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10:知らなかった一面
「来た!」
テーブルに置いてあった、ほたるちゃんのケータイが震えてる。
ほたるちゃんは落ち着いていて、背面のディスプレイを確かめて、ケータイを開いた。
「もしもし?
うん。あ、うん。
そうなんだ。うん。分かった。
うん。ありがと。じゃ、またねー」
彼氏さんからなのに、素っ気無いのね、ほたるちゃん。
何て、関係無いことを考えちゃう。
そうでもしないと、ばくばくがひどくなっちゃって……。
「何ですと?」
アイスコーヒーをちびっと飲んだ、あゆちゃんが訊いた。
「安心して。現在のところ、古賀くんはフリー」
それを聞いたら、思いっ切り脱力しちゃった。
「じゃ、好みは?」
あゆちゃんが仕切ってる。
「『おとなしくって、自分が書いた詩や小説を読んでくれる子』
だって」
へええ~!
古賀くんって、詩とか小説書いてるんだ!




