プロローグ〜ハゲとピアス〜
「うおあ゛ぁぁぁぁぁぁ!!!」
落ちた。 誰が?
「死ぃぬぅぅぅぅぅぅ!!!」
オイオイ、ヤバイんじゃね?誰だよ?この高さから落ちたらマジで死ぬぞ?誰か助けてやれよ。
「たぁすぅけぇてぇぇ!!!」
だぁから 誰だよ!?落ちてんの!?
は?…俺?
……………俺ぇぇぇぇ!? 「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!!」
◆*◆
俺はユキト。ユキト・ウオッシュだ。ウオッシュっつう恥ずかしい苗字だが、仕方ない…ここに住む奴らはみんな変な苗字だから。たとえば…ハウスワークとか、クリーンとか、クッキングとか……。
その、おかしな苗字にもちゃんと理由がある。全ての共通点は家事に関する苗字。 そう、俺らの住む『世界』の奴らは皆、人間界へ降りて、人間の為に働き、立派な使用人となるのだ。ちなみにコレ義務ね。二十歳からだから☆
ってのは余談で、俺は今、空から落ちている……理由は………
◆*◆
…―――数時間前
「さてさて、君を呼んだのは他でもない、日頃の態度についてだ」
俺は今、学校の校長室に呼ばれ、椅子に座っている……が、校長に縄で椅子ごと縛られてしまった。
ついでに俺様の目の前につったっているのが『使用人養成学校高等部』の校長だ。頭がハゲていて、そこに丁度太陽が反射して眩しい。多分部屋の電気なんか必要ない。
「ユキト・ウォッシュ…お前、自分の格好をよく見なさい。」
呆れた様子で、わざわざ俺の前に巨大な鏡を設置する。鏡に映された自分をよぉく観察した。
髪はワックスでセットされ、金と茶色を混ぜたような髪の色(生まれつきだが)、黒縁メガネ、綺麗に整えた眉、耳にはお気に入りのピアス、黒い飾りが付いたネックレス、乱れた服装、そしてほのかにかおる香水。
…………我ながら完璧だ。
「…で、なんスか?」
「なんスかじゃなぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
いきなりハゲ校長が俺の肩を掴む。
「貴様!!ふざけるのも大概にしろ!!貴様のせいで我が校の風格が落ちているのだぞっ!!!何なんだ!?耳に穴を空けて!!ワックスをつけて栗のような頭しやがって!!!」
「校長〜一応ボク、学年でトップクラスですよぉ?」
校長はタコのように顔を赤くする。熱気が俺の顔にかかり、キモイ。
「だからなんだって言うんだ!!この前の校舎の落書き貴様がやったんだろ!?」
違う違う。それは隣クラスの男子がやったんだよ
「私の浮気現場の写真、お前が撮ったんだろ!?」
違う違う。それは隣の隣のクラスのヤツだ
「違いますってぇ。ボクそんなことしませぇん」
「き、貴様ぁ!しらばっくれるつもりかぁ!?」
「だぁから知らねぇっつってんだろ!?糞ジジイ!!殺すぞ!?」
「ついに本性あらわしたな!貴様は誰のお陰で生きていられると思っているんだ!?お前の馬鹿な親の代わりに私が育てているんだぞ!?そのピアスも!!ネックレスも!私の金だっ!!」
ハゲは俺のピアスをグイッと引っ張る。
「痛っ」
確に戸籍上こいつの義息子だ。認めたくはないが、俺の親父はこのハゲとなる
「お前、人間界へ行け」
「は!?」
「頭を冷やしてこい」
まさかとは思ったがマジで人間界へ行こうとは……。 ハゲは適当に魔法陣を作り、俺の縄をほどいた。
「成績優秀、容姿完璧、性格最高の俺様がなんで行かなきゃならねぇんだよっ」
ハゲは意味不明の笑みを浮かべている。気持ち悪
「ま、社会見学だと思いな。我が息子よ。お前のような不良は、一足早く、学習したまえ」
いきなり自分の足元に、大きな穴が現れる。 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そうして、俺は人間界へ堕ちていった………。
……ってか、話のテンポ、早くね?
○●○●○●○●ツヅク○●