13:あの笑顔を
「おはよ」
「あ。はよ」
ほたるちゃんがクラスに入って来た。
「早いんだね」
「しのっちがいつも、遅刻寸前だから」
「古賀くんはまだなんだ?」
「うん……」
クラスメイトがたくさんいる中で、話せるかなあ?
そんなことを思ってるうちに、みんなどんどん登校して来る。
(古賀くん……)
あゆちゃんも教室に入って来た。
「はよ。上手く行く……、はまだか」
「どうしよう? 男子がいる中で、お話なんて出来ないよ」
緊張しちゃって、絶対に話せないと思う。
3人、教室の後ろ窓際で固まって。
あゆちゃんが、一番後ろの席だからね。
あたしはそう言った。
「まあ待て。今回の作戦は上手く行かなかったけど、チャンスはまだある」
「あゆの言う通りだよ。まだ始まったばかりなんだから。落胆するのは早い」
あゆちゃんもほたるちゃんも、そう言ってくれた。
でも……。
ホントにそうなのかなあ。
古賀くん、迷惑がるんじゃないかなあ。
ぐるぐるしてる。
好きっていう想いが、ぐるぐるな模様になって。
あたしのココロを駆け巡っている。
「――古賀くんだ」
ちょっとのどに詰まった感じで、ことばが出た。
教室に入って来た古賀くんは、クラスメイトと何か話して笑顔を見せている。
ステキな笑顔。
あの笑顔を、あたしにも見せて欲しいなあ……。
「志乃。笑顔を見せて欲しいんだろ?」
あゆちゃんもほたるちゃんも、洞察力がすごく鋭い。
あたしの考えなんて、一発で見抜かれちゃった。
――チャイムが流れる。
「ほらほら。落ち込んでるヒマは無いよ? 席に着かなきゃ」
ほたるちゃんのことばにうなずいて、あたしは出来るだけ何も無いように、席に向かった。




