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第十六話  康男の叔父さん

 私の叔父さんは父の弟で88歳。我が家から三百メートル位離れた一軒家に住んでいた。叔父さんには3人の子供がいるが、みんな結婚して広島に住んでいる。奥さんは10年位前に亡くなっており、長いこと独りで暮らしていた。


 ある日私の家へ

「猫の餌が買いたいんじゃが」と訪ねて来た。

「どうしたのか」と尋ねたところ

「野良猫が家の庭に、餌をねだりに来るようになった。わしも嫌いじゃないけんのう」と言う事だった。

 私は毎週日曜日に女房と、車で島内のスーパーへ買い物へ行っていた。そのスーパーに隣接してホームセンターがあったので、一緒に連れて行って猫の餌がある所を教えてあげた。叔父さんは喜んで一袋買って帰った。

 独り暮らしの退屈しのぎにもなるだろう、それから毎週買い物について来るようになった。通常は自分の食料品を買っていた。

 その後、半年位経った頃、叔父さんの隣に住んでいる妹の佳子叔母さんがやって来た。どうしたのかと思ったら

「お兄ちゃん(叔父さん)が餌を与えている猫が、四匹の子猫を連れて来るようになった。このままにしていたら、どんどん殖えてどうもこうもならん様になるけん、どうすれば良いか、あんたの飼い猫はどうしたん」と聞いて来た。

「うちの子は雄じゃけん、去勢手術をしてもらった。雌は避妊手術を受けんにゃいけんよ、お金は一匹2~3万円懸かるよ、野良猫なら簡単に捕まらんけん大変じゃねえ」と教えてあげた。

 その後も叔父さんは

「わしも嫌いじゃないけんのう」と言いながら、毎週の買い物には付いて来ていたが、その事については何も言わなかった。


 そして90歳の時大腸ガンが発覚して入院して一ヶ月位で、あっという間に亡くなった。それから叔父さんの家を片付けたら、猫の餌が沢山残っていたそうだ。

 あの猫達は、どうなったのだろう。



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