23:決心
返してもらったバインダーを、そそくさとしまう。
「志乃。繰り返しになるが、この詩を読んでもらえ。それで率直な返事を聞くんだ」
「そんなあ」
「あゆ。しのっちにそれは、酷だと思うよ」
「だって、進んでいない。時間は容赦無く流れるのに」
「そりゃ……。あゆちゃんの言うことも分かるけど。思いっ切りドン引きされるに決まってるよお」
トートバッグの中にある、バインダーが熱く感じられる。
「だったら、潔く告白するんだ」
「それが出来たら」
「苦労はしてないね」
と、ほたるちゃんが継いだ。
そう。
その通り。
あたしが意気地無しだから。
あたしに勇気が無いから。
親友のあゆちゃんと、ほたるちゃん。
果ては、カズくんまで巻き込んでるって言うのに……。
「――じゃあ」
『うん』
「古賀くんが正式入部するまでに」
『うん』
「決着。付けてみる。――出来るかどうかは、分かんないけど」
『――』
「あたしも。今のままじゃ、進まないって言うのは分かってるし。入部しちゃったら、絶対に読まれちゃうことは確実なんだもん」
「良く決心した」
「応援する」
あゆちゃんとほたるちゃんが、大きくうなずいてくれた。
古賀くん。
あたし、一歩。
進んでみます。




