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第八話  かくれんぼと人見知り

 三ヶ月ぐらい二階に上げないようにしていたが、いつの間にか女房も許して上がるようになっていた。

 ある日、いつもなら私が会社から帰ると、直ぐに来るのに来なかったので

「ロン君は何処か」と呼びながら二階に探しに行くと、私のベッドの横のカーテンの陰に、隠れているのを見つけた。

「ロン君」と呼んでもじっとして動かない

「ハハア、隠れたつもりだな」と思って

「おかしいね何処に行ったんかね、おらんね」と言って見つけられないふりをして

「ロン君」と呼びながら、百合の部屋の方へ探しに行ったら、私を追い越して先回りして百合の部屋へ行き、机の下へ隠れじっとしていた。

 又

「ロン君」と呼んで

「何処に行ったたんかね、隠れるのが上手じゃね」

と見つけられないふりをして、元の私のベッドの方へ行くと、飛び出して先回りして、カーテンの陰に隠れてじっとしていた。これを3往復ぐらい繰り返して、最後迄見つけられないふりをして、諦めて一階に降りたら、暫くして降りてきた。

 次の日から、かくれんぼを誘う様になった。会社から帰ると、わざと二階でドタバタと音を立てて走って私を誘った。

「ロン君は何処かね」と呼びながら上がって行くと、カーテンの陰に隠れていた。又見つけられないふりをして、百合の部屋に行くと、私の横を走って先回りして机の下に隠れていた。

 この遊びを何日か繰り返すと、時々違う場所に隠れる様になった。

 これはある程度の期間続いたが、私が疲れて止めてしまった。


 百合は再々ロンに会いに帰っていた。

ある日二階から、ロンを抱っこして階段を降りていて、足を滑らせて、抱いたまま滑り落ちた。

 それからか、ロンは百合が帰ると逃げて隠れる様になった。それまで少しの間でも可愛がって一緒に暮らしていたのに、百合が可哀想だった。

 そればかりか、今までは初めて会う人、叔父さんや叔母さんが来ても逃げなかったのに、人見知りして逃げて隠れる様になった。


 不思議なことに、盆、正月しか帰って来ない

長男の宏(20歳)には、ロンの方から自分で寄って行って、頭や喉をなぜてもらい

「ゴロゴロ」とノドを鳴らして喜んでいた。

宏も

「ロン君、ロン君」と可愛がった。


 ロンは誰に対しても、威嚇する声や、態度を見せない優しい良い子だった。




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