エピローグ
エピローグ
「(帰って来た)」
ルリウス星の青い空を見上げながら、美理はそう思った。久しぶりの(本物の)制服。
<真理之花女学園>の校門。啓作が見送りに来ていた。
「明に一緒に行こうと誘ったんだが・・何故か怯えて・・」
「素敵な仲間ね、みんな・・・。大好き。怖かったけど、楽しかった。ありがとう」
「伝えとくよ」
「すぐに仕事?今度はどこ?」
「すぐじゃないけど、バラ星雲だった筈。ちょっと遠いな」
「いいなあ。私も行きたい。・・兄さんがこの仕事を選んだ理由、少し分かった気がする。母さんと兄さんの故郷の星を探そうとしているのでしょ?」
「それもあるが・・楽しいからだ」
啓作は笑って、美理の頭をなでる。
「元気でな」
「兄さんも」
「万一に備え、ピンニョをつけとく。ボディガードだ」
「よろしく」ピンニョは美理の肩に乗る。
「こちらこそ、よろしく。・・また船に乗ってもいい?」
「大歓迎だ」
「じゃ、行くね」
美理は校門をくぐり、校舎へ向かう。ピンニョもステルス化して後を追う。
教室に入る。クラスメートが集まって来る。
「この度はご愁傷様でした」
「遠い恒星系の法事に行かれて、そこで遺産相続殺人事件に巻き込まれて、解決して出発しようとしたら、大規模な恒星嵐で足止めになられたとか」
「あはは・・(そうなんだ。麗子に頼んだアリバイシナリオ無理ありすぎ~)」
麗子と視線が合った美理は無言で手を合わせて感謝する。麗子は親指立ててウインク。
「誰なの?あの男の方」「彼氏?親戚の方?」
「お兄さまなの?かっこいい、紹介して」
「うへ」ピンニョは女子校の雰囲気に呆れている(ステルス能力で人には見えない)。
「ところで何でみんな予習してるの?」
「え?だって今日は・・」
先生が入って来る。生徒達は慌てて席に着く。もちろん美理も。
「ごきげんよう、皆さん。では中間テストを始めましょうか」
「え?」
ルリウス宇宙港のはずれ。明はひとり<フロンティア号>のコクピットにいた。
他のメンバーは食料等を仕入れに外出中。明は重傷を負ったあと無理をしたため、お留守番だ。
非常脱出装置の点検を兼ね、船外に出る。
綺麗な青空。潮風が心地よい。昔嗅いだ潮の香。ルリウス星の空は地球の空に似ている。厳密にはちょっと違うが、昔の事を思い出すのには十分だった。
ゴオオオオオ・・・・・ 頭上を宇宙船が離陸して行く。
「わあああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
轟音の中、大声で叫ぶ。
もう会えない。麻美子に。永遠に。
叫ぶ。声が枯れるまで叫ぶ。泣き疲れて、叫び疲れて・・
突然の静寂。宇宙船はもうはるか空の彼方だ。
「約束して。・・死なないで。必ず帰って来て」麻美子との約束。
「いろんなものを置いてきちまった。
友達、家族、麻美子・・ごめんな。帰るという約束破っちまった。
でももう一つの約束は守ったぜ。 俺は死んでない、生きている」
コクピットに戻る。二重の安全装置を確認し、壁に貼られた写真に気付く。
誰が撮ったのか古風なプリント写真。美理を含めたクルーが写っている。
「魅かれたのは、昔の彼女に似ていたからなのか?(それだけか?)
・・・寂しくないと言ったら嘘になる。でも今の俺には新しい仲間がいる。
生きていくよ。ここで。この時代で。だから・・見守っていてくれ」
「ただいまー」
ボッケン達が帰って来た。途中で合流した啓作も一緒だ。
明は気付かれぬようにそっと涙をぬぐう。
メンバーがそれぞれの席に着く。
「発進準備完了」
宇宙港のシグナルが青に変わる。
「<フロンティア号>発進!」
垂直上昇し離陸する。両翼のエンジンを噴射。ぐんぐん上昇していく。
完
読んでいただきありがとうございます。
小学生の頃から漫画を描いていました。自由帳に鉛筆で。それが「スペースマン」。最初は怪獣と戦うヒーローもの、「スペース」の掛け声で変身して、必殺技は「スペースビーム」。それが宇宙戦艦(!)に乗って宇宙人と戦うようになり、最終的に”神”を名乗る存在と戦う、壮大なスケール・・すぎて未完。社会人になり忙しくて筆を置いた。少し自由な時間が出来て、明たちの物語をちゃんと完結させてあげたくなった。それが小説(版)を始めた理由です。主人公は変身しませんし、ストーリーも昔の漫画版とは異なります。よろしければお付き合いください。




