50時間目「蒼魔の誇り高き敗北」
ついに50話を突入しました!これからも頑張ります!
陳琳「それでは一回戦第二試合、氷室蒼魔選手VS天川八雲選手の戦いを始めます! 」
ワァー!ワァー!
会場が大いに盛り上がり選手の二人がリングに立った。
蒼魔「悪いが俺は一刀と違って相手が女でも手加減しないぜ! 」
八雲「それは結構、私だって相手が女だからって手加減する者は嫌だからな 」
二人が火花を飛ばすなか、
カーンッ!
試合開始のゴングがなった。
蒼魔「悪いが一撃で終わらせてやるぜ!ハァッ! 」
いきなり蒼魔は剣に氷の気を送り込むと
蒼魔「絶対零度撃! 」
ゴォーッ!
冷気の塊が八雲に襲いかかった。
一刀「蒼魔のやつ、いきなりの大技とはやっぱり手加減してないな!? 」
鳳賀「そりゃそうさ、一刀の行為は優しいからいいかもしれないが場合によっては侮辱行為にあたるわけだしな、その点蒼魔は戦う相手には手加減なしが普通だからな 」
ガキーンッ!
蒼魔の技が八雲に決まり、勝者が決まったかと思いきや
バンッ!
蒼魔「バカなっ!? 」
八雲は冷気が吹くなか体を震えながらも立っていた。
八雲「ふんっ!これが大技だと言うならあなたを少々買い被っていたようね 」
八雲は蒼魔を挑発すると
蒼魔「俺を怒らせて熱くさせようとする気だがそんな手にのる俺じゃねぇよ! 」
蒼魔は挑発にのらなかった。
蒼魔「悪いがここで消えろ! 」
ビュンッ!
蒼魔は得物の『蒼絶氷雷剣』を片手に八雲に立ち向かった。
八雲「今度は肉弾戦というわけか 」
ジャキンッ!
八雲も負けじと『紫桜剣』を片手に蒼魔に立ち向かう!
キンキンッ!
二人の剣が激しく打ち合うなか、
桃香「そういえば前から聞きたかったんだけど一刀君と蒼魔君はどういうきっかけで出会ったの? 」
桃香の空気を読めない質問に
一刀「俺が蒼魔と出会ったのは中一の時だった 」
一刀は語り始めた。
五年ほど前、千頭中
ドカッ!
男「ぐはっ! 」
バタッ!
一刀「これに懲りてうちのクラスの生徒をいじめるんじゃないぞ! 」
この時すでに一刀は弱いものいじめをする悪いやつをこらしめていた。
そして今日もクラスの生徒をいじめた悪いやつをこらしめて教室に戻ると
蒼魔「このクラスに北郷一刀というやつはいるか! 」
ガラッ!
蒼魔がクラスに乗り込んできた。
一刀「俺が一刀だが何かようか? 」
一刀が聞くと
蒼魔「うちのクラスのやつを痛め付けたって聞いたぞ! 」
一刀「痛め付けたんじゃない!うちのクラスメートをいじめたからこらしめただけさ! 」
蒼魔「嘘つくんじゃねぇよ! 」
一刀「嘘じゃない! 」
二人が言い争っていると
飛琳「はいはい、迷ったり言い争う場合は我沈誇あるのみ、それが千頭中のルールでしょ 」
飛琳先生が現れて喧嘩の仲裁(?)をしてきた。
一刀「確かに先生の言う通りだな 」
蒼魔「いいだろう!決着つけてやるぜ! 」
そして昼休み、二人は我沈誇をはじめた。
二人の戦いは熾烈を極め、戦いは二時間に達した。
そして二時間後
一刀「俄龍四神弾! 」
ドカッ!
蒼魔「ぐはっ! 」
わずかに一刀に軍配が上がった。
蒼魔「ハァハァ!? 」
倒れこむ蒼魔を見た一刀は
スッ!
