第七話 初めての病院
ロンが病気になった、私の住んでいる島には動物病院が無かった。何処の病院へ連れて行こうかと迷って、調べてみると広島に在る所を見つけた。電話してみると
「連れて来い」と言われた。
ロンは臆病で、キャリアケースに入るのを嫌がったので、女房と二人がかりで何とか入れた。我が家から桟橋まで自転車で行った。ロンは怖がって鳴き通しだった。フェリーの中でも鳴いていた。市電に乗ったらあまりに鳴くので
「お父さんはここにおるよ」とケース越しに声をかけていたら、運転手が運転席から振り返って見たので、何か言われるかと心配したが、黙っていたので安堵した。
病院についてロンの診察券を作った。
私の名字の下にロンゾと書いたら何か嬉しかった。看護師さんが
「可愛い子ですね」と言ってくれた。
ケースから出して診察台に置いた、先生が触ってもロンはおとなしくしていた。
先生は説明も無しに
「三種混合」と言って予防接種を打った。
「この子は良い子だから大丈夫でしょう」と言って、錠剤の薬を二週間分出してくれた。
ケースに入れると、帰りも鳴き通しだった。
家に帰って出してやると、ケースに頭突きをして押しのけていた。よほど入るのが嫌だったのだろう。
毎日薬を飲ませるのが大変だった。少し上を向かせて嫌がる口をこじ開けて、薬を口の中へ落とした。上手く奥の方へ落とさないと、苦いのか吐き出してしまうので、なかなか難しかった。
ロンは風呂へ入れたり、ケースに入れて病院へ連れて行ったり、薬をのませたり、と嫌がる事をしても私を嫌いにならなかった。自分の為にしてくれているのだと、理解出来ているのだと思った。




