105時間目「時を越える一刀」
一刀「ある日のこと、月が妙に浮かれていた。何故なら明日の一月三十日は俺の誕生日だった。秘密りに誕生日パーティーを企む月だが結局ばれてしまう。そして俺は学園から誕生日を祝ってもらうのだった 」
聖フランチェスカ学園倉庫
ここには俵の地図等あらゆるもの(まるきり役に立たないものを含む)が収納されていて生徒会長である一刀が時おり整理に来ていた。
一刀「それにしても整理を始めてから数ヶ月経つけどまだまだ奥が見えないな 」
見た目とは裏腹にこの倉庫はまるで青い猫型ロボのポケットのように広かった。
一刀「さすがに倉庫は危険なものが多いから璃々ちゃんは帰したけれど大変だな 」
実は最初は副会長である璃々ちゃんも手伝うと言ったのだが危ないという理由で帰したのだ。
そして一刀が一人で整理をしていると
ガラッ!
倉庫の扉が開いて
桃香「一刀くん♪ 」
桃香が現れた。
一刀「桃香、何か用か? 」
一刀が突然現れた桃香に聞くと
桃香「一刀くんが整理してるって聞いたから手伝いに来たよ♪ 」
桃香が言うと
一刀「それは助かる!ありがとう桃香 」
桃香「どういたしまして♪(ニヤリッ) 」
だがこれにはすべて桃香の策があった。
桃香「(後は外から鍵がかかれば♪) 」
〜桃香の妄想〜
鍵のかかった暗い倉庫に二人きりといえば
桃香「ヤダよ一刀くん、どこさわってるの?/// 」
暗がりのなか桃香を押さえつける一刀
一刀「こんなに暗いんだから恥ずかしがることないだろ 」
桃香「あ…あんっ 」
〜妄想終了〜
桃香「(な〜んちゃって!キャーッ!) 」
桃香は桃色妄想するが
現実はそんなに甘くなかった。
第一にこの倉庫は以前麗羽達が侵入したとき(38話参照)に鍵が壊されてしまいまだ直っていないため鍵がない。
第二にいくらこういう状況になったとはいえ相手が学園最強の鈍感王である一刀ならば無理である。(及川ならば鍵がどうなっていようとも二人きりになった時点で襲っている)
ガラーンッ!
桃香の野望は崩れさるのであった。
桃香「そんな〜 」
ふらっ ガツンッ!
そして桃香がショックでよろけてしまい本棚に当たったその時
ガッシャーンッ!
桃香「キャアッ!? 」
ドダダーッ!!
桃香は本棚から倒れてきた本の波にのまれてしまった。
一刀「大丈夫か桃香!? 」
ポイポーイッ!!
一刀が崩れた本の山をあさると
桃香「ふえ〜ん 」
桃香が本の山に埋もれていた。
スッ
桃香「動けないから一刀くん引っ張ってよ〜 」
桃香が一刀に手を差し出すと
一刀「わかったよ 」
ぎゅっ!
一刀は桃香の手を握った。
桃香「(この手は洗わない♪) 」
一刀「それじゃあいくぞ 」
ぐぐっ!
一刀が桃香の手を引っ張ってあともう少しで起き上がろうとしたその時
一刀「あれなんだ? 」
パッ
一刀が何かに興味を出して桃香の手を離した瞬間
桃香「ギャフンっ!? 」
バタンッ!
桃香は再び本の山に埋もれてしまった。
一刀「これって誰だ? 」
一刀が落ちていたものに興味を出していると
ガバッ!
桃香「いきなり手を離すなんてひどいよ!♯ 」
桃香は自力で起き上がって一刀に文句を言った。
一刀「自分で起き上がれるんじゃんか、それより桃香これ誰だかわかるか? 」
スッ
一刀は桃香に落ちていた写真を見せる。
桃香「誰だろう?分からないや 」
写真には美形な男が立っていた。
一刀「ちょっと汚れていて年代がわからないけどどうやら昔のフランチェスカ学園みたいだな 」
その証拠に写真にはフランチェスカ学園にて撮影と書かれていた。
一刀と桃香が写真をじ〜っと見ていると
バサッ!バササーッ!
