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久しぶりに再開しました。

まだ至らぬ点はあるかもしれませんが、よろしければぜひ感想など頂けると嬉しいです。

これからは最低でも週1で投稿しようと思っていますのでまたよろしくお願いします

青春とは残酷だ。

こと恋愛においては中でも飛びぬけているだろう。

色恋沙汰は大人に近づいた子供達にとって正に青春の舞台であり全てだ。

だから彼らは全力で恋愛し、成功した者もいれば手痛い失敗をする者もいる。

そうして大人になっていくのだ。

だが光もあれば闇もある。

青春の真っ只中にいる者達を今どきの言葉で陽キャと例えるならば彼らは真逆の存在、陰キャと呼ばれる。

社会にも上司、部下のような格差があるように学生である彼らにも上下関係が存在している。

子供は大人の背中を見て育つとはいうが、まさにその言葉通りなのだ。


「だから思うんです。陽キャ全員ぶっ殺せば俺は陰キャじゃなくなるって」


「歯を食いしばれ」


「がっ!?」


綺麗なボディブローが俺の腹部に突き刺さる。

内臓が悲鳴をあげ、俺も悲鳴をあげる。


「まったく、お前というやつは、、、、」


「いやいや、体罰してくる教師に言われたくありませんね」


「お前の親御さんから拳じゃないとわかんないんで!ってお願いされてんだよ。それで、なんであんなことしたんだ?」


「、、、、」


「、、、、まぁいい。とりあえず」


机にバンッと3枚の用紙が叩きつけられる。

冷や汗が流れる。


「俺も鬼じゃない。この反省文を3枚書いて提出すれば許してやろう。だから逃げようとすんなコラ」


脱兎の如く飛び跳ねて脱出を試みたのだがさすがは大人。

俺の制服の襟を即座に掴み拘束されてしまった。


「わかったか月野!返事は??」


「わかったよ先生。今日はおとなしく反省文1枚書くよ」


「3枚だバカ」


「あいた」


それから本当に反省文3枚を書かされてようやく解放されたのだった。






さて、なぜこんなことになったのか事の経緯を話すとしよう。

俺、月野秋兎《あきと》は青海学園高校の中でカースト最下位に位置する陰キャ、いわゆるぼっちだ。

日々陽キャの陰に潜み、彼らの引き立て役として生きている。

そんな俺が生活指導部であり担任でもある鬼山先生に呼び出されたのは喧嘩したからだ。

陰キャが喧嘩?と思った人もいるだろう。

俺もそう思う。

だが陰キャにも守られるべき掟があるのだ。

それを破ったやつがいて、奇襲をかけてボコボコにしたのだ。

正面から喧嘩?するわけないだろ。普通に負けるし。

なにより日常茶飯事だから先生も反省文で済ませたのだ。

普段ならこんなことにななっていなかった。

ただ今回は学校の窓ガラスを壊してしまった為に起きた事故。

つまり相手が悪い。

そもそも俺に喧嘩を売らなければこんなことにはなっていないのだから。


「だから俺は悪くない!」


「教室に戻ってくるなり何言ってんだ?」


「俺の正当性について」


「いや100お前が悪いよ」


呆れた顔で話しかけてくるのは陰キャの俺とは違いクラスカースト上位に位置するイケメン顔の西園寺帝だ。

細身ながらも筋肉質で高身長。おまけにスポーツも勉強もできて人当りもいい。

故に男女ともに人気があり、彼を追いかけてこの学校に入学してきた女子生徒がいるくらいだ。

今は彼女はいないらしいがそれでも常に女子が2、3人必ずそばにいるほどのイケメン。

つまり


「はやく死んでくれねーかなお前」


「最低すぎるだろ、、、」


いやいや、お前がモテてるせいで俺達がモテてないんだ。

絶対違うけど、そういうことにしておこう。

「んで、今回は反省文だったの?」


「ああ。またボランティアかとも思ったけど今回はなかったわ」


「いい加減その癖治した方がいいぞ。先輩方、かなり恨んでたみたいだからな」


「あれを見過ごすくらいなら死んだ方がマシだ」


「まぁね」


西園寺は苦笑しながら頷く。

秋兎は陰キャだが陰キャ故に昼休みは常に人気のない所に隠れているのだが、今日はたまたま運がなかった。

いつものようにお気に入りのライトノベルを読みながら休んでいると複数人の男子生徒が一人の女子生徒を囲み告白というなの脅迫をしていたのだから。


「今付き合っているやついないんでしょ?だったら俺と付き合っても問題ないっしょ」


「そーそー、それで好きになれば全部解決?」


「おまww天才じゃんww」


これが告白なわけがない。