手をさしのべた。
一刀「お前強いんだな!今回は俺が勝ったが危なかったぜ!? 」
すると蒼魔は
蒼魔「お前だって中々じゃないか!また我沈誇しようぜ! 」
二人は戦いを通じて友情が芽生えたのだった。
その後も二人は我沈誇をやり続けて鳳賀と九龍も加わり、いつの間にか四人は四天王と呼ばれるようになった。
これがみんなの出会いである。
そして話は戻り、
キンキンッ!
蒼魔と八雲の試合は続いていた。
蒼魔「(こいつおかしいな、もう倒れてもいいはずなのに倒れないなんて!?) 」
蒼魔が不思議に思っていると
八雲「私は唯一の肉親である妹を助けるために勝たなくてはならない!! 」
八雲が語りかけてきた。
八雲「私の妹は現代では解明できない病におかされていてそれを直すために私は大会に出場したんだ! 」
スッ!
八雲が手を合わせると
八雲「だから勝つためには禁術を使ってでも勝たせてもらう! 」
パパッ!
そして八雲は印を結ぶ
八雲「忍法・桜吹雪の大蛇龍の術! 」
ゴォーッ!
印を結んだ瞬間、八雲の剣から八頭の龍の気が流れ出した。
八雲「この禁術を使ったものは悪魔と呼ばれて死ぬ。だが、私は…、妹の小春が元気になればそれで良いの…っ!それが叶うなら…、自ら悪魔になって死んでも良い! 」
涙をこぼしながら言う八雲に蒼魔は
蒼魔「あんたは悪魔などではない!! 」
八雲「っ!? 」
蒼魔は怒鳴り散らした。
蒼魔「君は妹だけが笑顔になればそれで良いわけがあるはずがないっ!自分だけが犠牲になって、立った一人の肉親を残して死ぬなんて絶対に許されない!君の悲しみは俺の悲しみだ!強くなれ八雲。たった一人の家族を残さないで強く生きろ! 」
八雲「蒼魔殿… 」
蒼魔「技は発動さえしなければ失敗に終わる、その技は俺が止めてやるぜ! 」
そして蒼魔が力をためていると
一刀「あの技をする気かよ蒼魔!?あいつはお前にも制御が難しいじゃないか!? 」
一刀は忠告するが蒼魔は
蒼魔「あれから五年は経ってるんだ俺にだって制御できるぜ! 」
スッ!
そして蒼魔の力がたまると
蒼魔「氷河千兆撃!! 」
ゴォーッ!
剣から強烈な冷気が放たれてすべてを凍らせた。
パキパキッ!
もちろん八雲の放った桜吹雪の大蛇龍さえも
そしてその瞬間
八雲「今ので私の気は全部使い果たしてしまった!? 」
陳琳「ということは勝者、蒼… 」
陳琳が宣言しようとしたとき
蒼魔「待った! 」
蒼魔がひきとめた。
蒼魔「俺が疲れたから俺の敗けだ 」
蒼魔が自分の負けを宣言した。
陳琳「本人が言うならそうなので勝者、天川八雲選手! 」
正式に蒼魔の負けが決定した。
八雲「何故だ!宣言しなければあなたが勝者のはずだ! 」
八雲が聞くと
蒼魔「俺も一刀と長い付き合いのためか人に対して甘くなっちまったんだよ 」
八雲「蒼魔殿/// 」
顔を赤くする八雲だった。
そして蒼魔がリングを降りると
一刀「よくやったな蒼魔! 」
蒼魔「負けて悪かったな 」
鳳賀「だが、良い心がけだったぞ 」
九龍「うむっ! 」
みんなは優しく出迎えてくれたがひとつあることを忘れていた。それは…
桃香「これで一勝一敗だから私が勝たなきゃダメ?
」
しーん…
桃香がいった瞬間、場の空気がさめた。
全員『しまったー!? 』