32時間目「北郷親子の鍛練」
今回登場する技の説明はあとがきに載せてあります。
九州三日目のある朝
一刀「う〜ん… 」
一刀が自分の部屋で目を覚まして目覚ましを探そうと手を伸ばすと
ムニュッ。
手が柔らかい何かを掴んだ。
一刀「何だろ…? 」
一刀が目を開けて手の先を見てみると
桃香「う〜んムニャムニャ… 」
そこには何故か上半身裸で道場で寝ているはずの桃香が寝ていた。当然、一刀が掴んだのは桃香の胸である。
一刀「!!? 」
一刀は驚いたが騒ぐと人が来てしまうため騒がなかった。
そして一刀は昨日の夜を思い出して何があったのかを考える。
昨日の夜、お祭りから帰った後、一刀は疲れたので部屋ですぐ寝ることにした。
そしてみんなはまだ遊び足りないので夜更かしすることになった。
一刀「(それが何でこの状況になるんだ!?) 」
どう考えても一刀が桃香を連れこんだわけではないことがわかり、何故桃香がここにいるのかを考えていると
桃香「う〜ん…もう朝? 」
桃香が目を覚ましてしまった。
目を開けた桃香は辺りを見渡して自分の姿を見た後
桃香「キャー!!/// 」
胸を両手で隠して叫び出した。
一刀「叫んじゃ困るって!? 」
ガバッ!。
一刀は慌てて桃香を押さえ込む。
しかし少しばかり遅かったようで
タタタッ!。
廊下から走る音が聞こえると
ガチャッ!
愛紗「どうしましたか姉上!? 」
愛紗がドアを開けて入ってきた。
その時、愛紗が見たものは
一刀「ハハハ!? 」
桃香「う〜!う〜! 」
上半身裸の桃香を後ろに回りこんで口を塞ぎ、更に抵抗されないように両手を押さえる一刀がいた。おかげで桃香の胸は正面にいた愛紗から見たら丸見えだった。
この光景を見た愛紗の頭から
ブチンッ!!。
物凄い音が鳴ると
愛紗「姉上に何をするかこの変態がー!!! 」
ジャキンッ!
愛紗は青龍偃月刀で一刀に斬りかかる!
一刀「待ってくれ!俺は無実だー!? 」
一刀は必死に叫ぶが
愛紗「問答無用だこの変態がー!!! 」
愛紗は聞く耳を持たずに一刀に斬りかかってきた。
一刀「ギャー!!? 」
その日、一刀の部屋からは一刀の断末魔の叫び声が聞こえたという。
しばらくして
桃香「一刀くんごめんなさい! 」
桃香が包帯だらけの一刀に謝っていた。
桃香「私が寝苦しいからってお風呂を借りた後、下着をつけるのを忘れたうえに、上着を着るのも忘れて部屋を間違えてそのまま寝ちゃってごめんなさい! 」
これが話の真相だった。
一刀「いいんだよ別に、俺も桃香を勢いで押さえ付けたわけだしさ 」
一刀は桃香をかばうように言うのだった。
愛紗「その…悪かったな斬ってしまって… 」
愛紗も無器用ながら謝るのだった。
一刀「別にいいよ、斬られることなら慣れてるしさ 」
愛紗をかばうように言う一刀だった。
優刀「それより一刀、そんな怪我じゃあ鍛練はやめとくか? 」
優刀が言うと一刀は
一刀「何言ってんだよ!せっかく父さんがいるんだから鍛練しなくちゃもったいないじゃん!こんな怪我なんて怪我のうちに入らないよ 」
一刀が元気よく言うと
優刀「さすが一刀だな!それじゃあ今日はたくさん相手をしてやるぞ! 」
一刀「了解!今日こそ父さんから一本とってみせるよ! 」
そして二人は道場に向かっていった。
鈴々「鍛練なら鈴々も付き合うのだ〜♪ 」
春蘭「私が先だからな! 」
鍛練派の二人が道場に行こうとすると
切刃「行っちゃダメよ! 」
切刃に止められた。
切刃「二人が鍛練する時は邪魔しちゃダメなのよ 」
切刃が言うと
春蘭「何故なんだおばちゃん? 」
春蘭が言った直後
切刃「(ギロリッ) 」
切刃に睨まれてさすがの春蘭も脅えた。
春蘭「秋蘭、私は怖いものを見たぞ!? 」
秋蘭「(脅える姉者も可愛いいな) 」
春蘭は秋蘭に泣き付くのだった。
どうやら鈴々のような小さな子におばちゃんよばわりされるのは構わないが他の人だと怒るらしい。
桃香「ところで何で行っちゃダメなんですか? 」
かわりに桃香が聞くと
切刃「久々にお父さん(優刀)が夏休みだから一刀も表情に出さないけど一緒に鍛練できて嬉しいのよ♪それに二人の戦いはすさまじいから迂濶に近寄ると怪我するわよ 」
切刃が言うと
華琳「大丈夫よ、私達だって並の学生じゃないんだし鍛練の観察くらい… 」
華琳が最後までいおうとすると
ドッゴーン!!。
道場の方からすさまじい音が聞こえてきた。
桃香「今のは一体何の音なの!? 」
桃香が脅えていると
切刃「一刀とお父さんが鍛練している音よ 」
切刃は音を聞き慣れているためなのか、涼しげに言うのであった。
蓮華「これが鍛練のレベルなんですか!? 」
蓮華が聞くと
切刃「鍛練といっても二人で剣の打ち合いしているだけだしね♪ 」
それだけでも音がすごすぎた。
桃香「ちょっと見に行こうよ!? 」
桃香が言うと他のみんなも行くことを決意した。
切刃「仕方ないわね、手を出さないなら行ってもいいわよ 」
切刃に許可を出されてみんなは見に行くことにした。
道場
愛紗「これは一体!? 」
みんなが道場に着いた時、
道場の一部が崩壊していた。幸いにも桃香達の荷物は別の場所に置かれたため無事だった。
しかし、打ち合っている優刀と一刀を見てみると
一刀「北郷流、『俄龍魂絶撃』! 」
ブォンッ!
