23時間目「聖フランチェスカ学園学園祭その3」
聖フランチェスカ学園学園祭二日目
昨日のどたばた騒動があったなか、一刀は
一刀「ホントにありがとな華佗… 」
全身包帯まみれのミイラと化していた。
さすがの一刀もほとんどの全校生徒からは逃げられず袋叩きにあってしまいボロボロのところをビデオを撮り終えた華佗に治療されたのだった。
華佗「気にするな怪我人がいたら治療するのが医者だ! 」
ホントに華佗はいい奴だなと感じる一刀だった。
学園祭二日目からは一般客も参加してくるので昨日よりも人が多い。
一刀が周りを見渡していると
及川「かずピー! 」
及川がやって来た。
及川「その怪我で午後からのクラスの出し物に参加できるんかいな!? 」
実は昨日の騒動の時に及川はみんなに紛れて一刀を五発殴ったのだった。
一刀「この怪我じゃ無理かもな〜♪ 」
実は包帯は見せかけだけで今朝にはほとんど回復した一刀が白々しく言うと
及川「なら仕方ないな、かずピーはクラスの出し物は参加せんでいいからあとでな! 」
及川は去って行った。
華佗「いいのか一刀、クラスの出し物に参加しないで!? 」
華佗が心配すると
一刀「いいんだよ別に俺をこんな目にあわせた奴らなんて知るもんか!!! 」
一刀は昨日の騒動で及川に五発殴られたこととクラスのみんなにボコボコにされたのを根にもっていた。
一刀「それに俺は今日彼女と見回る予定だし 」
華佗「誰と? 」
華佗が聞いたすぐ後に
璃々「お兄ちゃ〜ん♪ 」
璃々が駆け寄ってきた。
一刀は近寄って来た璃々を抱き上げると
一刀「璃々ちゃん、今日は一日璃々ちゃんと一緒にいるからね♪ 」
一刀が言うと璃々は
璃々「やった〜♪お兄ちゃんは璃々のもの〜♪ 」
すごく喜んでいた。
一刀「それじゃあ華佗、後は頼むぜ! 」
一刀は包帯を解いて璃々と手を繋いで歩いていった。
華佗「まぁあいつもいつも大変だし、今日くらいは好きにさせてやるか 」
華佗は一刀の行動を許していたが
及川「かずピーめ!!! 」
一刀の様子を木の後ろから見ていた及川は
及川「見てろやかずピー!今日くらいあいつがいなくても大丈夫ってとこを見せたるで! 」
ゴォッー!!。
珍しく燃える及川だが彼は忘れていた。左慈はクラスの出し物には参加しないし、于吉は部活優先で参加できないのでイケメン戦力が華佗しかいな…
華佗「何っ!?急患で手が足りないだって!?わかったすぐ帰るぜ! 」
華佗が帰ってしまいイケメン戦力が0になってしまう漢組だった。
ちなみに漢組は一刀・華佗・左慈・于吉を除くと及川を含めてモテない男ばかりであった。
一方、華佗と別れた一刀達は
呉軍喫茶店・大熊猫店
蓮華「いらっしゃいませ♪ 」
フリンッ♪。
そこにはメイド服を着た蓮華が接客していた。
亞莎「さすが蓮華様ですね、接客がうまいです 」
思春「当然だ!蓮華様はこういうことに関しては完璧なのだから 」
明命「我々も頑張らないと! 」
1年A組 周泰明命。猫を愛する忍者マニア。
呉軍のみんなもメイド服を着ていた。(穏は部活優先で参加せず)
シャオ「ぶ〜!!お姉ちゃんには負けないもん!一番はシャオなんだから 」
シャオが気合いを入れていると
大喬「シャオ様、二名入ります! 」
シャオ「はい!いらっしゃいま… 」
受付の大喬に言われてシャオが振り向くと
璃々「こんにちは〜♪ 」
一刀「どうも 」
一刀と璃々が入ってきた。
一刀と璃々が案内されて席につくと
蓮華「いらっしゃいませ♪ 」
スッ!
接客に来た蓮華が優しく璃々に水を渡すが
ドンッ!
蓮華「どうぞごゆっくりと!!! 」
一刀に対しては青筋を浮かべて睨みつけながら激しく水を置いた。
どうやら昨日の桃香とのキスを根にもっているようだ。
一刀「(怖いな〜!?機嫌悪いのかな?) 」
しかし朴念仁の一刀は蓮華の機嫌が悪いのは自分のせいということを知らなかった。
璃々「璃々はさくらんぼがのっている杏仁豆腐が食べた〜い♪ 」
一刀「じゃあ俺はトマトジュースで 」
一刀達が注文をとると
蓮華「わかりました少々お待ちください!!! 」
蓮華は青筋を立てながら厨房に向かっていった。
しばらくして
蓮華「お待たせしました!!! 」
スッ!
二人の前に杏仁豆腐とトマトジュースが置かれた。
璃々「わ〜い♪いただきま〜す♪ 」
パクパクッ。
璃々は杏仁豆腐を食べる。
一刀「他にも回らなきゃいけないからおかわりはダメだよ 」
璃々「わかってるよ♪ 」
理解した璃々を見て一刀がトマトジュースを飲もうとすると
一刀「(ブハッ!?) 」
一刀はトマトジュースを吹き出した。
一刀「(これって中にタバスコが入ってるじゃん!?) 」
一刀が慌てて蓮華の方を見ると
蓮華「フンッ! 」
蓮華はまるで『ざまあみろ』というような態度をとっていた。
一刀「(俺が何したの!?) 」
一刀は原因が自分にあることを知らずに吹き出したトマトジュースを綺麗にふくのであった。
その頃、漢組は
及川「はぁ〜!?まさか頼みの華佗も帰るやなんて!? 」
先ほど華佗から送られたメールを見て悩む及川。
及川「かずピー、華佗、さっち―、うっきーがおらへんとわな!? 」
一刀の方は謝れば許してくれそうだが及川のプライドがそうさせなかった。
及川「こうなったら仕方ない! 」
ダッ!
