11:少しだけ進んだ、かな?
「志乃? 条件クリアじゃん」
「私も。
『おとなしい』
なんて、しのっちまんま」
「そ、かな?」
と言いつつ、実はかなり嬉しかったり。
そこでハタと。
「でもさ。そんな趣味があるなら、何で文芸部に入ってないんだろ?」
疑問を口にした。
だって、文芸部だったらぴったりの部活だと思うもん。
「それは、志乃。自分から訊いてみ」
「うん。会話のきっかけ作りになるよ」
あゆちゃんとほたるちゃんが言ってくれた。
「そうかもしれないけど……。訊くの、恥ずかしいよ」
「恥ずかしいこと無いっしょ。ウチらと同じ趣味なんだから、志乃」
「うーん。――勇気が出ない」
自分でもイヤになるけどね。
「またか。臆病グセ」
「しのっち。私たちもフォローする。明日、3人で訊いてみない?」
「女子3人に囲まれたら、古賀くん、困るんじゃないかな?」
とは、あたし。
「それもそうかあ……。やっぱりしのっちが訊くしか無い」
結局は、そこに行き着くしか無いのね。
「うん……。明日、タイミングがあったら。訊いてみるね」
「おお! 志乃が前向きになった!」
「めでたいこと。カズくんにも、もっと情報が入るように、話しておく」
――こうして。
作戦は少しだけ前に進んだんだ。
古賀くん。
どうか、あたしと話させてください。




