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スペースマン  作者: 本山なお
24/30

ネオ=マルス⑤

 洋館二階。

 指令室の扉の前には数人のパラドックス兵が倒れていた。

 明と啓作はその扉の前に立つ。

 明が時計の表示を見る。ここだ。啓作がうなずく。

 中では、首領リッターブーンが真剣な表情で悩んでいた。

「・・・そうだ!“聖なる乙女”でもパンツ見る位なら・・」

 手が美理のスカートに! 

 扉が開き・・・光が差す。

 うなだれていた美理が顔を上げる。

「・・・!!」涙が溢れる。

 明と啓作が立っていた。 

「何をしている(怒)」 

「え?あ、これは・・その・・ええい!動くな!動けばこの娘は・」ちなみに丸腰である。

 ふたりは銃を構え、撃つ。

 リッターブーンの腹部に命中。倒れる。(パラライザーなのだが)

「お前ら、二人で汚いぞ・・まあいい、私は頭だけでも生きられるサイボーグなのだ」

「!!」

 首を分離するリッター。プロペラが生えて飛ぶ・・ ブ~ン。

「それが・・どうした~!!」

 明がオーバーヘッドキック! 

「ぎえ~~~~」

 部屋の端まで吹っ飛ぶリッターブーン(の首)。

 啓作は美理に駆け寄る。腕輪の拘束具を外す。

「もう大丈夫だ」 

「兄さん!兄さん!」 

 抱き合う二人。

 明はそれを見つめる。嬉しそう。

 美理が明に気付く。抱きついて来る。

「無事だったんですね。よかった」美理の涙が光る。

「(胸・・当たってる・・黙っとこ)」照れる明。「(・・・泣いてる?)」

「よかった・・本当に・・」

「ありがとう」

 明は美理を抱きしめ・・ようとして、啓作の視線を感じて止める。

 その時だった。

「オ~ン!・・ウヒヒヒヒヒヒ・・・」

 三人は笑い声の方を見る。

 リッターブーンの首は巨大な“装置“に合体していた。その目が光る。

「これでこの<ネオ=マルス>は私が掌握した」

 機械が不気味に唸る。震動。警報が鳴り響く。

 一方、<フロンティア号>のピンニョとシャーロットも異変を感じていた。

 <ネオ=マルス>が動いている。

 ノズルを噴射して旋回。地球の方を向く。

「何が起こっている?」

 異常は地球・赤道上の人工大陸<ラ・ムー>の地球連邦司令部も察知していた。

 地球および月面基地から艦隊が緊急発進。<ネオ=マルス>壱号基と参号基も起動、臨戦態勢をとる。

 リッターブーンが笑う。

「ウヒヒヒ・・巨大光子砲を地球に撃ち込む事も出来るのだ」

「何のためにそんな事を!」

「何の・・あれ?何でだろ?・・・まあいい。・・地球の運命は吾輩の手の中にある」

「あのね、自分の立場わかってる?」啓作が尋ねる。

「ん?」

「いくら無敵の要塞でも、俺達が心臓部にいるんだよ」 

「んん?」

「ここで貴様を倒せば・・」 

「あれ?あれれ?・・・やれるもんならやってみろ!」

「よっしゃ」

 背後に立った明がアッパーカットを叩きこむ! 

「ぎえ~~~~~~」

 機械との結合チューブがちぎれ、吹っ飛ぶリッターブーン(の首)。

 <ネオ=マルス>は何事もなかったかの様に停止した。


 バタバタと来る人影。パラドックス兵ではなく<銀河パトロール>だ。

 ボッケンは刀をしまう。周囲には数十人の敵兵が気絶していた。マーチンと顔を見合わせ、

「逃げよ」走り去る。

 ふたりは洋館一階で疲れ果てて座り込んでいたヨキと合流。

「勝てた?」

 マーチンの尋ねに、ヨキはVサインで答える。 

「奴はどこ?」

「何言ってる?ここに・・・あれ?」

 デコラスは忽然と姿を消していた。

 震動。

 それはパラドックス艦隊旗艦が<ネオ=マルス>より発進した震動だった。

 この艦は寄港直後で点検整備中だったため、グレイの偽情報による海賊討伐の出撃を免れていた。その艦橋にデコラスはテレポートしていた。美理の血液の入った鞄を持って。その頭にはでっかいたんこぶが出来ている。

 艦はワープして消える。

「ワープトレーサー失敗。追えませんでした」

 <フロンティア号>のシャーロットからの通信だ。(彼女の名誉のため補足すると、失敗は偽装スクリーンのせいである)

「(デコラスに)逃げられた」悔しがる啓作。「どうする?明・・明?」

 明は無言で窓の外を眺めていた。

 その視線の先には地球。

 自然と涙が溢れてくる。美理もその涙に気付く。

「明!」

 啓作の声に明は我に返る。涙をぬぐう。今は懐かしんでいる時ではない。

「おまたせ」ボッケン達が合流する。

 明はリッターブーンに詰め寄った。

「答えろ!奴は何をしようとしている?」

 首領なんだから何らかの情報を知っている筈だった。・・でも気絶していてダメ。

「私の血液を“聖なる血”と言っていた」

「何だよ、それ」

「・・・」啓作は無言のまま。

「良からぬ事を企んでいるのは間違いないよ。追いかけよう」

「だが何処へ?」 

「多分、ここ」ボッケンがモニターを指す。

 惑星が映っている。青い海と赤い大陸の惑星だ。

 階段を上る音。<銀河パトロール>が<パラドックス>司令室の近くまで来ていた。

「ずらかるぞ!」 

「まかせて」

 ヨキのESPは回復していた。

 <フロンティア号>コクピットへテレポート。

 各々の席に着く。美理は後部ソファに。

「発進!デコラスを追う!」

 偽装スクリーンを解除する。エンジン噴射。

 <フロンティア号>は<ネオ=マルス>より離れる。

 <ネオ=マルス>のバリアーは回復していたが、中から外へ出るのには働かない。

 さらに加速。

 ふたたび宇宙の彼方へ・・・


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