及川は教壇に立つと
及川「おい聞けやモテへんブサメン(不細工な面の略)共! 」
及川はクラス中に叫びまくる。
及川「かずピー達がいない今、わいらの出し物である『執事喫茶』のNo.1は俺に決定や!お前らブサメンの分までわいが稼いだるから安心せい! 」
及川が言い終わると
スッ!スッ!スッ!
一人、また一人と席を立つ生徒が出てきた。
及川「やっとわいの気持ちがみんなに伝わったんやな! 」
しかしみんなが席を立った理由は
漢組生徒『誰がブサメンじゃー!!!!! 』
及川「へっ!? 」
ドガッ!バキッ!ボコッ!
散々言いたい放題した及川をボコボコにするためであった。
漢組生徒1「北郷達がいないんじゃ執事喫茶なんてやるだけ無駄だよな! 」
漢組生徒2「俺は出し物を降りた! 」
彼らだって馬鹿ではない一刀達がモテるということを理解していた。
みんなが去って行った後、クラス全員にボコボコにされた及川は
及川「何でわいがこんな目に!? 」
自業自得である。
その頃、一刀は
一刀「まだ口の中がヒリヒリするよ!? 」
璃々「お兄ちゃん大丈夫? 」
呉軍の喫茶店を出た一刀と璃々は次の店めがけて歩いていた。
その途中
一刀「んっ?あれは 」
一刀が見たものは
白蓮「はぁ〜!? 」
溜め息をつく白蓮だった。
一刀「どうしたんだ白蓮? 」
一刀が聞くと
白蓮「北郷か、実はおでんの屋台を出しているんだが客が来なくてな 」
各生徒は全て自己負担ならば店を出してもいいことになっているのだ。
白蓮「そうだ!桃香から聞いたが北郷は料理がうまいんだってな! 」
白蓮に期待の目で見られた一刀は
一刀「うっ!? 」
一刀は女の子に頼まれれば断れない性格なのだが
璃々「お兄ちゃん? 」
璃々をほっておけないという気持ちもあった。
それを察した白蓮は
白蓮「一時間だけでいいし、売上金の半分をあげるからそれで璃々にお菓子でも買ってやってくれ! 」
白蓮が頼むと璃々は
璃々「お兄ちゃんかわいそうだから手伝ってあげて、璃々も手伝うからさ 」
璃々に言われた一刀は
一刀「仕方ないな、わかったよ手伝うよ 」
白蓮の店を手伝うことにした。
白蓮「ありがとう!北郷!璃々! 」
そして白蓮の屋台が始まった。
一刀「まずは昆布で軽くダシをとって、隠し味に…を入れて 」
※西森は料理の素人です。隠し味はあるかどうかは分かりません。
一刀「璃々ちゃんはそこのコンニャクを俺に投げてくれ 」
璃々「うんわかった♪ 」
白蓮「コンニャク投げてどうする気だ? 」
白蓮が聞くと
一刀「まぁ見てなって♪白蓮はコンニャクを入れる器を持っていてくれ 」
一刀が言うと
璃々「それっ〜♪ 」
ポイッ!
璃々はありったけのコンニャクを一刀に向けて投げつけた。
チャキッ
一刀は刀を構えると
一刀「でいやっー!! 」
スパスパスパッ!!。
ぼとぼとぼとっ!!。
一刀に切られたコンニャクはきれいに三角の形に斬られて白蓮の持つ器に入っていった。
白蓮「お前ってホントにすごいな!? 」
白蓮が驚くと
一刀「昔から母さんの手伝いでよくやらされてたからね!他にも… 」
璃々「それっ〜♪ 」
ポイッ!。
今度は大根丸ごと一本を一刀に投げてきた。
一刀は再び刀を構えると
一刀「そらよっ♪ 」
ブンッ!。
一刀が刀を振るうと
バラリッ!。
大根は見事にこま切りにされて斬られた。
一刀「白蓮っ!器の用意! 」
白蓮「わっ…わかったよ!? 」
これではどちらが店主か分からない程だった。
そして10分後
ズラーリッ!。
白蓮のおでん屋は一刀の料理の腕と
璃々「いらっしゃいませ♪(ニコッ) 」
璃々のかわいい接客で繁盛していた。
そして更に時間がたち、20分後
白蓮「完売だー♪ 」
白蓮のおでん屋は一時間もたたずに完売となった。
白蓮「ありがとな北郷、璃々!約束の売上金の半分だとっておいてくれ♪ 」
ドサッ!
予想以上に売れたので白蓮は奮発してくれた。
一刀「サンキュー白蓮!璃々ちゃん、このお金で欲しい物買ってあげるね 」
璃々「璃々とってもうれし〜い♪ 」
そして一刀と璃々は手を繋いで去っていった。
一刀達が去った後、白蓮が店の片付けをしていると
カツンッ!カツンッ!
及川「ぱ〜い〜れ〜ん〜ちゃ〜ん〜 」
ヌッ!
白蓮「うわっ!!? 」
いきなり白蓮の後ろに杖をついた包帯男と化した及川が現れて白蓮は驚いた。
及川「白蓮は確かおでん屋やったな、ご馳走してくれへん? 」
しかし白蓮は
白蓮「すまないがうちの店は完売したよ 」
これを聞いた及川は
及川「そ…そんな!? 」
ガクンッ。
ショックのあまりその場に倒れこむ及川だった。