さん」

 再会する兄妹。

「奴ら、たった一人の女の子を捕まえるためにこれだけの兵を出すのか」

 明が啓作に話しかける。

「俺達が来るのを予想していたって事だ。急いでこの星を出るぞ!」

「え?でも・・」

 パワードスーツをも繰り出す連中が相手である。この星に留まれば、学園にも被害が及ぶかもしれない。美理も納得せざるを得なかった。


 明たちを乗せた小型艇は、反重力航行で上空に浮かぶ<フロンティア号>へ。

「これが兄さんたちの宇宙船」

 見るのは初めてだった。勿論乗った事など無い。始終美理はキョロキョロと落ち着かない。

 下部格納庫に収容。隣は貨物室(カーゴルーム)だが、運び屋の船にしては小さい。

 ハッチが閉まる。エンジン噴射。上昇していく。

 一行はコクピットに来る。

 六畳程の空間に縦二列横三列の六つの席と補助三席がある。シャトルや戦闘機のコクピットよりは広いが、ブリッジと呼ぶには狭い。

「いらっしゃい。<フロンティア号>へようこそ」

 後列左の通信席のシャーロットが美理を出迎える。

「ご、ごきげんよう」美理の返事はたどたどしい。

 それぞれの席に着く。

 マーチンが前列中央の主操縦席で操縦中のため、明は左隣の副操縦兼機関制御席へ、啓作は右隣の主戦闘席へ。この三席では切り替えでどこでも操縦・攻撃が可能だ。

 ヨキは後列中央の副戦闘席にいた。ここはプロトン砲専用席。

 ボッケンは後列右のレーダー席へ。彼の場合イスは使わない。立ったまま足を固定して衝撃に備える。この席と通信席ではデータ解析やワーププログラミングも可能だ。

 ピンニョはそのすぐ後ろ、透明な球状の籠・・もとい専用室に入る。ここで操縦・プロトン砲以外の操作が可能だ。

 出入口横の三席は椅子ソファのみで客人用の予備席となっている。

「ここ。座って」ヨキがソファを指差す。

「ありがとう」

 美理は中央の席に着く。言われるままシートベルトを締める。この席のみ広く、詰めれば二人座れた、現にベルトは二人分あった。

「わあ」

 空の色は青から藍へ・・さらに紺へ・・やがて漆黒の星空へ。眼下には青いルリウス星。

「宇宙・・・」

 美理は自分が泣いているのに気付いた。

「あたし宇宙に行く!宇宙行ってお父さん探す!」昔言った言葉を忘れていない。

 予想もしない形で、ずっと憧れていた宇宙に出ることになった。戸惑いと感動とが入り混じっている。

 そんな美理を明はバックミラー越しに見つめる。

「何で似てるんだ?」

 ――時に宇宙暦498年――


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