桃香が倒した本のページが風でめくれた瞬間
ゴゴゴッ…!!
一刀「!? 」
桃香「どうしたの一刀くん? 」
一刀「何だか妙な気配がするんだ 」
この一刀の気配は間違いではなく
スゥーッ!
一刀「!? 」
桃香「えっ!? 」
何と!?本が二人を吸い込んでいたのだ。
桃香「うわーっ!? 」
一刀「桃香!? 」
キュインッ!
そして二人は本に吸い込まれてしまった。
しばらくして
一刀「う…うん 」
一刀が目を覚ますと
一刀「たしか俺は本に吸い込まれて、それよりここはどこだ? 」
一刀が辺りを見渡すが暗くて何も見えない。
一刀「それよりも桃香はどこにいったんだ? 」
ササッ!
暗いので一刀が手探りで探っていると
むにゅっ♪
何だか柔らかいものをつかんだ。
一刀「これって確か前にも似たようなことが!? 」
スッ
そして一刀の目が慣れて触っていたものがはっきり見えてくると
桃香「どうしたの一刀くん? 」
一刀の後ろから桃香の声が聞こえてきた。
一刀「えっ!?桃香が後ろにいるってことは!? 」
一刀が握っていたものは
ぺにゃんっ
ゴム毬だった。
一刀「ゴム毬かよ!! 」
ポイッ!
一刀はゴム毬を投げ捨てた。
桃香「何だと思ったの? 」
一刀「桃香は知らなくてもいいの 」
二人が話していると
ガラッ! ピカッ!
いきなり光が入ってきた。
?「倉庫にいるのは誰だ! 」
一刀・桃香『倉庫!? 』
何と!?二人がいたのは倉庫だった。
?「怪しい奴め!出てこい! 」
誰かが倉庫の中に入ってきて
一刀と桃香を引っ張り出した。
一刀「うわっ!? 」
桃香「きゃっ!? 」
バタッ!
一刀と桃香が倉庫の外に出されると
桃香「一刀くん!?あれを見て!? 」
桃香が指差した先には
バァーンッ!
一刀「あれはフランチェスカ学園!? 」
フランチェスカ学園の校舎がそびえ立っていた。
?「そこっ!よそ見するな!♯ 」
ビシッ!
一刀達を外に出した人が二人を叱りつける。
だがその人の顔をよく見てみると
一刀・桃香『冥琳先生!? 』
バァーンッ!
何とそこには冥琳先生に似た人がいた。
冥琳「確かに私の名は周瑜冥琳だがお主達何故私の名を知っているのだ? 」
そういわれても困るものである。
桃香「どうなってるの一刀くん!?(ひそひそ) 」
一刀「そういえば父さんの母さん(一刀の父方の母・祖母)から聞いたんだけど世界のどこかに時間移動できる本があるらしい。たぶんさっきの本だよ!?(ひそひそ) 」
一刀の父方の母はあまり知られていないが実は魔法使いなのだ。
そして一刀達は冥琳にどう答えようか迷っていると
?「冥琳よ何の騒ぎじゃ? 」
どこかで聞いたような声が聞こえてきた。
一刀「その古くさくて年寄りみたいな喋り方はさ… 」
一刀が最後まで言う前に
ガツンッ!☆ミ
一刀の頭に拳骨が落ちた。
?「誰が古くさくて年寄りみたいな喋り方じゃい!♯ 」
一刀「この拳骨の痛みはまさしく祭先生!? 」
バタッ!
そして一刀は倒れてしまった。
祭「誰じゃこいつらは? 」
冥琳「私にもわからんがどうやら侵入者らしい 」
桃香「うわーっ!?冥琳先生どころか祭先生までいるだなんて!? 」
そして三人が話していると
?「君達どうしたんだい? 」
バンッ!
今度は色黒の美形が現れた。
桃香「あれっ?あの人は確か… 」
その男こそ写真に写っていた美男子であった。
祭「おぉ、夕凪ではないか 」
冥琳「どうやら学園に侵入者が入ったらしいんだ 」
二人が言うと
夕凪「侵入者だと 」
スッ
夕凪は戦闘体勢をとると
夕凪「侵入者は生徒会長である僕が倒す! 」
ビュンッ!
