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2:手と手が!

 そうそう。

 あたしの名前は、甲田志乃(こうだしの)

 だから、

『しのっち』

とか、

『志乃』

って、まんま呼ばれてる。

 でも、スタイル悪いし、髪はクセっ毛だし。胸なんか、恥ずかしいほどぺったんこだし。

 勉強も全滅なら、スポーツもダメ。

 2人みたいに、いいところ1つも無いの。

「そーやって、うじうじ考えるの。志乃の良くないトコだぞ」

 あゆちゃんはキツい。

 自分が一番良く分かってるよお。

 ほたるちゃんがいつも、フォロー役に回ってくれるから、助かってるけどね。

 あたしは、あゆちゃんを思わず上目遣いしちゃって、

『お弁当の箸でつんつくしちゃうぞ攻撃』

をかわしながら、

「だってさあ。班が一緒なだけで、後は何にも接点無いもん」

「そこ! それを上手く使わないでどーする!」

「とりあえず、あゆ。座って」

 立ち上がってお説教のあゆちゃんに、ほたるちゃんがまた、フォローしてくれた。

 はああ~。



(告っちゃう、かあ……)

 5時間目。

 彼の背中を、じっと見てしまう。

 あ。 

 名前がまだったね。

 彼の名前は、古賀朋春(こがともはる)って言うの。

 そんなことを考えていたら、いつの間にか授業が終わっていた。

 当てられなくて良かったよお。

 今だったら、何にも答えられないもん。

 苦手中の苦手、物理だったし。

 今日はこれで、授業はおしまい。

 HRになった。

「プリント配るぞー」

 センセがそう言って、列ごとにプリントの束を渡す。

 そしたら。

 後ろを向いてくれた古賀くんと目が合っちゃったばかりか。

 手と手が触れ合っちゃったの!

 あたし、恥ずかしくなっちゃって、うつむいちゃった。

「あ。ゴメンね。はい」

 古賀くんが、謝りつつもプリントを渡してくれた……。

「そ! そんな!」

 わ。

 話せない!

 そんな慌ててるあたしを見て、古賀くんは、

「――何か、痛いことしちゃった? 保健室行く?」

 なーんーてー!

 やさしいことばをかけてくれた!

「う。ううんううん! だいじょぶ。おーらい!」

 あたしー!

 何を話してるんだー!

「そう? 辛そうに見えたから……」

 あーん。

 やさしいなあ、古賀くんは。

「ほらそこ! ちゃんと後ろまで配れ!」

 センセに叱られちゃった。


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