第98話 帰京しよう
「なるほど、その間、武蔵はどうするか、ですね、了解です。そこは統幕とも話をしてみます。あと、函館の上陸部隊にイッヌを配備する件ですが、イッヌ50機、その充電交代用50機、充電器50個の準備が出来てますが、陸揚げの時間等はどうしましょうか?」
「そうか、それは有り難い。こちらで受取の準備が出来次第連絡するよ。そういえば、作戦司令本部のメンバーから聞いたんだが、イッヌがバージョンアップした、というか、仕様が変わったというか・・。」
「はい、犬風の擬態を追加しました。」
シオリがシレっと答える。
「そう、犬風の擬態、それが好評らしいね。そこで、相談なんだが、キタキツネの艦隊各艦にも艦内警備用として1匹、いや、1機づつ配備してもらうことは出来ないだろうか?」
「艦内警備用ですか? イッヌV2の装備では強力過ぎて艦内警備には適さないように思いますが。」
シオリが大隅艦長を見た。
「・・ゴホン・・いや、正直に言うと、隊員たちの癒やしにもなってるってことなんで、ウチの艦にもって思っただけなんだよ。もちろん兵装だから、無理なお願いをするつもりは無くて、聞いてみた程度の話しなんで、あまり気にしないで欲しい。」
「あ、そういうことでしたか。イッヌV2は接岸時に桟橋の警備でも使ってもらえますし。はい、準備しておきます。」
「え?準備してもらえるの?それは嬉しいな。」
たつなみを下艦して武蔵に戻ってきた。
マリカーでスロープを使って乗艦できるって、意外と便利だったんだな、とマリカーの凄さを再認識した。いや、たつなみのラッタル、降りるときなんかマジ怖かったからね。
「私は工房で艦隊配備用のイッヌV2を作りますね。」
「よろしく頼むね。オレは食堂へ行ってジュンさんと少し話をしてくるよ。」
食堂へ入るとジュンさんが厨房から出てきた。
「あら、ユー、どうしましたか? まだ昼には少し早くないですか?」
「あ、いえ、昼食じゃなくて、ちょっと話がしたくて。今時間ありますか?」
「はい、もちろん大丈夫ですよ。どんなお話ですか?」
「今、たつなみで話をしてきたんでけど、『キタキツネ釧路』が急遽決まって、2日後に青森を出航することになったそうです。武蔵は2日半後位に釧路港で上陸支援をしようと思うんですけど、それまでの2日間をどうするべきかなんですが。」
「2日半位ってことですね。そうですね、実はわたくし、一度プリマベーラへ戻って、本国とも全体的な方向性を話し合わないといけないと思ってたんです。武蔵なら1日あれば東京まで往復できるから、みんなも1日だけだけど東京で過ごせるでしょうし。」
「なるほど、それなら直ぐにでも東京へ向かいたいですね。あ、追加配備のイッヌの荷揚げがまだだったな。あと、更に追加で艦隊各艦へもイッヌの配備をお願いされちゃって。」
「あらあら、イッヌ大人気ですね。それはシオリちゃんも知ってるんですよね? それなら直ぐに準備出来ると思いますよ。各艦って言っても陸自の輸送艦を入れても5艦ですよね? それなら1時間もかからないで作れると思いますよ。」
「そうですね、オレ、今から工房へ行ってきます。イッヌの荷揚げ準備もしちゃいますよ。」
工房へ入ってシオリにジュンさんとの話を伝えている時にムサシからの館内放送が流れた。
『たつなみから無線連絡を受信。艦長は艦橋へ連絡されたし。』
お、荷揚げの連絡か? いいタイミングだな。
「ムサシ、無線をこのコンソールへ繋いでください、艦長はここに居ますので。」
シオリがムサシに指示を出した。
『了解、無線を繋ぎます。』
「こちら武蔵、たつなみ、どうぞ。」
『こちらたつなみ、イッヌと充電器の受取トラックの準備が出来て、今、武蔵へ向かったので、5分後には荷揚げが開始できる予定だ。』
「武蔵了解。荷揚げの準備をします。あと、情報連携なのですが、武蔵はイッヌの荷揚げ後、一旦伊豆鳥島の専用ドッグへ戻ることにします。点検補給後、釧路港上陸の支援に向かいます。」
『え?今から伊豆鳥島へ行ったら、釧路に着くのはいつの予定だ?』
「予定通り、約2日半後、キタキツネ艦隊が釧路港へ入る前の予定です。武蔵の最大戦速は60ノットですから。」
『あぁ、そうだった。 ちょっとこちらの感覚では想像つかない艦だったな。 では2日後に釧路で再会しよう。』
「武蔵、了解。キタキツネ艦隊のご武運をお祈りします。」
無線が切れた。
「シオリ、聞いた通り、荷揚げ開始だ。後は更に追加された艦隊各艦用のイッヌだけど、どれくらいで出来るかな?」
「あと10分位で全部準備できますから、荷揚げ作業中には作り終わってますね。」
「そうか、タイミングばっちりだね。それじゃ、オレは艦橋でドッグへ向けて出航準備をするよ。荷揚げ、よろしく頼むね。」
「ムサシ、シオリとミズキに艦橋に集合するように艦内放送しておいてくれるか?」
工房のコンソールでムサシに指示を出して、オレも艦橋へ向かった。




