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「お、帰ってたのか」
「ああ、秋兎は帝と一緒に来ると思ってた」
家に着くと既に狼秋が帰宅してコーラを飲んでいた。
俺も冷蔵庫からコーラを取り出してコップに注ぎそのまま飲む。
かーっ、この一杯の為に生きてるんだ!
「で、なんで俺と帝が一緒に来るなんて思ってたんだ?」
「明日から土曜日だっていうのと愚痴を言いに来るんじゃないかとな。
そもそも擦り付けたのは俺だし」
「そういやお前は何もしてないな。帝に恨まれてんじゃねーか?」
「あいつもたまには苦労すればいいさ。女の扱いは得意だろうし」
「お前ほんと家と外とじゃ別人だな」
「家でくらい楽にするっての」
こんなソファーでだらーっとしてる姿なんて学校の奴ら知らないからな。
見たら卒倒しそう。
いや、ギャップ萌えとかいってさらにモテそう。
、、、、、、、、今なら熱湯浴びせれるな、、。
ピンポーン、、
「ん、なんだ?郵便、、、おい、それはなんだ?」
「、、、、、ちっ」
「それについては後で話すとして、、、はい、誰ですか?」
インターホンの通話ボタンを押し、画面が映し出される。
「やっほー、きたよー」
「狼秋くん、今日は君も教えてくれると聞いて急いできたぞ!さあ、早く開けてくれ!!」
「よし、俺は部屋でバードさんとゲームの予定があるから」
「おい待て馬鹿秋兎」
「おいおい服が伸びるだろさっさと話せ」
「ここは一肌脱いで弟の為に尽くすのが兄貴だろう?逃がすか馬鹿が」
「「、、、、、!!」」
無言で取っ組み合いを始める2人だったがそれは一瞬で崩された。
「あら帝くんじゃない。隣の女の子は新しい彼女さん?」
「「!?」」
現れたのは我らが母親。
今日は遅いと聞いていたが予定より早く帰れたのだろう。
だが今はそれどころではない。
「あははは違いますよー。下手なこと言うと僕殺されるんで勘弁してくださいー、、」
母親の軽口によって帝の首は一瞬で天根美羽にキメられる。
「そうね、一瞬であなた首キメられてるものね。ならお友達?」
「はい、そんなものです。もしかして狼秋くんのお母さまですか?」
初対面の大人相手でも咄嗟に反応するあたり流石風紀委員長。
大体の高校生なら口ごもったりするだろうに自然と挨拶ができているのは褒めるしかない。
陰キャの俺には絶対無理だ。
コンビニの店員さんにも口ごもるからな
「ええそうよ。折角だし少しお話しましょ!ご飯も食べていく?」
満面の笑みで答える天根美羽に母親も嬉しそうにほほ笑む。
うちの母親は料理が趣味で人にご飯を食べてもらうのが好きなのだ。
「ぜひ!」
「く、くるし、、、、ぎぶっ」
帝が酸欠で意識失いそうになっているがそんなことは匙だ。
今はそれよりも大事なことがある。
「、、、や、やばい」
俺達の取っ組み合いのせいで少し部屋のものが散乱しているのだ。
母はかなりの清潔好きで汚したり散乱させたりした日には激怒して謝罪が認められるまで
何もしてくれないしご飯はカップ麺のみとなる。
最大で一カ月までいったが、あの時は地獄だった。
元々家事全般は俺達に割り振られており、どうしてもできないときや休みの日は母が
やるルールなのだ。
だからこそ俺達は全力で動くしかない。
「いいから動け狼秋!今なら間に合う!」
「くそっ!」
わずか数秒で俺達は元の状態に戻す。
「ただいまーって、いたなら出なさいよー」
「「おかえりー」」
俺達は何食わぬ顔でソファーに座って携帯をいじっていた。
あぶねぇ、、、、終わるところだったぜ。
「お邪魔するぞ、月野兄弟」
「きたよー裏切り者共ー」
満面の笑みは笑みなのだが無邪気なのは天根美羽、暗い笑顔なのが帝。
やつれてるなー、、、。
「今日はカレーを作るからできたら来なさい。それまでは何かするんでしょ?」
「ええ!ごろうさんを描くのです!」
「あー、あれよね、ちよかわ?だったかしら?ま、頑張りなさい」
「はい!!!」
いやもうきらっきらなんだよな顔が。
俺達みて?
