43:親友で終わっちゃうの?
帰り道。
渋谷のドトールに寄りました。
マックは混雑がひどくて、いられたもんじゃなかったから。
みんな飲み物を注文して。
テーブル囲んでお茶タイム。
「みんな、何をお祈りしたの?」
切り出したのはほたるちゃん。
「とりあえず、来年分の合格祈願」
あゆちゃんらしい。
「来年分も使っちゃったの?」
「そりゃ、志乃。受験生活は目前だ」
「だけど、夢が無いよ」
「そー言うほたるはどーなんだ?」
「私は健康でいられるように。カラダ壊したら、受験どころじゃないもん」
「それも言えるね」
あたしはうなずいた。
「志乃は?」
「あたし? それはー。えーと……」
言えないよお。
こんなに近くにいる、古賀くんとの恋愛成就なんて。
「願い事が叶いますように、って」
「内容が無いけど、ま、良しとしよう。古賀くん?」
「ボクは恋愛成就」
――!
「誰、との?」
少し震えて訊いちゃった。
「今、一番気になってる子」
さらっと答えてくれたけど。
――誰なんだろう。
あゆちゃんも、話題がヤバいと思ってくれたのか。
「じゃあ、カズくんは?」
矛先を切り替えてくれた。
「オレ? やっぱり学業成就かな。現役で大学、行きたいし」
「やっぱり、受験のことは気になるか。みんな」
『だねー』
全員がうなずく。
(古賀くんは、どこの大学へ行きたいんだろう……?)
3年生になったら、文系・理系でクラスが別れちゃう。
出来ることなら。
同じクラスになって、同じ大学へ行きたい。
あたしのレベルで叶うかどうか、分かんないけどね。
古賀くん、勉強が出来るから。
でも。
誰が気になってるんだろうなあ……。
それを知らないと、勉強どころじゃないよ、あたし。
(親友で終わっちゃうの? それはイヤだよ)
話題が変わって、好きな音楽の話になったけど。
やっぱりあたしは。
気になったまま、古賀くんのことだけを考えていたんだ……。