一刀は剣で優刀に殴りにかかるが
優刀「遅いぞ一刀!『俄龍魂絶撃』! 」
ブォンッ!!。
優刀が繰り出した俄龍魂絶撃は一刀のものとは比べ物にならない早さで一刀に襲いかかり、そして…
ドッゴーン!!。
一刀「グホッ!? 」
ズザザッー!!。
技を喰らった一刀はすごい勢いで飛ばされた。
優刀「一刀も東京に行って強くなったな昔だったら今の一撃で意識を失っていたのに 」
一刀はよろめきながら立つと
一刀「俺だって毎日鍛えてるからねちょっとやそっとじゃやられないよ! 」
一刀が言うと
優刀「その心意気は気に入った!それじゃあ次はもう少し力を込めるからな 」
あれで手加減している優刀だった。
鍛練を見ていたみんなは驚いた。
学園でも1、2を争う実力の一刀が簡単にやられているうえに、あれほどの死闘をしながらいまだ手を抜いている優刀に驚いていた。
愛紗「二人共けた外れの強さだな!? 」
翠「悔しいけどあたし達じゃあ二人の足元にも及ばない!? 」
星「一刀も学園では手を抜いていたとはな 」
みんなが驚くなか
春蘭「ええいっ!見ているだけではつまらん!私も鍛練に参加させろ! 」
バッ!
猪女の春蘭が鍛練に割り込んできた。
しかし、
ドカンッ!
春蘭「ぐはっ!? 」
春蘭は軽く飛ばされてしまった。
朱里「はわわ!?春蘭さんが軽く飛ばされるなんて!? 」
雛里「あわわ!?すごい戦いだね!? 」
春蘭の武は魏軍でも上位クラスである。その春蘭が軽く飛ばされるということはもはやあの鍛練に割り込めるのは学園女子最強である恋しかいなかった。
しかしその恋は
恋「ZZZ〜 」
立ったまま寝ていた。
優刀「一刀、人も集まってきたことだしそろそろ決着をつけるぞ! 」
一刀「分かったよ父さん! 」
スッ!
そして二人は互いに構えると
優刀「これに耐えたら合格だ。いくぞ北郷流、『俄龍爆撃流星』 」
ドドドッー!!。
武に心得のない者にはただ優刀が刀をおもいっきり振ったにしか見えないが心得のある者は
愛紗「何だ今のは!?刀から龍が出てくるとは!? 」
春蘭「秋蘭、私の目がおかしいのか!? 」
秋蘭「大丈夫だ姉者よ私の目にも龍が見える!? 」
思春「あれは一体!? 」
みんなが驚くなか、
凪「あれは気の一種ですね!? 」
2年B組 楽進凪。真面目で体中の傷がコンプレックスな辛党。学園でも少ない気を扱う実力者である。
この中で気を見ることができる凪が言うと
鈴々「気って何なのだ? 」
案の定聞いてきたので説明することにした。
凪「気とは誰でも少しは持っているものですが、達人が使うと気の形を変化させたり、体に気を流して肉体強化することが出来ます! 」
凪は真面目に説明するが
鈴々「ちんぷんかんぷんなのだ〜? 」
頭の悪い子には分からなかった。
そうこうしている間に優刀の出した龍の気が
ドッゴーン!!。
一刀に直撃した。
愛紗「あんなのを喰らって大丈夫なのか!? 」
華琳「いくら一刀でもあんなの喰らったらひとたまりもないわよ!? 」
みんなが心配するが
凪「どうやら無事のようです! 」
一刀・優刀・凪以外『えっ!!? 』
みんなは驚いた。
やがて優刀が放った気で出来た煙幕がはれると
バァーン!。
一刀が多少はボロボロだが生きていた。
凪「会長は攻撃が当たる寸前に自分の体に気を流して防御したのです 」
凪が説明し終わると
優刀「さすがだな一刀、東京行ってから怠けていたのなら今の一撃で重傷だったからな 」
一刀「よく言うよ、父さんだってまだまだ本気を出してないだろ 」
一刀が言うと
優刀「!? 」
優刀は驚いた。
何故ならさっきの攻撃は全力でないにしろ90%程の力だったのだ。それをまだまだと感じる一刀に優刀は驚いていた。
優刀「(一刀め、父さんを越える日が近いかもしれないな) 」
優刀は本気で感じるのだった。
そんな時、
切刃「あなた!、一刀!朝御飯が出来たわよ 」
切刃がご飯だよと呼んできた。
実はみんな朝御飯がまだだったのである。
切刃の声を聞くと
優刀「汗かいたから朝風呂浴びてから食べるよ!一刀も久々に一緒にどうだ? 」
一刀「俺も汗かいたし、一緒に入るよ 」
そして一刀と優刀は風呂場に向かっていった。
桃香「一刀くんってあんな修行してたんだ!? 」
蓮華「あんなことをしていたら強くなるのも分かる気がするわ!? 」
みんなはあらためて一刀のすごさを知るのであった。
・俄龍魂絶撃
剣を使ってすさまじい威力で殴り倒す。
・俄龍爆撃流星
刀に最大の気を送り、龍の気を放つ。