ゾンビなんだけど。
なんであんなクマ作って笑顔なのか理解ができない、、、。
「さあ、さっそく作業に入ろうじゃないか!!」
勇み足で俺達に迫る天根美羽にげんなりとしながらも俺達は部屋へと向かう。
「どうぞ」
「あんま広くないから気をつけろよ」
「わーい!!」
部屋へと着くなり帝はベッドにダイブする。
俺達の部屋は2人で1つであり、ベッドも折りたたみ式である。
机も並べて置かれているためかなり手狭ではある。
「今日は狼秋くんが教えてくれるのだろう?お願いするよ!」
「、、、、ええ、任せてください」
「今はこれが私の成果だ!!」
そういって差し出されたのは昼休みに見せられたダークマターに若干の輪郭があるようなないようなごろうさんだった。
眼を見開いて絶句している。
「秋兎、これどう教えればいいと思う?」
「俺に聞くなよ、どうみても摘んでるだろ」
ひそひそと兄弟会議を行う。
しかしその様子を見ていた天根美羽は先程の明るさが一瞬で消えて少し悲しそうに笑う。
「や、やはり、、、、下手くそだよな」
落ち込んだ声で悲しそうに言う姿に俺達の浅はかな思考に後悔する。
本気だったのだ、ずっと。
だからこそこんなに目にクマを作っても俺達が何を言っても懸命に描いていたのだ。
いまさらになって後悔する。
「私は昔からこういった可愛いものを描くのが苦手なんだ。どうしても化け物を描いてしまう、、、」
眼に涙を貯めながら言葉を紡ぐ。
それだけに俺達の表情が固まる。
思っていなかったか?
おふざけだって。
一番俺自身が嫌なことをやってしまった。
本気を馬鹿にされることがいじめや暴言の100倍酷い行為なのに。
「お茶持ってきたわよーって、何このお通夜?どうしたの?」
「お、お母さま、特になにもないですよ!ありがとうございます!」
「あら、これがあなたの描いた絵かしら?ふんふん、、、、ふーん」
「い、いえこれは違くて!その、、、、」
テーブルの上に置かれた天根美羽の絵を手に取る母に恥ずかしさで取り返そうとするが、母はにやっと笑う。
「美羽ちゃん?だっけ。ちょっとお手伝いしてあげる」
そういうと天根美羽を座らせその後ろに回るとそのまま手に手を添える。
「お、お母さま!?」
「いいからいいから」
そして母の手添えのままごろうさんを描き始める。
「あれ、これって」
「こ、これは、、、、!」
そして完成したのは狼秋が暇で描いたごろうさんより完成度の高いごろうさんだった。
「うん、やっぱりね」
「お、お母さま、、、私、、、」
感極まって涙を流す天根美羽。
そしてその目元をぬぐいながら母は苦笑する。
「泣かないの。可愛い顔が台無しよ」
母は顔を両手で包むと力強く話しかける。
「貴女は描き方がわからなくてダークマターだったけど、一度模写をすればそのうちどんどんうまくなるわよ。
努力ができる子なのはその絵をみてわかったわ。だって何度も描きなおしては描いているあとがあるもの」
我が母ながら一目でそこまでわかるものなのか。
俺達には全くわからなかった。
「ま、無粋な男達にはわからないからしょうがないけどね。あとは帝くんや狼秋に模写を見てもらいながら教えてもらえば
更にうまく描けるようになるから、頑張りなさい」
じゃ、カレー作ってくるわねーと言い残して部屋をあとにする。
「僕、改めて君達の母親が凄い人だって思ったよ、、、」
「俺もだけどな」
キャリアウーマンだけど何の仕事してるか知らないしな。
ただ凄い人なのはわかるんだけど。
「模写、、、模写か、、、、」
繰り返し呟く天根美羽。
手ごたえも掴み、手順も理解した。
あとはやるのみ。
「、、、、天根先輩、模写のイラストなら何枚か用意してるので今日はそれを中心にやりましょう」
「うむ!よろしく頼む!!!」
そこに先程まで意気消沈していた天根美羽はおらず、今までで一番きらきらしていた。
そしてカレーができる1時間後までひたすらに模写を繰り返し描くのだった。
明日も投稿頑張るぞー