ものすごい速度で桃香に迫ってきた。
桃香「えっ!?ふええっ!? 」
桃香は驚いて避ける暇がない。
夕凪の拳が桃香に当たりそうになったその時!
ガンッ!
夕凪「なっ!? 」
一刀「お前、何してるんだよ! 」
一刀が夕凪の拳を受け止めた。
一刀「女の子を殴ろうとする奴は俺が許さないぜ! 」
夕凪「おもしろい、生徒会長として相手をしてあげるよ! 」
スッ! スッ!
二人は戦闘体勢をとると
一刀「『俄龍光拳』! 」
夕凪「『鋼の拳』! 」
ブォンッ!!
互いに拳に力を溜め込んで繰り出し
ドゴッ! ドゴッ!
お互いに拳を食らいあった。
一刀「なかなかやるなお前 」
夕凪「お前もね 」
バキッ!ドカッ!
そしてそのまま二人は殴り合いの喧嘩を始めた。
桃香「大変だ!?止めないと!? 」
ダッ!
桃香は二人を止めようと近寄るが
?「やめなよあんたじゃ力不足だ 」
桃香を止めたのは桃香に似た桃髪の女の子だった。
桃香「(あれっ?この人なんだかお母さんと同じ感じがする何でかな?) 」
桃香がそう思ったのも無理もない、何故ならこの人は九州から転校してきた後の桃香の母になる劉備桃恵であった。
桃恵「(何でだ?こいつを見てると無性に川に投げ込みたくなる) 」
そして二人が考えている間に
ドカカッ!! バタッ!
殴りあっていた二人は同時に倒れてしまった。
一刀「お前って強いんだな。俺より強い奴がいたんてな 」
夕凪「僕も驚きだよ 」
ガシッ!
そして二人に友情が芽生えたという。
だがその時
スゥッ
一刀「えっ!? 」
桃香「何でなの!? 」
二人の姿がどんどん透けていき
パッ!
一刀と桃香は消えてしまった。
夕凪「そういえば名前聞いてないけど誰だったんだろう? 」
夕凪が考えていると
雪蓮「おーい貂蝉! 」
今度は制服を着た雪蓮が現れた。
夕凪「雪蓮、貂蝉だと女の子っぽいから名字で呼んでくれと言っただろ 」
もうわかっていると思うがこの美少年は後の貂蝉である。(貂蝉のフルネームは夕凪貂蝉)
雪蓮「別にいいじゃない♪それよりも卑弥呼師匠と一緒に学園対抗武道大会にむけて特訓しにいくんでしょ 」
雪蓮が言うと
夕凪「あぁっ!絶対に卑弥呼師匠に漢女道を教えてもらうんだ! 」
ぐっ!
燃える貂蝉だが修行から帰ってきた頃には現在の姿になっているとは想像できなかった。
そしてその頃、消えた一刀と桃香は
シュンッ!
桃香「きゃっ!? 」
一刀「うわっ!? 」
ドシンッ!!
再び倉庫に戻ってきていた。
一刀「帰るなら帰るで優しく下ろしてほしいよ 」
スッ
一刀が立ち上がろうとすると
むにゅっ♪
右手が何かをつかんでいた。
一刀「どうせゴム毬だろ 」
スッ
そして一刀が右手を見てみるとそこには
桃香「うーんっ 」
ババーンッ!
桃香のおっぱいがあった。
一刀「と…桃香!? 」
一刀が驚いていると
ギロリッ!♯
一刀は何処からか視線を感じて
ギギギッ…
ブリキ人形のように声のする方に首を回すと
愛紗「貴様、私がいないのをいいことに姉上を襲うとはな♯ 」
ゴゴゴッ…!!
そこには鬼の角を生やした愛紗が仁王立ちしていた。
愛紗「貴様という奴はー!!♯ 」
一刀「不可抗力だー!? 」
ドタバタッ!
結局のところあの美少年かが誰なのかは誰も知らないため謎になったという。
蓮華「蓮華だ。今日はバレンタインらしいな。というわけで日頃世話になっている一刀にチョコを送らなければならないな。だが回りはライバルだらけで大変だ。次回、『血染まりのバレンタイン』果たしてみんなは誰にあげるのだろうかな? 」