俺の好きなライトノベルの主人公達を馬鹿にしないでほしい。

彼らなら煌びやかなスポットライトを浴びながら傍目からは恥ずかしくも胸がキュンッとするようなロマンチックな

告白をするはずだ。

だというのにこいつらときたら、、、、。


「なぁ!だから返事はどうなんだよ?!」


壁ドン、といえば聞こえはいいがやってることは恐喝でもするのかという勢いだ。


「ひっ、、、」


告白もどきをされてる女子は怯えて言葉を発することができていない。

当然だろう。

だからまぁ、なんだ。


「黙ってんならこのまま俺の女ってことでいいよな?なぁ??」


「言いわけねぇだろゴミが」


流石に陰キャといえども見過ごせない。

内心鬼びびってはいるけど、虚勢を張りながら俺は止めに入る。


「完全に怖がってるし、脈無しでしょ。諦めたらどうですか、先輩方」


「てめえ、なにしゃしゃり出てきてんだ?」


ちなみにここの学校は少し特殊で学年ごとにネクタイの色が違うのだ。

俺は2年だから青色で告白もどきをしていたこいつらは赤色で3年生。

女の子は緑色で1年生だ。


「しゃしゃるもなにも俺が先にいたんですけどね。ほら、散った散った」


「こいつっ」


「待て、この陰キャってあれじゃないか?」


取り巻きの男子生徒が秋兎を見てあることに気づく。

同時に秋兎の表情から先ほどまでの飄々とした雰囲気が消え、無になる。


「1年で生徒会長になった月野狼秋の兄貴だろ?」


「マジか、これが?ww」


「似てなさすぎだろwww」


月野狼秋。

文武両道で読者モデルをやっている完璧超人の弟であり、この学校の生徒会長だ。

1年生で生徒達の心をつかみ生徒会長になったことでこの学校での地位を確立し、反対に陰キャの俺は通常のぼっちではなくなり、みじめな兄貴の称号を不名誉にも得てしまった。

いやほんといい迷惑である。


「まあ出涸らしの兄貴に興味なんざねぇから早く消えろよ」


「そーそー」


嘲笑しながら蠅でも払うようにしっ、しっと手を振ってくる様にイラつきながらもぐっと堪える。


「はいはい、んじゃ行くよ」


俺は女子の手を掴んでその場から離れようとする。


「待てコラ!!」


ま、無理ですよねー。

嫌々振り返ると顔にイライラしてます!と書いたような表情がたくさんあった。

うわめんど。


「んだよ。消えろって言ったり呼び止めたり。めんどくせぇな」


「そいつとは大事な話してんだよ。置いて消えろ」


「でも怖がってるし」


「それとも何か?お前この女に気があんのか?」


「は?どうしてそうなっ!?」


胸倉をばっと掴まれ一瞬呼吸が止まる。

急に掴むなよ。ちびるだろ。

だが次の一言でそんなことはどうでもよくなった。


「俺が使い終わったらやるから早く失せろよ」


「、、、、、あ?」


俺みたいな陰キャにもルールがある。

ぼっちとしての心得はもちろん、人間としての心得。

中でも絶対に許せないこと、それは今は無き父親との約束。


女を大切にしろ。

男として、それだけは忘れるな。


だからこそ、俺の行動は早かった。


「死ねゴミが」


腹部に一発。


「がはっ」


がら空きになった顔面を両手で掴みそのまま膝に叩きつける。

鼻から大量の出血。

おそらく鼻が折れたのだろう。

再び浮いた顔面の後頭部を鷲掴みにし、そのまま


「----そのまま窓ガラスに叩きつけたってわけね」


「な?俺悪くないだろ?」


「やりすぎだよ、、、」


こいつは何を言ってるんだろう?

悪人には何やっても許されるんだぜ?あはははは!

そんなふざけたことを


「おーい、月野いるかー?」


「あ、はーい。ここいますけど、なんすか鬼山先生?」


教室にひょこっと顔を出す鬼山先生。

なんだろう、嫌な予感がする。


「言い忘れてたけど、お前ボランティアな。今日の放課後残るように」


「なっ!?」


「今日はこの前取ったアンケートの集計だから覚悟しとけー」


「馬鹿な!?」


「馬鹿はお前だ。サボるなよー」


馬鹿な!?反省文も書かされた上にボランティアだと!?

、、、、、、、よし。


「あ、言い忘れてた」


「な、なんすか?」


鬼山先生は満面の笑みを浮かべると俺に死刑宣告を告げる。


「お前の親御さんには連絡しといたから、安心してボランティア活動に勤しめよー」


逃げ道を塞がれた俺は静かに号泣した。


「はぁ、、、、ま、頑張れ」


帝の頭を殴っといた。





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