表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペースマン  作者: 本山なお
11/30

パラドックス⑤

 宇宙空間。

 飛来する敵戦闘機。ミサイル発射。

 <フロンティア号>は防御レーザーで応戦。今は啓作が操作している。

 ミサイルを撃破。さらにビームが戦闘機を追尾。命中。爆発。

 別方向からも戦闘機。その後方から巡洋艦の砲撃。

 ビームは味方である無人戦闘機を巻き込んで迫る。

「よっ」

 明は難なくかわす。


 居間。

 液状生命体が美理たち三人に迫る。

 斬りかかろうとするボッケンをマーチンが制する。

「水が相手なら、刀じゃ無理でしょ」

 三人はじりっじりっと後ろへさがる。

 迫る怪物はテーブルに接触。置いてあったお菓子がその体内に取り込まれる。 

「あーオレのポテチ!・・許さん」バチッ。

 マーチンの指先から火花が見えた。美理は見間違いと思ったが。

 怪物はさらに迫る。三人は部屋の外に出る。

 通路。そこにはサソリ型ロボットの群れと戦うヨキとピンニョがいた。

 ヨキは右手にビームブレード、左手に銃を持って戦っている。

「バカ。今出て来んな!」

 数十体を倒したものの、まだまだ敵は多い。

「・・・」美理はその光景に気絶しそうだった。

 三人を追って液状生命体も通路へ。

「な・何だ。こいつ・・バルガ星の液状生命体。生物をその体に取り込み数日間仮死状態にして吸収する、ヤバい奴だ」さすが元ベムハンター(昆虫専門だが)。

「ヨキ!こいつの弱点は?」

「え、え~と・・熱。高熱で気化したら再生できない。電気でもいけるぞ」

「わあった。みんな!壁から離れて!・・ポテチの恨み~!」 

 マーチンの指から稲妻が! 

 バリバリバリ・・・・・ 

 電撃により蒸発・消滅する液状生命体。サソリ型ロボットもショートして機能停止する。

「すごい・・エスパーなんですか?」

「いや、帯電体質だっちゃ」バチッ

 マーチンは換気扇を回し、気化した液状生命体を排除する。


 パラドックス司令官は焦っていた。

「おかしい。もう何か動きがあってもいいはずだ。接近して、アンカーを打ち込め!」

 敵駆逐艦3隻が接近する。

 <フロンティア号>は防御レーザーを発射。

 敵艦は回避行動をとる。

「もらった。プロトン砲発射!」

 啓作は回避運動を読んでいた。発射ボタンを押す。

 ヴォウウーン。

 <フロンティア号>の上部にある二門の砲門が火を噴く。砲塔の後部・側面より排気。軽い衝撃が船全体に伝わる。荷電粒子砲・通称プロトン砲。

 二つの光跡が伸びる・・・

 命中。駆逐艦の装甲を貫く!航行不能に。

「バ、馬鹿な・・。巡洋艦主砲クラスの威力だと」 

 敵駆逐艦2隻は突進を止めて、距離をとり砲撃。 

 <フロンティア号>はビームの雨を掻い潜る。 

「まだか!」明が急かす。 

「もう少し」シャーロットが答える。 

 接近するミサイル。レーザーで弾幕を張る。 

 巡洋艦の砲撃。

 避けつつ反撃。再びプロトン砲が火を噴く!

 駆逐艦のフェーザーと交差。

 駆逐艦砲塔に命中、吹き飛ばす。敵の弾は外れ。

「おまたせ。ワーププログラミング完了」 

「ワープ!」 

 <フロンティア号>は超空間へ。

 敵司令官が叫ぶ。

「追撃しろ!」


 <フロンテイア号>ワープアウト。

「再ワーププログラミングに入ります」

「重力震キャッチ!」 

「来るぞ!迎撃!!」啓作が発射ボタンを押す。

 プロトン砲発射! 

 揺らぐ空間へ伸びるビーム。

 ワープアウトの直前には空間の歪み・重力震が起こる。迎撃は可能だ。

 パラドックス艦隊がワープアウトする。その巡洋艦のエンジンに命中!

「プログラミング完了」 

「ワープ!」

 <フロンティア号>は再び超空間へ消える。

「こんな、馬鹿な~」敵司令官の悲痛な叫び。 

 爆発する巡洋艦。

 大破ではないが、もう追跡は出来ない。


 ワープ先は青い恒星“アクア”の近くだった。

 <フロンティア号>の下部ハッチが開かれ、積荷がアクア星に落ちて行く。

 アクア星の表面温度12000℃、太陽の倍だ。積荷はコロナに触れ燃え上がり溶ける。

「このお金は貰ってもいいよね?」前金を抱えたヨキが尋ねる。

「ちょっと待って・・」

 ボッケンが耳をそばだてる。ボッケンの聴力は人間のざっと50倍。聴取可能域も広い。

「こいつが発信機だ」

「え~」

 ブラカ星で購入した食糧や美理の衣服には発信機は取り付けられていなかった。

 しかしこのアクア星系に逃げ込んだ事は既に敵に知られている。

 追手が来るのは時間の問題だ。<フロンティア号>のエンジンはオーバーヒート寸前で、しばらくワープ出来る状態ではない。

 そこで発信機付きのお金は救難信号を発する無人機に積んで、囮としてアクア星系第2惑星に打ち込む事にした。

 美理は医務室で横になっていた。傍に啓作と明がいる。

「ワープ酔いだ。もう少し寝とけ」 

「大丈夫」起きる美理。

「すまん。さっきは言いすぎた」 

「ううん。私こそ」

 明はそっと医務室から離れ、コクピットへ。

「どうする?」ヨキが明に尋ねる。

「ワープだけじゃなく戦闘もしばらく無理だ。・・隠れよう!」

 明たちは第6惑星(名前はまだない)に潜伏することにした。

 この星はテラフォーミング(惑星改造)中に放棄された星で、既に地球に近い環境にある。そのため宇宙服なしで行動可能だった。

「かくれんぼなら一番見つかりそうな星だぞ」ヨキが心配する。

「囮につられて連中が第2惑星に集中した隙に脱出する。エンジン停止して長時間隠れる必要がある。他の星だと暑かったり寒かったりで無理だ」

 <フロンティア号>は第6惑星に降下する。


 ワープアウトして来るパラドックス艦隊。その数は先程の比ではない。

 一際巨大な旗艦。戦艦クラス。

 そのブリッジに立つ人影。パラドックス副首領デコラス!

 年齢不詳。2m近い身長、異様にデコが広く、割れた顎。鋭い目は血走っている。

 かつて天才と呼ばれた宇宙考古学者であるが、その残虐性から学会より追放されていた。

 デコラスは無言で進撃の合図をする。

 <パラドックス>の宇宙船が次々とアクア星系の星々へ散って行く。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