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スペースマン  作者: 本山なお
15/30

強襲④

 氷漬けの<フロンティア号>。

 啓作たちは姿勢制御ノズルを噴射して氷を溶かそうと試みたが、ノズル周囲の解凍しかできなかった。

「くっそー」

「カーゴの扉は開くか?」啓作がマーチンに尋ねる。

「ああ。カーゴから脱出するつもりか?」

「よし」啓作が意を決して命令する。

「“反重力ミサイル”発射用意!」

「そ、そんなん使ったら・・」

「重力が逆転する・・」ヨキとピンニョが怯える。

「形勢を逆転するにはこれしかない。氷から脱出後は“重力遮断シールド”で中和する」啓作の決意は変わらない。 

「い、1分しか使えねえぞ」

 マーチンが喋ったその時、上空の艦隊がビーム・ミサイルを一斉発射。

「!」 

「やれ!」啓作が命令。 

 マーチンがスイッチを押す。

 カーゴルームが開く。<フロンティア号>の1/3程もある大型ミサイルが格納されている。安全装置が解かれる。落下。ノズル噴射。

 ミサイルは<フロンティア号>から離れていく。

 そのわずか数秒後、眩い光を放って爆発する。

 光が広がって・・・

 氷が崩れ空に浮かび上がる。重力が反転した。

 反重力だけでなく、周りから空気が流れ込み上昇気流が起こる。

 水が、木々が、パワードスーツが、艦隊が、全てが上へ吹き飛んでいく。 

 <フロンティア号>も例外ではない。氷の牢から脱出する。

「よし。重力遮断シールド展開!」

 唯一使える第3エンジンを噴射。反重力の嵐の中、ぐんぐん上昇する。

 パラドックス艦隊は衝突しながら飛ばされて行く。幾つかの艦艇は爆発。

 反重力ミサイルは反重力場を発生させる武器だ。重力下で使えば、重力が逆転して反重力になる。空が地面に変わる。

 60秒後。反重力の光が突如消える。再び重力が支配する。

 落下していく氷、水、木々そして艦隊。

 重力を遮断するバリアーで守られた<フロンティア号>はそれらを避けながら上昇。

 艦隊は態勢を立て直そうとするが、間に合わず地面に叩きつけられる。

 爆発。

 無数の閃光が星の地表で輝いた。

 <フロンティア号>は大気圏外へ・・・         

 美理を乗せた旗艦はいち早く星を離れていて難を逃れていたが、パラドックス艦隊は大打撃を受けていた。そのため追撃はなかった。



 夢を見ていた。

 月がきれいな夜の砂浜だった。

「・・・どうしても行くの?」

 明はうなずく。

 麻美子はうつむいていた顔を上げ、明を見る。

「・・じゃあ、約束して・・」目が潤んでいた。

「・・死なないで。必ず帰って来て」

 ごめん。約束、守れなかった・・・


 明が目覚めたのは<フロンティア号>の医務室だった。

 反重力ミサイルの有効範囲は数百キロ。明のいた星の反対側にほとんど影響は無かった。

 明を収容、メインエンジンを応急修理し、ワープで<パラドックス>の追跡を振り切った。

 明は重傷であり、啓作による緊急手術が行われた。

 今はナノマシンによる傷の修復中。首より下は特殊溶液に浸かっており(裸ではない)、医療用コンピューター“J“が管理している(ちなみに全身が溶液に浸かっていても呼吸できる)。

 次第に意識がはっきりして来る。啓作が傍に立っていた。

「・・・」

 無言だが全て分かった。敗北したのだ。 

「エスパーを想定出来なかった俺のミスだ。すまない」

「・・守れなかった・・・すまん」明の目から涙があふれる。

「ボッケン達に知らせて来るよ」

「啓作」部屋を出ようとするのを呼び止める。

「俺、思い出したよ・・全部!」


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