8:どんどん大きくなる話
そしてまた、お昼休み。
今日はお弁当じゃなくて、学食。
あゆちゃんはカレーライス。
ほたるちゃんはサーモンサンド。
あたしはきつねうどんにした。
テーブルに着く。
「で。少しは進んだのか?」
カレーをもぐもぐごくんした、あゆちゃんに訊かれた。
「進むも何も……。余計にお話出来なくなっちゃったよー」
「仕方が無いかな。それが、しのっちなんだから」
うなずきつつ、ほたるちゃんがパクついてる。
あたしも、ずずずっと食べる。
「やっぱり。告るなんて、あたし出来ない」
「始まったな。志乃の臆病グセが」
あゆちゃんはそう言うけどさー。
「――仕方が無い。この手を使おうか」
ほたるちゃんがナゾなことを。
「どーするのさ、ほたる?」
あゆちゃんの問いかけに、
「後で。カズくん経由で、古賀くんのことを探ってもらう」
「探るって?」
あたしは、
『?』
だ。
「どんなタイプの子が好きなのか。それ以前に、今フリーか」
「それはやってみる価値がある」
あゆちゃんはうなずいてるけど。
「――カズくんに悪くない?」
あたしはそっちが心配。
親友の彼氏さんに、迷惑かけちゃうんじゃないかって。
「大丈夫。両方、帰宅部だし。クラスは違うけど、選択授業が一緒だから、話は通ると思う」
「なーる」
食べ終わって、お口を紙ナプキンで拭きつつ、あゆちゃんが納得。
「ホントにいいの?」
「いいって。しのっちのためだ。カズくんにも働いてもらおう」
どんどん、話が大きくなってる気がする。
他人様の彼氏さんを巻き込んじゃうなんて……。
これはいつか、お礼をしなきゃいけないかなあ。